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ポルトガル・ザ・マン(Portugal. The Man)、全米大ヒットシングル「Feel It Still」収録のアルバム『Woodstock』

Portugal. The Man

Photo by Maclay Heriot

 

極寒の地アラスカで誕生し、2006年のデビュー以降現在までに7枚のアルバムを発表、コーチェラやボナルー、ロラパルーザといった各地のフェスティヴァッルへの出演やツアーに次ぐツアーで、ロックのDIYを全てマスターしてきた最凶のサイケデリック/オルタナティヴ・ロック・アクト、PORTUGAL. THE MAN。前作発表直後となる2013年7月にはFUJI ROCK FESTIVAL出演のためここ日本の地を踏み、悪天候ではありながらその雨をも吹き飛ばしてしまうくらいの素晴らしいパフォーマンスを見せつけたことも記憶に新しいところだろう。

ほぼ1年に1枚のペースでアルバムを発表してきた彼らだが、前作『EVIL FRIENDS』から4年という年月を経て今回完成させたのが、この最新作『WOODSTOCK』だ。前作ではあのDANGER MOUSEとのコラボレーションという形を取り、新たなPORTUGAL. THE MANサウンドを確立させたのだが、それに続く最新作にたどり着くために、彼らは非常に長い道のりを経てきたのだという。

前作発表後ツアーを続けながらいつものように次なる新作(当時新作のタイトルはGLOOMIN + DOOMINになると伝えられていた)のために楽曲を書き始めていたのだが、数多くの楽曲を書き上げながらも、どの曲にも自分達の納得する方向性を見い出せないまま時だけが過ぎていく。そこでバンドのフロントマンであるJohn Gourleyは地元アラスカに戻り、そこで次のアルバムの軌道をがらっと変えるほどの経験をすることになったという。

その一つは父親からの「なぜそんなに時間がかかってるんだ? 曲を書いて発表する、それがバンドのすることだろう?」という、バンドへの愛情から来る正直かつ辛辣な言葉だった。この言葉は深くJohnの胸に突き刺さり、改めてなぜ行き詰ってしまったのかを見つめ直すきっかけになる。そしてもう一つは、偶然実家で見つけた、父親がとっていた69年のWOODSTOCK FESTIVALのチケットの半券だった。この半券を見つけた彼は父親とWOODSTOCKの話をし、当時の状況などを聴き、ふと、当時のバンドのように、自分達のバンドも現在の世界の状況に対して何等かのメッセージを発信する必要があるのだ、という事に気付いたのだという。

この小さな2つの出来事がバンドに再び活力を与えることになる。現在の活動拠点となっているポートランドに戻った彼は、それまで3年かけて書き溜めていた曲を全て捨て、新たな気持ちで新作の準備に取り掛かることにしたのだ。過去にも仕事をしたことがあるJohn Hill(6作目『IN THE MOUNTAIN IN THE CLOUD』やDANGER MOUSE(前作『EVIL FRIENDS』)、MIKE Dや、バンドの長年のコラボレイター、Casey Batesらとともに一気に曲を完成させレコーディングを行なったのが、難産の上に生み出されたこの最新作『WOODSTOCK』なのだ。アルバムのタイトルは、父親との会話のトピックでありJohnに新たな方向性を見出しすきっかけとなったWoodstock Festivalからとられたもの。

先行で発表されたシングル「Feel It Still」は全米ラジオTriple Aフォーマットで堂々の1位を獲得、Modern RockチャートでもTop 10入りを果たすなど、既に大きな話題を呼ぶ楽曲となっている。常に独自の音世界を作り続けてきた彼らが、外部コラボレーターとの制作活動を経て、再び自らのサウンドを追い求めてようやくたどり着いた新たなる新境地とも言えるこの最新作は、さらに大きなうねりを呼び起こすことになるだろう。

タグ : UK/US INDIE

掲載: 2017年10月31日 10:34

更新: 2018年02月08日 17:00