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【追悼】作曲家 西村朗 69歳

西村朗

「ヘテロフォニー」(同一の旋律、または類似した旋律の変形を同時に聴かせるアンサンブルの手法)などのコンセプトにより、多数の作品を生み出した作曲家の西村朗さん(にしむら あきら)が9月7日、右上顎(じょうがく)がんで亡くなりました。69歳でした。

1953年9月8日、大阪市城東区生まれ。東京藝術大学、大学院で矢代秋雄、野田暉行に師事。西洋の現代作曲技法を学ぶ一方で、在学中よりアジアの伝統音楽、宗教、美学、宇宙観等に強い関心を抱き、そこから導いた「ヘテロフォニー」などのコンセプトにより、多数の作品を生み出しました。

1974年、日本音楽コンクール作曲部門で1位。1977年『弦楽四重奏のためのヘテロフォニー』でエリザベート王妃国際音楽コンクール作曲大賞(ブリュッセル)、同年『交響的変容』でルイジ・ダラピッコラ作曲賞(ミラノ)、1988年『2台のピアノと管弦楽のヘテロフォニー』で尾高賞を受賞。

尾高賞は1992年『ヴァイオリン、ピアノとオーケストラのための二重協奏曲「光の環」』、1993年『永遠なる渾沌の光の中へ』、2008年『幻影とマントラ』、2011年『オーケストラのための「蘇莫者」』、2022年『オーケストラのための「華開世界」』と、実に計6度も受賞しました。これは三善晃、一柳慧と並ぶ最多受賞となります。

2002年には『ヴァイオリン協奏曲第二番「秘密~マニの光」』で別宮賞を受賞。2004年には『室内交響曲第2番』『ピアノ協奏曲第3番~シャーマン~』『秘水変幻~横笛と二十弦箏のための~』『夢幻の光』『涅槃と輪廻~萩原朔太郎の詩による二つの歌曲~』『風媒~ハープと室内オーケストラのための~』といった新作を一挙に初演し、サントリー音楽賞を受賞、2005年には『室内交響曲第3番「メタモルフォーシス」』で毎日芸術賞を受賞、2007年には『西村朗対話集/西村朗・著』でミュージック・ペンクラブ音楽賞を受賞。そして2013年には紫綬褒章を授与されました。

CDの受賞も数多く、音楽之友社主催レコード・アカデミー賞は1991年特別部門 日本人作品で『チェロ協奏曲/永遠なる混沌の中へ』(カメラータトウキョウ CMCD-50021)、2010年特別部門 録音で『西村朗:オーケストラのための《蘇莫者》』(同 CMCD-28199)、2013年現代曲部門で『東京シンフォニエッタ・プレイズ西村朗-2/天女散花』(同 CMCD-28283)がそれぞれ受賞。2002年度芸術祭大賞に『アルディッティSQプレイズ西村朗』(同 28CM-524)、2005年度芸術祭優秀賞に『西村朗 作品集 8: メタモルフォーシス - 西村朗 室内交響曲集 -』(同 CMCD-28084)が選ばれました。

2000年いずみシンフォニエッタ大阪の音楽監督、2010年草津夏期国際フェスティヴァルの音楽監督に就任。東京音楽大学の教授、NHKのEテレやFM番組への出演、執筆活動など、後進の育成、クラシック音楽の啓蒙にも力を尽くしました。

ここに謹んで哀悼の意を表し、ご冥福を心からお祈り申し上げます。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)

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カテゴリ : Classical

掲載: 2023年09月12日 16:00