カール・ベーム戦前のドレスデン~ウィーン時代の全貌が明らかに!『ザ・アーリー・イヤーズ(ICON)』(19枚組)
カール・ベームの名声が世界に轟いたのが1934年からのドレスデン国立歌劇場総監督時代でした。その名声を裏付けるように、独エレクトローラ(EMI)により当時としては異例なほど多くの録音が行われました。このBOXの19枚のうち、前半14枚はシュターツカペレ・ドレスデンとのセッション録音です。ベートーヴェンの第9交響曲を始め、世界初録音となったブルックナーの交響曲第4番と第5番など交響曲の大曲、オペラの名序曲や名場面の数々、親交があったR.シュトラウスの作品、ピアノのフィッシャー、バックハウス、ギーゼキング、ヴァイオリンのシュナイダーハンなどと共演した協奏曲の名曲が続々と録音されました。日本の愛好家にとって、これらの録音は長く国内発売されず幻の状態が続きましたが、1981年にベームが亡くなった後に一気にLPレコードで発売され、その多くに触れることができるようになりました。
さらに幻だった音源が、第2次世界大戦末期~戦後に行われたウィーン・フィルとの録音です。これらは当BOXのCD15~18に収録されています。1943年、ウィーン国立歌劇場の総監督に任命されたベームは、僅かな期間でアンサンブルを最高水準に導き、同歌劇場の黄金時代を築き上げます。同時に、ウィーン国立歌劇場を母体とするウィーン・フィルとの録音も盛んとなり、モーツァルトやブラームスの交響曲を中心としたSP録音を行いました。しかし、これらの録音は戦時中~戦後の混乱期に行われたため、ドイツやオーストリア以外での発売を見ず、長く全体像すらつかめない状態が続いていました。日本では好事家の努力により、これらの一部が市販のSP盤からの復刻で発売されたことがありましたが、今回、遂に独エレクトローラの原盤を継承したワーナーミュージックより、そのすべてが復刻される訳です。
CD19のフィルハーモニア管とのワーグナー集(これも極めて珍しい音源です!)を含めて、ベーム壮年期の芸術を知る上でかけがえのないセットの登場と言えるでしょう。
(タワーレコード)
カール・ベームは日本では1970年代から1980年代頭にかけて、爆発的な人気得、現在に至るまでドイツ・オーストリア作品解釈の第一人者として高く評価され、その伝統を守り抜きました。近年世界的にもその価値の高さが再評価されてきています。リズム感、テクスチャ、構造的な明快さを重視する彼の演奏は、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、R.シュトラウスにおいて時代を超えた不朽の解釈を我々に提示しています。このワーナーから発売するBOXは、1935年~1949年に旧EMI(ドイツ・エレクトローラ)へ行った現存する音源を全て収録したものです。全ての音源は、現存する一番良い状態のマスターより24bit/96kHzリマスターされています。
(ワーナーミュージック・ジャパン)
【収録予定曲:独奏者・演奏団体:録音】
【Disc1】モーツァルト:1) ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調K.219, 2) ホルン協奏曲第3番変ホ長調K.447, 3) アイネ・クライネ・ナハトムジーク K.525, 4) 歌劇『後宮からの逃走』K.384序曲, 5) 歌劇『フィガロの結婚』K.492序曲, 6) ベートーヴェン:レオノーレ序曲第3番Op.72b ~ ヤン・ダーメン(ヴァイオリン:1), マクシミリアン・ツィモロング(ホルン:2), シュターツカペレ・ドレスデン[録音]1938-1940年/
【Disc2】ベートーヴェン:1) 交響曲第9番ニ短調Op.125, 2) エグモント序曲Op.84 ~マルガレーテ・テシェマッハー(ソプラノ:1), エリーザベト・ヘンゲン(アルト:1), トリステン・ラルフ(テノール:1), ヨーゼフ・ヘルマン(バス:1), ドレスデン国立歌劇場合唱団(1), シュターツカペレ・ドレスデン[録音]1941(1), 1935年(2)/
【Disc3】ベートーヴェン:1) ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.61, 2) ピアノ協奏曲第4番ト長調Op.58 ~マックス・シュトループ(ヴァイオリン:1), ヴァルター・ギーゼキング(ピアノ:2), シュターツカペレ・ドレスデン[録音]1939年/
【Disc4】ベートーヴェン:1) ピアノ協奏曲第3番ハ短調Op.37, 2) ピアノ協奏曲第5番変ホ長調Op.73「皇帝」~リュブカ・コレッサ(ピアノ:1), エトヴィン・フィッシャー(ピアノ:2), シュターツカペレ・ドレスデン[録音]1939年/
【Disc5】1) ブラームス:交響曲第4番ホ短調Op.98, 2) シューベルト:軍隊行進曲第1番D.733, 3) ベルリオーズ:ハンガリー行進曲, 4) チャイコフスキー:イタリア奇想曲Op.45(抜粋), 5) プフィッツナー:交響曲ハ長調Op.46 ~ シュターツカペレ・ドレスデン[録音]1938-1940年/
【Disc6】1) ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調Op.83, 2) シューマン:ピアノ協奏曲イ短調Op.54 ~ ヴィルヘルム・バックハウス(ピアノ:1), ヴァルター・ギーゼキング(ピアノ:2), シュターツカペレ・ドレスデン[録音]1939年(1), 1942年(2)/
【Disc7】ブラームス:1) ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.77, 2) ハンガリー舞曲第5&6番, 3) レーガー:モーツァルトの主題による変奏曲とフーガOp.132 ~ ヴォルフガング・シュナイダーハン(ヴァイオリン:1), シュターツカペレ・ドレスデン[録音]1940年(1), 1938年(2, 3)/
【Disc8】1) ウェーバー:歌劇『オベロン』序曲, 2) ウェーバー:歌劇『魔弾の射手』序曲, 3) ウェーバー:歌劇『魔弾の射手』より「狩人の合唱」, 4) グノー:歌劇『ファウスト』より「兵士の合唱」, 5) ヴェルディ:歌劇『アイーダ』より第1幕への前奏曲, 6) ヴェルディ:歌劇『オテロ』より二重唱「Bei des Himmels ehernem Dache」, 7) レオンカヴァッロ:歌劇『道化師』より間奏曲, 8) プッチーニ:歌劇『西部の娘』より「Lasset sie glauben」, 9) マスカーニ:歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』より「復活祭の合唱」, 10) マスカーニ:歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』より間奏曲, 11) J.シュトラウスII:喜歌劇『こうもり』序曲, 12) J.シュトラウスII:喜歌劇『千一夜物語』より間奏曲, 13) J.シュトラウスII:皇帝円舞曲, 14) レズニチェク:歌劇『ドンナ・ディアナ』序曲, 15) ベルガー:ロンディーノ・ジョコーソ ~ クリステル・ゴルツ(ソプラノ:9), トルステン・ラルフ(テノール:6, 8), ヨーゼフ・ヘルマン(バリトン:6), ドレスデン国立歌劇場合唱団(3, 4, 9), シュターツカペレ・ドレスデン[録音]1938-1940年/
【Disc9】ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」~ シュターツカペレ・ドレスデン[録音]1936年11月9-11日/
【Disc10】ブルックナー:交響曲第5番変ロ長調 ~ シュターツカペレ・ドレスデン[録音]1937年11月1-3日/
【Disc11】1) ワーグナー:歌劇『さまよえるオランダ人』序曲, 2-3) 歌劇『タンホイザー』より「序曲」「大行進曲」, 4-6) 歌劇『ローエングリン』より「貴族たちの祝福の合唱」「第3幕への前奏曲」「婚礼の合唱」, 7-8) 楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』より「第1幕への前奏曲」「ニワトコの独白」, 9) フンパーティンク:歌劇『ヘンゼルとグレーテル』序曲, 10) スメタナ:歌劇『売られた花嫁』序曲 ~ヨーゼフ・ヘルマン(バリトン:8), ドレスデン国立歌劇場合唱団, シュターツカペレ・ドレスデン[録音]1939-1940年/
【Disc12】R.シュトラウス:1) 交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯』Op.28, 2) 交響詩『ドン・ファン』Op.20, 3) 歌劇『サロメ』より「7つのヴェールの踊り」, 4-6) 歌劇『ばらの騎士』より「その眼に涙を溜めて」「第3幕のワルツ」「これは夢、本当ではありえないわ」, 7-9) 歌劇『ダフネ』より「O wie gern blieb‘ ich bei dir」「Gotter! Bruder im hohen Olympos!」「Wind… Spiele mit mir!」~エシュテル・レーティ(ソプラノ:4.6), エリーザベト・ヘンゲン(アルト:4.6), トルステン・ラルフ(テノール:8), マルガレーテ・テッシュマッハー(ソプラノ:7.9), シュターツカペレ・ドレスデン[録音]1938, 1940年/
【Disc13-14】1) ワーグナー:楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』より第3幕(全曲)~ハンス・ヘルマン・ニッセン(バリトン:ザックス), オイゲン・フックス(バリトン:ベックメッサー), トルステン・ラルフ(テノール:ヴァルター), マルガレーテ・テシェマッハー(ソプラノ:エファ), スヴェン・ニルソン(バス:ポーグナー),他, ドレスデン国立歌劇場合唱団, シュターツカペレ・ドレスデン[録音]1938年8月, 2) ワーグナー:楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』より第3幕への前奏曲~ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団[録音]1936年, 3) ニコライ:歌劇『ウィンザーの陽気な女房たち』序曲~ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団[録音]1936年, 4) ロルツィング:喜歌劇『ロシア皇帝と船大工』より「木靴の踊り」~シュターツカペレ・ドレスデン[録音]1935年, 5) ロルツィング:喜歌劇『ウンディーネ』よりバレエ音楽~シュターツカペレ・ドレスデン[録音]1935年/
【Disc15】1) シューベルト:交響曲第8番ロ短調D.759「未完成」, 2) ブラームス:交響曲第2番ニ長調Op.73 ~ ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団[録音]1940年(1), 1942年9月(2)/
【Disc16】1) J.S.バッハ:『管弦楽組曲第3番ニ長調』より「アリア」, 2) モーツァルト:交響曲第35番ニ長調K.385「ハフナー」, 3) ブラームス:交響曲第1番ハ短調Op.68 ~ ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団~ ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団[録音]1942年10月(1. 2), 1944年11月(3)/
【Disc17】モーツァルト:1) 交響曲第25番ト短調K.183, 2) 交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」~ ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団[録音]1947年11月(1), 1949年3月(2)/
【Disc18】1) モーツァルト:歌劇『劇場支配人』序曲K.486, 2-4) モーツァルト:『セレナータ・ノットゥルナ』K.239, 5) モーツァルト:『ハフナー・セレナード』K.250よりロンド, 6) モーツァルト:『ディヴェルティメント第11番ニ長調』K.251より第1楽章, 7) ヨハン・シュトラウスII:ワルツ『朝刊』Op.279, 8) ヨハン・シュトラウスII:ワルツ『南国のばら』Op.388, 9) ヨゼフ・シュトラウス:ワルツ『天体の音楽』Op.235, 10) ヨハン・シュトラウスII:『新ピッツィカート・ポルカ』Op.449, 11) フランツ・シュミット:歌劇『ノートルダム』より間奏曲, 12) プッチーニ:歌劇『トゥーランドット』より「氷のような姫君も」 ~ ヴィリー・ボスコフスキー(ヴァイオリン:5), エリーザベト・シュヴァルツコップ(ソプラノ:12), ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団[録音]1947年, 1949年, ※(2-4)は世界初出音源/
【Disc19】ワーグナー:1) 楽劇『ワルキューレ』第2幕より「ジークムントよ! 私を見てください」, 2) 楽劇『トリスタンとイゾルデ』第2幕より「おお、沈み来たれ、愛の夜よ」~ キルステン・フラグスタート(ソプラノ), セット・スヴァンホルム(テノール), コンスタンス・シャックロック(コントラルト:2)フィルハーモニア管弦楽団[録音]1949年6月
【演奏】カール・ベーム(指揮)
カテゴリ : ニューリリース | タグ : ボックスセット(クラシック)
掲載: 2017年03月27日 00:00