タニア・チェンが、サーストン・ムーア、デヴィッド・トープなどと共にジョン・ケージの“ELECTRONIC MUSIC FOR PIANO”を録音!
[OmnivoreRecordings 公式チャンネルより]
前衛芸術に多大な影響を与えた作曲家/音楽家、ジョン・ケージ。詩人でもあり思想家でもある彼が、60年代に発表しながら、これまであまり録音作品として発表されることのなかった『ELECTRONIC MUSIC FOR PIANO』が、CDとしてリリースされる。
1964年、ストックホルムにて、ホテルのレターヘッドに書かれた『ELECTRONIC MUSIC FOR PIANO』は、”不確定性の音楽”や”偶然性の音楽”の作品を発表していたこの時期のジョン・ケージらしい作品らしく「ジョン・ケージの『ピアノのための音楽』の第4~84番から演奏者がパートを選び、電子楽器で演奏すること」と綴られた曲である。ここに指定されたもの以外は全て演奏者にゆだねられた作品なのだ。
この『ELECTRONIC MUSIC FOR PIANO』に取り組むのは、ロンドンを拠点に活躍するピアニスト、タニア・チェン。実験音楽、現代音楽、フリー・インプロヴィゼーションを中心に世界で活躍する彼女は、ジョン・ケージやコーネリアス・カーデュー、モートン・フェルドマンらの作品の演奏者としても知られている。レコーディングは、ロンドンとカリフォルニアのバークレーで行われ、タニア・チェンは、ソニック・ユースのサーストン・ムーア、そしてフライング・リザードのメンバーでもあったデヴィッド・トープ、そしてWobblyことジョン・ライデカーと共に、作曲家/ジャズ・ミュージシャンのジノ・ロベア(Gino Robair)のプロデュースの下、この曲のニュー・ヴァージョンを作り出した。
本CDに収録されている約70分の演奏には、かつてジョン・ケージがこの作品に思い描いていたであろう様々な要素が反映されている――アーティストが現代のテクノロジーを使い、一つの芸術作品を今日的で、啓発的、それでいて驚かせるようなものとして維持し続けているのだ。CDブックレットには、ジノ・ロベアによる解説が収録されているが、その中で彼はこう作品を説明している:「『ELECTRONIC MUSIC FOR PIANO』の演奏は、唐突な(時には猛烈な)変化や、3分近くにも及ぶ沈黙が含まれている。また演奏の人為的結果も聴こえるだろう――例えば、ピアノの椅子が軋む音や、ミュージシャンが身体を動かした時に生まれた音を――そしてそれらは、”音楽が演奏されている中で生まれた沈黙の不完全さに対する考察”という譜面の記載に対する声明でもあるのだ」
この作品が50年間以上に作られたことは驚きに値するが、その楽曲がここまで時代を超えた普遍的なものに解釈されたことも、また感心すべきだろう。
(ワーナーミュージック)
『John Cage: Electronic Music For Piano (Feat. Thurston Moore, David Toop & Jon Leidecker) 』
【曲目】
ジョン・ケージ:
Electronic Music for Piano (69:12)
【演奏】
タニア・チェン(ピアノ)
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2018年02月28日 00:00