ピアノで奏でるロシア・バレエ団の楽曲集~『コンスタンティン・リフシッツ~セゾン・リュス』
ロシアのピアニスト、コンスタンティン・リフシッツ。彼はこれまでOrfeoレーベルからはJ.S.バッハの作品を中心にリリースしていましたが、今回は全く傾向の違う作品をチョイスし、その豊かな才能をまざまざと見せ付けています。
1909年にパリのシャトレ座で旗揚げされたディアギレフ主宰のバレエ団“バレエ・リュス”は、当時のパリを中心に、人々に大きな影響を与えました。1910年からディアギレフが亡くなる1929年までのおよそ20年間、数多くのバレエ作品が生まれましたが、それらは音楽も含め、先駆的な美しさを持ち、また、いくつかの作品のパフォーマンスは、伝説的なエピソードを備え後世に語り継がれています。リフシッツは、この「バレエ・リュス」に関与した3人の作曲家の作品を選び、20世紀初頭のパリに巻き起こったロシア・ブームの雰囲気を伝えることを試みています。
ドビュッシーの「6つの古代の墓碑銘」はディアギレフの委嘱作ではありませんが、古代ギリシャの雰囲気を纏った作品で、バレエ・リュスの目指した「あらゆる美を統合する」世界に酷似しています。
ラヴェルの「ダフニスとクロエ」はバレエ・リュスのための作品ですが、実際には成功作とは言えず、現在では上演される機会は少なくなっています。リフシッツ自身の編曲は、野心的であり、オーケストラの醸し出す響きに比べても全く遜色がありません。
ストラヴィンスキーの「ミューズを率いるアポロ」は、「ペトルーシュカ」と「火の鳥」の大成功後に作曲された作品ですが、ここでのストラヴィンスキーは過激さを追及することなく、過剰な装飾を排した静かな音楽を書いています。ストラヴィンスキー自身のピアノ版は、そのシンプルさを一層強調しています。
リフシッツのために書かれたヤコウロフの「回転木馬」は、当時の時代へリンクさせ、人間の生命の循環にも思いを至らせる曲です。
(ナクソス・ジャパン)
【収録予定曲目】
[CD1]
ヤコウロフ(1958-):回転木馬 世界初録音
ドビュッシー:6つの古代の墓碑銘
ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」より~宗教的な踊り-ダフニスの踊りと全員の踊り / 遠い声 / クロエの哀願の踊り-牧羊神-パンの影-夜明け-パントマイム(コンスタンティン・リフシッツによるピアノ編曲版)世界初録音
[CD2]
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ミューズを率いるアポロ」(ストラヴィンスキーによるピアノ編曲版)世界初録音
【演奏】
コンスタンティン・リフシッツ(ピアノ)
【録音】
2012年6月2-4日、2012年12月、トーンスタジオ・ガブリエル
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2016年12月24日 00:00