ビオラの魅力~トランプ大統領が天皇陛下に贈進したことで検索急上昇ワードに!
上:ヴァイオリン、下:ヴィオラ
2019年5月27日(月)、来日中のトランプ大統領夫妻から天皇陛下にヴィオラ(ビオラ、Viola)を贈進され、陛下が愛好するヴィオラという楽器に改めて注目が集まっています。ここでは今更聞けないヴァイオリンとヴィオラの違い、ヴィオラの魅力についてまとめてみました。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)
ヴァイオリンとヴィオラの違いについて
上記写真をご覧いただいてわかる通り、大きさがヴァイオリンよりも一回り大きなものとなっています。胴の長さでヴァイオリンよりも約5センチ長く、音域がヴァイオリンより五度下がります。この辺りの違いについて、ヴィオラ奏者の安達真理さんがたいへんわかりやすい動画を5分弱にまとめていますので、安達さんの了解をとりまして、ここにご紹介いたします。
安達 真理 ヴィオラ奏者公式YouTubeページより
ヴィオラの名曲その1 ブラームスのヴィオラ・ソナタ
1894年、60歳を過ぎたブラームスがクラリネットのために書いた作品を、自らビオラ用に直した作品。2曲ともブラームスらしい憂愁にみちた美しいメロディにあふれた名曲となっています。ブラームスの友人には優秀なヴィオラ奏者がいて、常々ヴィオラの曲を書きたいと思っていたようです。この作品以外にもヴィオラがアルト歌手とデュエットする歌曲『聖なる子守歌』という美しい曲を作曲しています。
ブラームス:ヴィオラ・ソナタ第2番より第2楽章
カシュカシャン(ヴィオラ)レヴィン(ピアノ)
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ヴィオラの名曲その2 ベルリオーズの交響曲《イタリアのハロルド》
1834年、フランスの作曲家ベルリオーズがバイロンの長編詩「チャイルド・ハロルドの巡礼」に霊感を受けて作曲したヴィオラ付きの交響曲。もともとは同時代の名ヴァイオリニストでヴィオラも上手かったパガニーニの依頼によるものでしたが、パガニーニを満足させる作品にならないと悟ったベルリオーズは、途中からパガニーニの意図を離れて交響曲として完成させました。ヴィオラは主人公ハロルド役として登場しますが、フィナーレの冒頭で命を落としてしまうので、フィナーレにはヴィオラがほとんど姿を現さない、という面白い作りになっています。
ベルリオーズ:交響曲《イタリアのハロルド》より
タムスティ(ヴィオラ)ソヒエフ指揮
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ヴィオラの名曲その3 モーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲
1779年、23歳のモーツァルトが作曲した、2人のソリストとオーケストラが競い合う、華やかで、同時に翳りも感じさせる名作。自らヴィオラを演奏したモーツァルトは、この曲でヴィオラを半音高く調弦するように指定し、ヴァイオリンといっそう輝かしく響きあうように工夫しています。
モーツアルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲より
樫本大進(ヴァイオリン)グロス(ヴィオラ)ラトル指揮ベルリン・フィル
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ヴィオラによる名曲集 須田祥子さん、赤坂智子さん、安達真理さん
日本には優秀なヴィオラ奏者が揃っていて、それぞれ注目のCDをリリースしています。ここでは2014年に槇原敬之の「ビオラは歌う」を収録したアルバムをリリースした須田祥子さん、アコーディオンと組んでバッハとピアソラというユニークなアルバムをリリースした赤坂智子さん、ウィーンに学んだベテラン奏者、深沢亮子さんと組んでシューベルト・アルバムをリリースした安達真理さんをご紹介いたします。
槇原敬之の「ビオラは歌う」を須田祥子が初レコーディング
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世界的ヴィオラ奏者をご紹介
(1)ウィリアム・プリムローズ(1904~82)スコットランド出身。ヴィオラの独奏楽器としての地位を確立した伝説的名手。
(2)今井信子(1943~)難関のミュンヘン、ジュネーブの両国際コンクールを制して世界的な演奏活動を開始。小澤征爾、内田光子などと並ぶ、日本音楽界が世界に誇る名演奏家の一人。
(3)キム・カシュカシャン(1952~)アルメニア系アメリカ人。バロックから同時代音楽まで弾きこなす力強いテクニックと先鋭なセンスの持ち主。
(4)ユーリ・バシュメット(1953~)ロシア出身。ミュンヘン国際コンクールで優勝。シュニトケを初めとする多くの作曲家が彼に作品を献呈。ヴィオラ音楽の普及に多大な貢献を果たしています。
ブラームス:歌曲《聖なる子守歌》
アンダーソン(アルト)プリムローズ(ヴィオラ)ルップ(ピアノ)
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カテゴリ : Classical
掲載: 2019年05月27日 16:30