テディ・パパヴラミ&フランソワ=フレデリック・ギィ共演!ベートーヴェン“ヴァイオリン・ソナタ全集”(3枚組)
生粋のベートーヴェン弾き、フランソワ=フレデリック・ギィが鬼才ヴァイオリニスト、パパヴラミとヴァイオリン・ソナタ全曲を録音!ベートーヴェンのスペシャリストとして名を馳せるギィの、音楽に寄り添った精妙な語り口が実に聴きものです。パパヴラミとのアンサンブルも申し分なく、2 人のバランス感覚の見事さに唸らされます。初期作品では軽やかな走句が明快にきらめきながら歌われ、中期以降は段々とダイナミックな静と動との対立が現れてきます。単に美しいだけと思われがちな『春』第1 楽章でも展開部から再現部にかけてのいびつさ、激烈さがしっかりと表現されており、かといってやり過ぎにならず絶妙なセンスを感じます。力強い協奏が圧巻の『クロイツェル』もやはり必聴ですが、一番の名演は最後の第10 番。ヴァイオリンとピアノが完全に一体となっています。ふわりと幻想的なトリルが虚空に舞い、繊細な予感にあふれた転調は水彩画のごとし。それでいて確固たる音楽を感じる演奏で、ベートーヴェン後期のピアノ・ソナタや弦楽四重奏曲と同じ地平がはっきりと想起されます。これはぜひ聴いて頂きたい素晴らしい全集です。
フランソワ=フレデリク・ギィは1969 年フランス生まれで、ドイツものの堅実な演奏で大変好評を得ているピアニストです。同EVIDENCE レーベルからブラームスのピアノ・ソナタ全集(EVCD-022)、グザヴィエ・フィリップスとのベートーヴェンのチェロ・ソナタ全集(EVCD-015)をリリースしているほか、ベートーヴェンに関しては別レーベルからもピアノ・ソナタ全集、ピアノ協奏曲全集、そしてアンヌ・ガスティネルとのチェロ・ソナタ全集などをリリースしています。
ヴァイオリンのテディ・パパヴラミは1971 年アルバニア生まれで、幼少の頃フランスに移住。高い技巧と研ぎ澄まされた表現力が魅力で録音も非常に多く、出版された自伝も話題になりました。ベートーヴェンのディスクは今作が初。2017 年のラ・フォル・ジュルネで来日した際にギィと共演し見事な『春』を披露しましたので、CD を心待ちにしていた方も多いでしょう。
(キングインターナショナル)
【曲目】
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集
[CD1]
第1番ニ長調 Op.12-1
第2番イ長調 Op.12-2
第3番変ホ長調 Op.12-3
第4番イ短調 Op.23
[CD2]
第5番ヘ長調『春』 Op.24
第6番イ長調 Op.30-1
第7番ハ短調 Op.30-2
[CD3]
第8番ト長調 Op.30-3
第9番イ長調『クロイツェル』 Op.47
第10番ト長調 Op.96
【演奏】
テディ・パパヴラミ(ヴァイオリン)
[ストラディヴァリウス「La Reynier」1727 年 LVMHファンデーションより貸与]
フランソワ=フレデリック・ギィ(ピアノ)
[スタインウェイ D-274 no.584407]
【録音】
2016年11月22-26日、2017年3月1-5日
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2017年10月23日 00:00