シンガーソングライター前野健太、初期3部作の最終章にふわさしい傑作
2007年『ロマンスカー』でひっそりとデビューし“歌もの”をまた元気にさせた男、前野健太。2009年『さみしいだけ』では、その独自のことば使いと馴染みやすいメロディ、さらには一人多重録音による完全セルフプロデュースで、多方面から賞賛される傑作ポップスを作り上げた。
2009年元旦に撮影され翌年公開されたドキュメント映画『ライブテープ』(国内外20箇所以上で上映)の主演に抜擢され東京国際映画祭やドイツニッポンコネクションでは賞を受賞。
が、前野の本腰はやはりオリジナルアルバムで、『ロマンスカー』『さみしいだけ』そして今回のサードアルバム、と最初から「初期3部作を作る」という構想があったようだ。それほどに気合の入った本作は、荒々しいバンドサウンドのファーストと、丁寧にアンサンブルを重ねたセカンドを、足して2で掛けたような、3部作最終章にふさわしい大傑作となった。