レコ芸2019年7月号特集記事『追悼 ミヒャエル・ギーレン』
2019年3月8日、オーストリア・モントゼーの自宅で亡くなったドイツの指揮者、現代作曲家のミヒャエル・ギーレン。レコード芸術誌は2019年7月号で特集記事『追悼 ミヒャエル・ギーレン』を掲載しました。ここでは、その特集で取り上げられたCDやDVDについてご紹介いたします。
ギーレンは1927年7月20日、ドレスデン生まれ。父は有名な舞台演出家で、1940年、家族とともにアルゼンチンに移住。ブエノスアイレスで、哲学、ピアノ、音楽理論、作曲を学びました。1950年、ヨーロッパに戻り、ウィーン国立歌劇場の練習指揮者を経てデビュー。その後は欧米のオペラハウス、オーケストラの首席指揮者を歴任しました。
1960年 - 1965年 ストックホルム王立歌劇場首席指揮者
1969年 - 1971年 ベルギー国立管弦楽団首席指揮者
1972年 - 1975年 ネーデルラント・オペラ音楽監督
1977年 - 1987年 フランクフルト歌劇場芸術総監督
1980年 - 1986年 シンシナティ交響楽団首席指揮者
1986年 - 1999年 南西ドイツ放送交響楽団首席指揮者
また、1975年と1977年にはNHK交響楽団の客演指揮で来日し、1975年には20世紀音楽を中心としたプログラムで、1977年にはベートーヴェンを中心としたプログラムで、それぞれ大きな反響を呼びました。その後1992年、手兵南西ドイツ放送響とのツアーが最後の来日となってしまいました。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)
ギーレン・エディションVol.1のトレーラー
「ミヒャエル・ギーレン・エディション」は、南西ドイツ放送に残されているギーレンの膨大な音源が体系的にまとめられているボックス・シリーズ。16年の第1集から生誕90年をまたいで第10集が今年中に完結の予定だった。現在第7集までがリリースされ、6月には第8集(新ウィーン楽派集)が出るが、惜しくも完成には間に合わなかった。各ボックスにはテーマが設定されており、第2と第3、第6集がそれぞれブルックナー、ブラームス、マーラーの集成、第1集はバッハからシューベルトまで、第4集はロマン派、第5集がバルトークとストラヴィンスキー、第7集は8枚それぞれにサブ・タイトルが付くという作り。演奏の並びは録音年代順というわけではなく、離れた時期のものが隣り合っていることも多いので、ギーレンの長いキャリアを俯瞰して見ることができる。また、初出音源も非常に多く、彼に対するイメージを覆す新しい発見がある。(以下略)
レコード芸術2019年7月号 西村祐氏によるコメントより
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Schoenberg: Concerto for Piano and Orchestra, Op.42 - Molto allegro
Alfred Brendel · SWF Sinfonie Orchester Baden-Baden · Michael Gielen
現在廃盤となっているシェーンベルクのピアノ協奏曲の試聴音源
相場氏のコメントに「シャープでドライなスペシャリスト」とのタイトルが付いている通り、ギーレンが得意とした20世紀作品を中心としたセレクトとなっています。残念ながら5点のうちの4点、ツェムリンスキーの叙情交響曲(BVCC-6096)、シェーンベルクのピアノ協奏曲&室内交響曲(PHCP-1491)、ツィンマーマン作品集(UCCP-3071)、ブゾーニのピアノ協奏曲(Koch 311150H1)は、現在廃盤となり入手できなくなっています。ここでは残りの1点、ベルリン放送響とのマーラーの交響曲第3番と、コメントに言及のあるフランクフルトでのマーラーの交響曲第8番をご紹介いたします。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)
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Fruhlingsstimmen (Voices of Spring) , Op. 410
SWR Sinfonieorchester des Südwestrundfunks
J.シュトラウス2世:春の声
広瀬氏のセレクトは、20世紀作品3点と19世紀作品2点。前者では「20世紀作品、とくに歌唱をともなう録音については、余計なものをそぎ落とした末に生まれる美と、これらの作品が確かに前世紀からの伝統に連なるパトスを併せ持っていることに気づかされた」と評し、後者ではシューベルトとシュトラウス、ブルックナーとシェーンベルクといウィーンと強い絆をもつ作品を組み合わせたCDを選び「音楽的特徴の連続性を際立たせようとする」ギーレンの姿勢を讃えています。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)
Provided to YouTube by NAXOS of America
Zvezdolikiy (Le roi des étoiles)
SWR Vokalensemble Stuttgart
ストラヴィンスキー:星の王
松平氏はギーレンの現代作品の録音を中心にセレクト。シュトックハウゼンの《カレ》(品番:SV5)は現在入手困難ながら他の4点はカタログに残っています。中でも湯浅譲二:オーケストラの時の時(FOCD9288)の録音はご存知無い方が多いのではないでしょうか。1977年4月22日、NHK交響楽団へ客演時のライヴ録音(※レコ芸記事に1975、76年とあるのは作曲年との取り違えと思われます)。6月21日時点でメーカー在庫もありますので、お早目のお求めをオススメします。ストローブ=ユイレによるオペラ映画《モーゼとアロン》での音楽担当も、クラシック・ファンには目につきにくいもので、非常にありがたいセレクトと言えるでしょう。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)
カテゴリ : Classical
掲載: 2019年06月21日 00:00