USインディ屈指のSSW、ザック・コンドン率いるベイルート新作
センセーションを巻き起こしたデビュー作『Gulag Orkestar』(2006)、その評価を決定的なものにしたセカンド・アルバム『The Flying Club Cup』(2007)、さらには野心的なEP2 枚組『March of the Zapotec / Holland』(2009) に続く、待望のサード・アルバム。
本作には『Gulag Orkestar』の東欧/バルカン、『The Flying Club Cup』のフランス、『March of the Zapotec』のメキシコ、といったコンドンが訪れた土地との分かりやすい影響関係は認められないが、表面的なスタイルのみに捉われず、自身の内面に沈潜する濃密なメランコリーを抽出していくかのような楽曲に、コンドンのソングライターとしての成熟を感じさせる紛れもない傑作。シンプルで抑制された味わいの中に、25才という年齢を感じさせない低く艶やかなクルーナー・ヴォーカルと類い稀な美しさを湛えたメロディーの魅力がこれまで以上に生かされている。
これまでにも、ローリング・ストーンズのロン・ウッド、フローレンス・アンド・ザ・マシーンのフローレンス・ウェルチ、女優のナタリー・ポートマン等々がベイルートの大ファンであることが知られてきたが、2011年リリースされたブロンディーの8年ぶりの新作『Panic of Girls』にベイルートの「Sunday Smile」のカヴァーが収録され、コンドン自身もトランペットで演奏参加するという意外な話題もあった。
コンドンが参加したブロンディの8年振り新作