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『パウダー』他ジェリー・ゴールドスミス・セレクション

パウダー

豪快な映画音楽といえば、の巨匠であり、サントラ・ファンから絶大な人気は不動のジェリー・ゴールドスミス。60年代から2000年代まで精力的に発表された彼の作品は、なんといっても、他の追随を許さなかったほどの、切れ味鋭いスピーディさとパンチ力に溢れたオーケストラ・サウンドが魅力だが、そのサウンドにアレンジされて現れる彼ならではの澄んだ美しさを持つ優しいメロディの一面も、ファンが多い要因。近々、ファンの間でも重要作とされる2作品がCDリリースとなった機会に、現在入手可能なタイトルでジェリー・ゴールドスミスのお薦め作品を。

 

ジェリー・ゴールドスミス『パウダー』

後に、サラ・ブライトマンが、この作品のテーマ・メロディに歌詞をつけ「No One Like You」として歌ったため、広く知られるようになった、異色のゴールドスミス作品。『ジーパーズ・クリーパーズ』で知られるファンタスティック系カルト監督ヴィクター・サルヴァが創造した、ホラーではなくハートウォーム色濃いファンタジー。超能力を持ち、パウダー・スノーのような白い肌を持った少年が、世界と心を触れ合わせていく。ダイナミックなアドベンチャー・スコアで人気の巨匠ジェリー・ゴールドスミスが、人間ドラマ色濃い異色作に多く関わった90年代の作品中、ゴールドスミス・ファンからの支持も多い傑作。あまりにも美しいメロディを聴かせる一面と、ここぞというシーンで聴かせる、爆発力の強いオーケストラ・サウンドの両面を楽しめる。

 

ジェリー・ゴールドスミス『リンク』

巨匠ジェリー・ゴールドスミスにとって、80年代中期は、なんといっても、シンセサイザーとの衝撃的な出会いの時期で、電子楽器ならではの音色を用いつつも、オーケストラ・サウンドに似た構成でつくりあげられるスコアは独特の感触。そんなゴールドスミス・シンセ作品の中で、サスペンスフルな盛り上げとコミカルなテイストが融合した人気作。高い知能に育てられたチンパンジーの反乱を描く、才人リチャード・フランクリン監督のセンスが光った、見せるSFスリラー。

 

ジェリー・ゴールドスミス『チェーン・リアクション』

新技術を、めぐるハードアクションで、1996年ならではの劇画タッチで進行。ゴールドスミスのチェイス・サウンドは、豪快さとそののちに現れる美しさという、まさしく正統派ゴールドスミス・オーケストラ!『カプリコン1』『世界が燃えつきる日』のカタルシス!

 

ジェリー・ゴールドスミス『ワイルド・トレイル』

マカロニ・ウエスタンの波の終焉の頃のカルト傑作。なにしろ、マカロニの音楽にジェリー・ゴールドスミス!!(日本公開時、地方の同時上映はモリコーネの「非情の標的」!)リー・ヴァン・クリーフ、カトリーヌ・スパークまで登場、という、熱い大人たちの最後の贅沢、な一作。ここでジェリー起用ですから、ジェリーらしさが炸裂しないと意味ありません。美しい導入部から、一気にキャッチーで勇ましいジェリー節に一転するかっこいいメインタイトルから、うなるホーン! かけるストリングス!の世界。まさにジェリー流マカロニの解釈が面白い異色盤。ジェリー・ファンは必聴。マカロニというよりも、熱いアドベンチャー・スコア系ファンに。

 

ジェリー・ゴールドスミス『氷の微笑』

エロティック・サスペンス・ショッカーの傑作のサウンドトラック。ゴールドスミス自身も、自身の仕事の中で印象に残っている代表作としてあげている異色作。妖しげで、誘うようななまめかしいメロディによるテーマ、そして強烈なサスペンス。 巨匠が考えに考えたと言うサウンド・アイデアが見事に作品のイメージを完成させたといっていい、2つとないスコア。デヴィッド・リンチ系の映画音楽がお好みの方あたりにも、おすすめ。

 

ジェリー・ゴールドスミス『危険な道』

真珠湾攻撃の際の責任で陸上勤務となった艦長の息子とのドラマを軸にしたオールスター・ドラマ。音楽は、当時36歳のジェリー・ゴールドスミス。すでに多くの活劇音楽をものにしていたゴールドスミスですが、中でも、本サントラは、美しい愛のテーマからジャズ・テイストのナンバー、勇ましいバトル・テーマなど、さまざまなゴールドスミス・サウンドならではの迫力とドラマティックさを一度に聴かせてあきさせない、劇伴サントラの枠を超えたエンタテインメントとなっている。

 

ジェリー・ゴールドスミス『危険がいっぱい』

人気アイドル、へイリー・ミルズが修道学校でおてんばぶりを発揮する女学生をハツラツと演じる青春ガールズ・ムービー。すでに男性派アクションなどで職人ぶりを見せつつも、『野のユリ』といった美しい名作も書いていたゴールドスミスの、でも、ほぼ同ジャンルの別作品が見当らない、珍しいガールズ青春モノの音楽担当。しかし、そこは名匠、軽やかで、美しく、時にちゃめっけたっぷりで、最後には、じんわり感動させる、そんな心地良いサウンドです。ヴォーカル・ナンバーは、ニール・ヘフティ的なおしゃれさ。美しいゴールドスミス・サウンドのファンはもちろん、おしゃれなサントラが好きな人にもおすすめです。

 

ジェリー・ゴールドスミス『マジック』

レクター博士を演じる10数年前の、アンソニー・ホプキンス主演によるサイコ・スリラー傑作。人形に操られる 腹話術師!美しく、どこかユーモラスで、もちろんサスペンスフルに変身もするゴールドスミスらしい、一気に聴けるオーケストラ・スコア。ファンの中では、映画ともども、人気のダントツに高い作品でありながら、映画公開時にはサントラ盤発売がなかった激レアタイトル。美しいゴールドスミス・スコア・ファンに!

 

ジェリー・ゴールドスミス『トータル・フィアーズ』

主題歌ヨランダ・アダムス、主題歌作詞ポール・ウィリアムス、主題歌プロデュースはトレヴァー・ホ-ン。意外ですが、ジャック・ライアンものでジェリー御大はなんとこの作品が初登板です。久々に、テーマソングのメロディも、ジェリー作。 『ロシア・ハウス』でのパティ・オースティンの歌を思い出させる,大人のバラードです。御大のスコアは、メイン・メロディと独特の緊張感を聴かせての、静かながら壮大な大人のアドベンチャー・スコア。映画のスケールも大きくアップする興奮と感動のサウンドです。

 

ジェリー・ゴールドスミス『赤い仔馬』

仔馬と少年の友情、そして家族たちの暖かくも厳しい現実も見せるドラマ。もともとテレビドラマとして制作されているが、日本は劇場公開がされた。監督は『ガンファイターの最後』『ハックルベリー・フィンの冒険』のロバート・トッテン。少年の父親は、ヘンリー・フォンダ。そして、優しく悠然と、時に勇ましく、コミカルから颯爽としたシーンまで、さわやかで躍動感あふれるオーケストラは、『パピヨン』と同年の頃のジェリー・ゴールドスミス。メロディアスさと、劇伴としての表情の豊かさが楽しい。

 

ジェリー・ゴールドスミス『秘密殺人計画書』

若き日のジェリー・ゴールドスミス野心作。莫大な遺産にまつわる謎の連続死を追ううち、鍵を握るリストは、殺人鬼の手に! カーク・ダグラスのプロダクションがオールスターで見せるミステリー大作。ゴールドスミスは、いきなりキャッチーなメロディをメインタイトルで紹介し、畳み掛けるサスペンスフルさをブラス中心で組み立てて行く。過剰なまでのサービス精神に富む、スコアだけでもワクワクする、ゴールドスミス・ワールドをすでに堪能させる傑作。

 

ジェリー・ゴールドスミス『ワーロック』

魔法版ターミネーターと称され、ジュリアン・サンズの妖しい出で立ちがいかにもなスティーヴ・マイナー監督のアクの強いホラー・ファンタジー。で、音楽がゴールドスミス。来日時に興味深い発言も本人からあった本作だが、このジャンル・ファンこそたまらない怪しい作品を巨匠は、面白く料理する。音色のアクセントとして随所にシンセを使用しながら、メロディ重視でカラフルでミステリアスなオーケストラを聴かせてくる大サービス。

 

ジェリー・ゴールドスミス『砲艦サンパブロ』

1926年の中国に駐留する砲艦サンパブロの乗組員であるアメリカ兵たちが、中国国民党と学生の緊張の中に巻き込まれていく人間ドラマあふれる戦争スペクタクル。あらゆる娯楽映画ジャンルにおいて名作を残す巨匠ロバート・ワイズが『サウンド・オブ・ミュージック』の次に取り組み、当時37歳の俊英ジェリー・ゴールドスミスに音楽を任せた。前年の人間ドラマ『いつか見た青い空』でも見せ付けた詩情あふれるメロディのタッチを愛のテーマ的に使用し、豪快ながらも、柔らかな感触の、中国を舞台にしたゆえのアクセントも心地良く、美しい。戦争スペクタクルとしての切れ味するどいオーケストラさばきと、薫るような美しさのストリングスの場面をともに、ゴールドスミスらしさを楽しめる、文句なしの名作。

 

ジェリー・ゴールドスミス『2300年未来への旅』

巨匠ゴールドスミス の、これほどまでの電子音楽への挑戦、名作「猿の惑星」を 髣髴とさせる、あえてのテーマの不在とサウンドのアバンギャルド性、 そして一転してのラストナンバーの美しすぎる、ジェリー・メロディの 屈指の名曲「ローガンズ・ラン、愛のテーマ」での感動。 モンド・ファンにも、美しいオーケストラ・スコア・ファンにも、という、やはりカルト人気漂う傑作!

 

タグ : 映画 映画音楽

掲載: 2016年04月13日 09:45

更新: 2016年04月18日 16:44