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シゲティ畢生の名盤モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ集が米ヴァンガード提供の音源よりXRCD化!

シゲティのモーツァルト

 シゲティによるモーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ集はモーツァルトの生誕200年にあたる1956年を目指して前年の1955年、ニューヨークのColumbia 30th Street Studioにて一気にモノラル録音されました。このうち、3月23日~25日に録音された変ロ長調K.454と変ホ長調K.481は同郷の大指揮者ジョージ・セル(1897~1970)がピアノを受けもち、1956年に米コロムビアより「Mozart Bicentennial Commemorative Issue 1756-1956 」の1枚としてモノラルLPで発売されました(規格品番はML5005)。

 ところが1955年4月、5月、10月にミエチスラフ・ホルショフスキと録音した残りの13曲は長くお蔵入りとなり、1968年になってようやく、先のセルとの2曲とともに米ヴァンガードから初発売されました(規格品番はSRV262~4SD、SRV265~7SD)。LPレコードは各3枚組の2セット、計6枚で、ステレオ時代に入っていたことから元々のモノラル録音は擬似ステレオ化されました(本セットにはオリジナル通りモノラルで収録されています)。

 シゲティは若い頃からモーツァルトのソナタや協奏曲をレパートリーに入れ、それぞれ1曲ずつ(ソナタ ホ短調K.304、協奏曲第4番ニ長調K.218)SPレコードに録音するなど、積極的に演奏していました。彼の「即物的」とも「新古典主義的」とも言われた造形感覚と音楽への直截なアプローチは、シンプルな譜面の中にあらゆる人間感情が封じこまれたモーツァルトの音楽の再現にもっとも相応しいものでした。まだまだロマンティックな演奏様式が主流だった20世紀前半において、シゲティはモーツァルトの音楽の真の美しさと深い内容をストレートに描き出していた訳です。

1956年のモーツァルト生誕200年に向けた彼の意気込みと、その解釈の集大成が聴かれるこれらのソナタ集は、単にこの巨匠ならではの名演奏というだけでなく、モーツァルト演奏史においても記念碑的な意義をもつもとと言えるでしょう。
(タワーレコード)

 

過去最高の感動をもたらす驚きの音質で登場!
心をえぐる強烈なヴァイオリン、唯一無二の仄暗い音色。
XRCDで蘇る、怖いくらいに武骨なモーツァルト!

至高の名演を過去最高水準で音盤化し、大きな反響を得たバッハの無伴奏ヴァイオリン作品集(GCAC-1002)に続く、シゲティのXRCDシリーズ第2弾。CD4枚分残されたモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ録音を2枚組2セットに分けて発売します。今回もVanguard Classic提供の公式音源に名エンジニア杉本一家氏がリマスターを施し、通常CDプレーヤーで再生できる高音質フォーマットであるXRCDとして丁寧に仕上げました。もともと特徴的なオンマイク録音で有名でしたが、XRCD化によりぐっと生々しさを増し、シゲティの武骨なヴァイオリンが怖いくらいの圧倒的な存在感で迫る、かつてない音像を実現しています。ライナーノートには安田和信氏による18ページに及ぶ読み応えある曲目解説(I、II共通)を収録しており、モーツァルトの人生の流れと共にヴァイオリン・ソナタの全貌が掴めます。これぞ愛好家必携のディスク、ぜひ2セット揃えてお楽しみください。
(キングインターナショナル)

モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ集 I

[CD1]
ヴァイオリン・ソナタ ト長調 K.301(第25番)
ヴァイオリン・ソナタ ハ長調 K.303(第27番)
ヴァイオリン・ソナタ イ長調 K.305(第29番)
ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 K.302(第26番)
ヴァイオリン・ソナタ ハ長調 K.296(第24番)
[CD2]
ヴァイオリン・ソナタ ホ短調 K.304(第28番)
ヴァイオリン・ソナタ ニ長調 K.306(第30番)
ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調 K.376(第32番)
ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調 K.377(第33番)

ヨゼフ・シゲティ(ヴァイオリン)
ミエチスラフ・ホルショフスキー(ピアノ)
録音:1955年/ニューヨーク

K.302の何の変哲もないロンドから、まるで霊魂が飛び出すような奇演を生み出すあたり、まさにシゲティの独壇場。特に短調に転調した場面のまがまがしさは誰にも真似できないもので、モーツァルトの音楽に潜む恐ろしさを真正面から体現しています。ホルショフスキーのピアノも甘くならず硬派で、シゲティと相性抜群です。

有名なホ短調ソナタではふたりのユニゾンの微妙なずれと震える弱音が聴く者の心を乱します。美しいメヌエットも感傷に流される気配は皆無で、ヴァイオリンが強靭な重さをまとい、ピアノに伸し掛かってきます。時折、ごう、と燃えるように膨らむシゲティ特有の節回しにもゾクゾク。何度聴いても予断の許されぬ演奏です。
(キングインターナショナル)

モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ集 II
[CD1]
ヴァイオリン・ソナタ 変ロ長調 K.378(第34番)
ヴァイオリン・ソナタ ト長調 K.379(第35番)
ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 K.380(第36番)
[CD2]
ヴァイオリン・ソナタ 変ロ長調 K.454(第40番)*
ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 K.481(第41番)*
ヴァイオリン・ソナタ イ長調 K.526(第42番)

ヨゼフ・シゲティ(ヴァイオリン)
ミエチスラフ・ホルショフスキー(ピアノ)
*ジョージ・セル(ピアノ)
録音:1955年/ニューヨーク

K.379が凄まじい演奏です。重厚なアダージョでの、愚直なまでに切々とした歌。そしてアレグロ突入後の激情のト短調!力が入るとシゲティの求める音楽がひとつの音には収まりきらず、周りの音に滲んで生々しい爪痕を残します。続く変奏曲も本来平明な長調の世界のはずが、ただごとではない雰囲気。闇の中ぼんやりと青白く光るヴァイオリンの音。引っ掻くようなピッチカートも強烈です。

セルがピアノを弾いた2曲を収録。細かいパッセージやトリルを玉のように美しく奏で、実にモーツァルトらしいピアノを聴かせています。これを聴くと彼が記憶に留めるべき素晴らしいモーツァルト弾きであったことが分かるでしょう。
(キングインターナショナル)

カテゴリ : ニューリリース | タグ : ボックスセット(クラシック)

掲載: 2017年03月30日 00:00