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“ヴィンテージ・コレクション+plus”特別編~フランスとイタリアの名手たちによる室内楽名盤選Vol.1

フランスとイタリアの名手たちによる室内楽名盤選
ユニバーサルミュージックのご協力による『タワーレコード“ヴィンテージ・コレクション+plus”』特別編と致しまして、フランスとイタリア名手たちによる室内楽録音を発売いたします。2014年に発売し好評をいただいた「ウィーン・フィル室内楽名盤選Vol.1&2」「ベルリン・フィル室内楽名盤選Vol.1&2」に続く、室内楽シリーズとなります。

フランスとイタリアは、ドイツとオーストリアに勝るとも劣らないほど室内楽の盛んな国です。両国には18世紀まで遡ることのできる弦楽器演奏の長い伝統があります。フランスでは、19世紀前半にベートーヴェンの弦楽四重奏曲が他国に先んじて演奏されるようになり、19世紀後半には自国の作曲家たちも数多くの室内楽作品を発表し、新作演奏会やサロンでの演奏が盛んとなりました。イタリアではハイドンとほぼ同世代のボッケリーニが90曲もの弦楽四重奏曲を書き、自らチェロを弾いてヨーロッパ各地の王侯貴族のために演奏しました。19世紀にはロッシーニやパガニーニが仲間達との合奏のために親しみやすい室内楽作品を書いています。そして20世紀に入ると、小編成の合奏団や弦楽四重奏団が数多く組織され、世界的な団体がいくつも生まれました。

今回はユニバーサルが所有する音源からフランスとイタリアの名手たちによる室内楽の名盤を集め、第1弾として以下の5アイテムをセレクトしました。

今回の復刻でもアナログ録音に関しては、一部を除きマスター・テープに遡り192kHz/24bitでデジタル変換したハイビット・ハイサンプリング音源をCDマスターに使用し、極力初出時のオリジナル・ジャケット・デザインを採用しています

(1) ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集
 イタリア弦楽四重奏団

アナログ最盛期の優秀録音で聴く、歌と活力と対話に満ちたベートーヴェン像、CD8枚に集約

イタリア弦楽四重奏団は1945年、シエナ音楽アカデミーで知り合った4人の弦楽器奏者により結成されました。結成の背景には、第2次大戦で敗戦したイタリアに新しい室内楽の黄金時代を再建しようとした作曲家マリピエロの強力な後押しがありました。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は、モーツァルトと並ぶ彼らの中心的なレパートリーで、結成当初からその理想的な演奏のため、長い間研鑽を積みました。フルトヴェングラー未亡人の述懐によると、若い頃の彼らはフルトヴェングラーが戦時中に録音した弦楽四重奏曲第13番のカヴァティーナ楽章(弦楽合奏版)の演奏を聴いて衝撃を受け、この作品の解釈をすっかり変えたこともあったそうです。1967年から75年にかけて録音されたこの全集は、自らの演奏体験や他の演奏団体からの影響なども含め、彼らのベートーヴェン解釈の総決算として録音されました。この録音はLP時代よりもCD時代になって評価が高まり、再発売を繰り返していますが、それはオーソドックスな演奏の中に滲み出る伝統の厚みや解釈の深みによるものでしょう。いままでCD10枚組での発売でしたが、今回は作品のカップリングを工夫してCD8枚とし、お求めやすい価格を実現しました。

(2)ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12番《アメリカ》
 ボロディン:弦楽四重奏曲第2番
 イタリア弦楽四重奏団

格調高い造形美をもつ名演、オリジナル・カップリングで復活! ボロディンは世界初CD化!

イタリア弦楽四重奏団の特質としてしばしば挙げられるのは、イタリアという国に抱くイメージそのままの豊かな歌と艶やかな音色です。その点で、美しいメロディーにあふれたドヴォルザークとボロディンの作品演奏にはまさに打ってつけと言えそうです。しかし、彼らの演奏が甘美さや感覚美に流れているかと言えば、決してそうではありません。彼らの演奏には、作品全体に対する高い意識があり、場面によっては歌や音色を抑制しているからです。彼らはチェコやロシアの民族色に寄りかかることもありません。持ち前の歌や音色の魅惑を端正な造形に封じ込め、実に格調の高い演奏を成し遂げています。結果として、二人の作曲家がこの名品に示した洗練された構成美が浮かび上がりました。これは作品内容の再評価を迫る演奏と言えるでしょう。LP時代から親しまれた名盤ですが、ボロディンの弦楽四重奏曲第2番はこれまで第3楽章『ノクターン』だけがCD化されていたもので、他の楽章は今回が世界初CD化となります。

(3)モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番《狩り》
 プロコフィエフ:弦楽四重奏曲第2番、ルーセル:弦楽四重奏曲
 レーヴェングート弦楽四重奏団

1929年パリで結成された名団体による薫り高い名演。プロコフィエフとルーセルは世界初CD化!

レーヴェングート弦楽四重奏団は1970年代まで50年に渡って演奏活動を続けた往年のフランスを代表する名団体です。フランスの四重奏団らしくベートーヴェンの弦楽四重奏曲の演奏を長年追究する一方、フランス近現代作品も積極的に取り上げました。1950年代にドイツ・グラモフォンに録音したLPで、当時日本盤LPも発売され最も有名なのは1959年のフランスACCディスク大賞を受賞したドビュッシーとラヴェルの弦楽四重奏曲です。2012年にタワーレコード・オリジナル企画盤として世界初CD化しました(PROC-1238)。今回のプロコフィエフ(1941年作)とルーセル(1932年作)は、逆に最も知られざる名盤と言えるかも知れません。日本盤が発売されなかったことに加え、LP発売当時は作曲されたばかりの「現代音楽」だったからです。しかし、演奏はともに優れており、とくにルーセルは同曲の最初のLP録音として高い評価を受けました。解説の幸松肇氏も「とりわけ心技一体のバランスが取れた名演として、彼等が録音したLPの中でも出色の出来とされている」と書かれています。両曲とも世界初CD化です。モノラル時代に日本盤LPで親しまれ、海外でCD化されていたモーツァルトの『狩り』を組み合わせています。

(4)ラヴェル:弦楽四重奏曲
 プロコフィエフ:弦楽四重奏曲第2番
 カルミレッリ弦楽四重奏団

英デッカの優秀録音に残されたイタリアの名女流カルミレッリの超貴重盤。プロコフィエフは世界初CD化!

イタリアの女性奏者ピーナ・カルミレッリ(1914~93)と言えば、日本ではイ・ムジチ合奏団のリーダーとして有名で、晩年には日本で室内楽の講習会を開いたことでも知られていますが、若い頃に弦楽四重奏団を組織して盛んに演奏、録音していたことを知る人は少ないことでしょう。集中して手掛けたのはボッケリーニの室内楽演奏で、モノラル時代に多くの録音を残しています。そして1973年にイ・ムジチ合奏団のリーダーに就く前は、各国のレコード会社に分散して様々な室内楽録音を行いました。それらの中で最も光彩を放つのが英デッカにステレオ録音したこのラヴェルとプロコフィエフの1枚です。解説の幸松肇氏は「この演奏には、歌うということに関してカルミレッリが集中的に研鑽を積んだ成果が、ものの見事に表されている」とし「どこをとっても彼女の誠実さと率直さによって、生きた音となって結晶し、個性的な様式美の逸品だといってよい」と絶賛されています。ラヴェルの弦楽四重奏曲は、フィッツウィリアム弦楽四重奏団によるフランクとのカップリングで1992年にCD化されたことがありましたが、プロコフィエフはこれが世界初CD化となります。英デッカ、ステレオ初期の優秀録音にもご注目ください。

(5)チェロ・リサイタル
 フルニエ(チェロ)、ラッシュ(ピアノ)

バッハからガーシュウィンまで、「チェロのプリンス」フルニエが英デッカに残したリサイタル盤、世界初CD化!

ピエール・フルニエ(1906~86)は申すまでもなくフランスが生んだ20世紀最高のチェロ奏者で、その優美な音色と気品高い演奏から「チェロのプリンス」の異名をとったことでも知られています。バッハの無伴奏チェロ組曲やドヴォルザークのチェロ協奏曲など、大規模で構成的な作品において不滅の名盤を残している彼ですが、豊かな情緒と粋なセンスが横溢した小品演奏においても極めて高く評価されました。それは、ドイツ・グラモフォンと旧EMIに録音した小品集、そして2013年にタワーレコード企画盤で復刻したコンサートホールへの小品集(TWCO-45)と、様々なレーベルに小品集を残していることでも証明されるでしょう。そしてもう1枚、フルニエは英デッカにも小品集を残していました。1952年10月、ロンドン、デッカ・スタジオでのモノラル録音で、バッハからガーシュウィンまで小品7曲と、バッハのチェロ・ソナタBWV1027が入っています。このうちバッハのチェロ・ソナタだけは海外盤でCD化されたことがありましたが、他の7曲の小品がこれが世界初CD化となります。日本ではキングから1,500円の廉価盤LPで出て以来、約40年ぶりの復刻となります。冒頭のバッハから、フルニエの優美でいて引き締まった美音と絶妙な語り口にたちまち引き込まれること請け合いです。フルニエの素晴らしい名演奏を英デッカの定評あるモノラル録音でお楽しみください。