クラシック タワーレコード企画盤 TOP20
2023年のタワー企画盤TOP20は往年の名盤やアニバーサリー・アイテムが多く入りました。生誕110年のムラヴィンスキーのDG盤はやはり超名盤ということもありダントツでTOPとなり、他に没後130年であったチャイコフスキーも3タイトル入るなど、人気が伺えます。そして、2位と3位も永く聴き継がれた名盤です。一方でケーゲルやレーグナーといった旧東独のアーティストも散見され、幅広いラインアップとなりました。
1位 チャイコフスキー: 交響曲第4番・第5番・第6番《悲愴》、他
ムラヴィンスキー(指揮) レニングラード・フィル、他
ムラヴィンスキーとレニングラード・フィルが1960年9月から11月にかけて7カ国の演奏旅行を行った際、ドイツ・グラモフォンがロンドンとウィーンで行ったステレオでのセッション録音と、同行したロジェストヴェンスキー指揮による録音も収録。演奏者と録音担当者による誠実かつ忍耐強い仕事から生まれ、世界の批評家と愛好家に衝撃を与えた歴史的録音が最新で蘇ります。
2位 ブラームス:ヴァイオリン協奏曲、ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲
オイストラフ(Vn)、セル(指揮) クリーヴランド管弦楽団、ロストロポーヴィチ(Vc)
1969年5月に収録された歴史的録音のブラームス2曲を最新復刻。オイストラフのヴァイオリン協奏曲は1960年のクレンペラー&フランス国立放送管との盤に続く2回目のステレオ録音となった演奏で、さらに深みを増した永遠の輝きを持つ、まさに名盤中の名盤です。ロストロポーヴィチとの二重協奏曲も含めセルの堅実なサポートの上に成り立った、これらの曲を代表する録音です。
3位 シャルル・ミュンシュ&パリ管弦楽団 録音集 1967-68
ミュンシュ(指揮) パリ管弦楽団
ミュンシュがパリ管の初代首席指揮者に就任し、旧EMIに収録した録音はいずれもクラシック音楽史に残る屈指の名演。第1回演奏会の直前に録音が行われた「幻想交響曲」に始まり、1968年に亡くなる前月に収録していたラヴェル作品の録音まで、LP4枚分を3枚組に集成。本国のアナログ・マスターテープからの最新復刻により、従来以上の緻密さと、音場の向上が感じられます。
4位 スメタナ:連作交響詩《わが祖国》
クーベリック(指揮) チェコ・フィル
クーベリックが祖国を亡命してから42年。1990年5月12日、「プラハの春」音楽祭の初日にかつての主兵チェコ・フィルと共演した感動の名演。「わが祖国」演奏史に燦然と輝く名盤です。一音一音に込められた歴史的な重みや演奏時の雰囲気、そして感興が感じられる一世一代の演奏であり、SACD化では、CDでは伝えきれなかった当時の空気感やより実在感が聴き取れます。
5位 Deine Wunschmelodie~ご希望のメロディ
ケーゲル(指揮) ドレスデン・フィル、ライプツィヒ放送合唱団
ケーゲルが指揮をした小品の知られざる名曲集を、初出時のオリジナルの曲順・収録曲で1枚のアルバムとして最新復刻。7曲目の「ヨハン・シュトラウス2世:アンネン・ポルカ」は初CD化(初DISC化)。単なる美しい名曲ばかりではなく、派手め曲や突然「アンネン・ポルカ」が入るなど、かなり興味深いラインナップ。2曲目の「アヴェ・ヴェルム・コルプス」の演奏は絶品として知られています。
6位 チャイコフスキー: 交響曲全集、マンフレッド交響曲 - Live in Tokyo
スヴェトラーノフ(指揮) ソヴィエト国立交響楽団
名匠スヴェトラーノフが1990年東京でライヴ収録した伝説の全集に、1992年来日時のマンフレッド交響曲を加えた6枚組を最新復刻。スヴェトラーノフの指揮からは覇気が溢れ、緩急自在のコントロールが瞬時も耳を離さぬ熱気を生み、まさしく一期一会的なエネルギーを放っています。今回の復刻のために新規で当時レコーディング・ディレクターだった江崎友淑氏がマスタリング。
7位 ブラームス:交響曲第4番、ベートーヴェン:交響曲第7番
ジュリーニ(指揮) シカゴ交響楽団
ジュリーニがシカゴ交響楽団の首席客演指揮者の就任した直後に収録された1969年10月録音のブラームス:交響曲第4番と、1971年3月録音のベートーヴェン:同第7番を1枚にカップリング。収録時50代半ばで巨匠としてさらに深みを増していくジュリーニらしい重厚なドイツ音楽の神髄。シカゴ響の引き締まった響きが曲への柔軟な対応を感じさせ、尚且つ活力ある音楽になっています。
8位 ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」、
ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編)
ムーティ(指揮) フィラデルフィア管弦楽団
「春の祭典」と「展覧会の絵」はムーティがオーマンディの後を継いでフィラデルフィア管弦楽団の首席指揮者に就任する以前の1978年3月と10月の録音。「展覧会の絵」冒頭のプロムナードから金管陣の太く厚いフィラデルフィア・サウンドが奏でられ、木管群や各ソロ楽器の上手さも光る感動の名演奏。「春の祭典」においては重厚さと色彩感が際立ち、驚異的です。
9位 ヴェルディ:歌劇「仮面舞踏会」全曲(歌詞対訳付)
ムーティ(指揮) ニュー・フィルハーモニア管弦楽団、他
未だ色褪せしない、極上のキャストによる「仮面舞踏会」。1975年に収録された音源で、収録時ムーティは弱冠33歳ながらもドミンゴやカプッチッリ、コッソットを始めとした豪華歌手陣とコヴェント・ガーデン王立歌劇場合唱団をまとめ上げた手腕が光る名演盤。今回の復刻では従来の2chのマスターとは異なる本国の8chのアナログ・マスターテープから最新復刻。
10位 ベルリオーズ: 幻想交響曲、ストラヴィンスキー: バレエ《火の鳥》組曲
アルヘンタ、モントゥー(指揮) パリ音楽院管弦楽団
アルヘンタの代表的録音「幻想交響曲」を初SA-CD化!さらにモントゥーの「火の鳥」も収録。2曲ともジョン・カルショーがプロデューサーを務め、エンジニアは「幻想」ではケン・クレス、「火の鳥」では有名なケネス・ウィルキンソンが担当した超優秀録音。DECCAのステレオ録音黎明期であるパリでの素晴らしい録音を、最新で本国のオリジナル・アナログ・マスターテープから復刻!
11位 ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」、はげ山の一夜、他
ケーゲル(指揮) ライプツィヒ放送交響楽団
ドゥリアン(指揮) ベルリン放送交響楽団"
「展覧会の絵」は、ケーゲル独自の観点により原曲のロシア色をより活かした演奏で、その特異性は数ある同曲の録音のなかでも屈指と言えます。'60年代のステレオ初期録音ながらも良質なオリジナルのアナログ・マスターテープからの最新デジタル化を経た音源ですので、当時の透徹した響きも健在。高音質化により各演奏の凄まじさを追体験できる出来に仕上がっています。
12位 ラフマニノフ:交響曲全集・管弦楽曲集
スヴェトラーノフ(指揮) ロシア国立交響楽団
スヴェトラーノフ&ロシア国立響による1995年録音盤が世界初SACD化!スヴェトラーノフの3度目にして、最後のラフマニノフ全集で、当時のロシアの音楽家事情がもっとも過酷であったペレストロイカ直後の録音。そういった切実さに加え、音楽の普遍性も相俟った歴史的録音です。今回の復刻のために新規で当時レコーディング・ディレクターだった江崎友淑氏がマスタリング。
13位 夕映えの中で~シューベルト歌曲集1
糸を紡ぐグレートヒェン~シューベルト歌曲集2
エリー・アメリング(S)、ダルトン・ボールドウィン(P)
アメリングのドイツ・リートの真骨頂とも言える2枚のシューベルト録音を収録。ボールドウィンのピアノ伴奏で収録した、「夕映えの中で」を始めとした1973年8月録音の16曲のオリジナル・アルバムをDISC1に、そして1975年8月の同じくボールドウィン伴奏による「糸を紡ぐグレートヒェン」を含む10曲のオリジナル・アルバムをDISC2に据え、2枚組のSA-CDハイブリッド盤として最新復刻。
14位 ベルリオーズ:幻想交響曲、シェンカー:大オーケストラのための風景
ケーゲル(指揮) ドレスデン・フィル、ライプツィヒ放送交響楽団
ケーゲルの驚異的な演奏で知られる「幻想交響曲」。第5楽章の鐘でさえも、深くおどろおどろしいまでの音色を発する、まるで弔いの鐘のような音を採用。ここまで人間の狂気や曲の奥底に潜む不安や不快を表現できた演奏は他にはありません。併録のシェンカー共々、強烈な印象をリスナーに与えます。今回新たに本国のオリジナル・アナログ・マスターテープから新規で復刻。
15位 ヘルシャー・コンプリート・MPSステレオ・レコーディングズ Vol.1 (独墺音楽編)
ルートヴィヒ・ヘルシャー(Vc)
ドイツの名チェリスト、ルートヴィヒ・ヘルシャーが1967、1972~76年にMPSに録音した秘宝を世界初CD化!冒頭のブラームスから、激しい気迫と豊かな情趣、活力漲る瑞々しい美音、弾力と切れ味を兼ね備えたリズムが、優秀な録音とともに聴き手に語りかけてきます。バッハの無伴奏組曲第1番では師フーゴ・ベッカーの校訂版を使用、ドイツ・チェロ音楽史を知る上でも必携の一組。
16位 モーツァルト:歌劇「魔笛」全曲(歌詞対訳付)
サヴァリッシュ(指揮) バイエルン国立歌劇場管弦楽団、他
この「魔笛」はサヴァリッシュが録音の前年に音楽監督として就任していたバイエルン国立歌劇場と、当時の第一級のキャストを揃えて臨んだ録音です。エッダ・モーザーによる夜の女王の圧倒的な迫力、王子に相応しい気品あるペーター・シュライアーのタミーノ、ローテンベルガーによる風合いのあるパミーナ、ザラストロを演じるモルなど錚々たるキャスト。燦然として輝く真の名盤です。
17位 モーツァルト:交響曲第38番《プラハ》
ドヴォルザーク:交響曲第9番《新世界より》
クーベリック(指揮) チェコ・フィル
1990年、巨匠クーベリックが44年ぶりに祖国チェコへの復帰を果たし、その翌年に再びチェコ・フィルの指揮台に立った感動のコンサートをライヴ収録。モーツァルトのプラハゆかりの交響曲、そして「新世界交響曲」という極め付きのプログラム。「新世界」は特に推進力のある演奏で、想い入れの強さを感じさせる同曲の録音のなかでも強い感動を与える屈指の演奏です。
18位 シューベルト:交響曲第8(9)番「グレイト」
レーグナー(指揮) ベルリン放送交響楽団
この録音は1978年6月、2枚目となるドイツ・シャルプラッテンとの共同制作盤として、東ベルリンのキリスト教会でPCM(デジタル)録音。名指揮者レーグナーの悠揚迫らざる表現がこの大曲の魅力を引き出しています。発売当初から名録音として高い評価を得てきており、今回、ORTマスタリング技術によりハイレゾ化を行い初SACD化。自然な音場を感じさせるものとなっています。
19位 チャイコフスキー:後期交響曲集(第4番、第5番、第6番「悲愴」)
クルト・ザンデルリング(指揮) ベルリン交響楽団
ムラヴィンスキーのもとでレニングラード・フィルの指揮者を務めたザンデルリンクにとってチャイコフスキーはドイツものと並ぶ得意なレパートリーでした。手兵ベルリン響を振ったこの録音は、ほの暗さを感じさせながらもザンデルリンクの傑出した音楽性を感じさせる超名演。ORTマスタリング技術によりハイレゾ化を行い初SACD化。音場・音質が鮮やかに向上しています。
20位 リムスキー=コルサコフ:シェエラザード
ムソルグスキー:はげ山の一夜、他
マタチッチ(指揮) フィルハーモニア管弦楽団
マタチッチが当時のフィルハーモニア管弦楽団を駆り立てた"熱い"演奏は、現在では決して味わえない境地を獲得した稀少な演奏です。スラヴ的感性を大胆なまでに引き上げた「シェエラザード」を始め、どの曲もマタチッチの底力を感じさせる名演!高音質化により、ダイナミックさがさらに増大し、豪快でありながらも繊細な表現は他のどの盤をも超えるでしょう。
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