Radio Ensembles Aiida(ラヂオ Ensembles アイーダ)、VLZ PRODUKTより初の作品集『「IN A ROOM (Radio of the Day#1)」』をリリース
BCLラジオを複数台使用したパフォーマンスを行う、女性アーティストA.Mizukiによるソロユニット「Radio Ensembles Aiida」の初の作品集が完成した。
「IN A ROOM (Radio of the Day#1)」というタイトルに表れているように、全ての録音は彼女の部屋で行われた。
日々彼女を取り巻く、朝の鳥の鳴き声、雨音、終電車、そしてPCや様々な電化製品の発する電磁波など全てを取り込んだ、とある日常の中のアンサンブルのDiary。
リレースイッチの電流制御により生まれる硬派かつシンプルなビートや電磁波音響サウンドは、かつて90年代を席巻したPansonicやnoto、mego勢が提示したエラーテクノイズを彷彿とさせる。
しかし、全てのトラックがフィールドレコーディングの手法で行われていることに加え、回転するターンテーブル上に置かれたラジオから発生する立体的なロータリーサウンドが作り出す空間へのアプローチにより、プリミティブかつトライバルな空気感をたたえつつ、日常では通常避けるはずのラジオの発するノイジーなサウンドをより身近なものであると認識出来る、不思議な作品集に仕上がっている。
そしてそれはまるで、彼女がラジオのスイッチをONにした瞬間から発生する引力に引き寄せられ集まった様々なサウンド達が執り行う祝祭の儀式の「現地録音」のようである。そして、彼女はその中の一員にすぎないのかもしれない、という錯覚さえ覚えるのだが、確実にその場を支配しているのは、やはり彼女なのだと、ふと気づく瞬間が訪れる、非常に魅惑的な音響ノイズ作品である。
日常に溢れる環境音や飛び交う電磁ノイズ全てを引き込む「解放された密室」で精製されたこの音楽は、2017年最新の「都市型フォルクローレ」と呼べるかもしれない。
<使用ラジオ>
ナショナル クーガ RF-2200、 ナショナル クーガ RF-1150、 ナショナル クーガ No.7 (RF-877)
・ライナーノーツ : 佐藤薫(EP-4)
・マスタリング : 中村としまる
・ジャケットデザイン : 河村康輔
【Radio Ensembles Aiida / ラヂオ Ensembles アイーダ】
A.Mizuki による ソロ・サウンド ユニット。複数のBCLラジオが偶然 織り成す一期一会の送受信音と、リレースイッチの電流制御や ターンテーブルの回転運動によって生まれるリズム/ビート をコンダクトし、ラジオ特有の ノイジー且つグルーヴィな音世界を紡ぎ出す。短波ラジオ・AMラジオ・FMラジオの電波を駆使した、シンプル且つ大胆な手法によるアコースマティックな電波サーフ。繊細ときに爆音 。
【VLZ PRODUKTその他の作品】
Stephen Cornford / Kinetic Sculptures
実験音楽家Stephen Cornfordの初期作品集。今作では、バイオリン、ギター、ピアノなど既存の楽器を使用。それぞれの楽器の持つ、音を発する機構の部分を拡張し、視覚的/聴覚的に全く新しい領域を提示してみせる。
Veltz / [SECRET PERFORMANCE] WORKS 2009-2015
オメガポイントからのアルバム「アナログテレビに捧ぐ」から2年半。今作はVELTZの幅広い実験性を更に広範に渡り収録した、未発表を多数含むアーカイブ盤。多才な実験性に溢れる実験結果を収録。VELTZの掲げるテーマである「廃棄物による音楽の再構築」が如実に表れていると共に、今後のよりPOPな方向への架け橋として重要な作品。
The New Blockaders / Live At The Rammel Club/The Dome
デビューから30周年にあたる2012年に行われた貴重なライブを2トラック収録。「Live At The Dome」はブロークンフラッグ フェスティヴァル「Never Say When」での演奏。ひりつくようなハウリングによる重低音持続音、突き刺さる金属の摩擦や回転による軋轢、手につかめそうな物音にまで昇華されたオシレーターサウンド、接触不良音にオーディエンスの狂気も加わり、臨場感溢れるライブトラックになっている。また「Live At The Rammel Club」はHarbinger Sound フェスティヴァルでの演奏。会場が小さく、また録音状態も影響して非常にカオス度の高く、現場の空気の密度の濃さがダイレクトに伝わる。
掲載: 2017年11月21日 17:29