CANのIrmin Schmidt(イルミン・シュミット)の新作『5つのピアノ作品集』
イルミン・シュミット曰く「この楽曲たちは自然な瞑想状態というか、演奏したのは 一度だけでそれを同時に録音していったんだ。エディットや修正も一切しなかった。全ては、シューベルト、ジョン・ケージ、雅楽やCAN などが秘めたエモーショナルな 記憶から形成された楽曲たちだね」『5つのピアノ作品集』はガレス・ジョーンズのプロデュースにより、南フランスにあるイルミン・シュミット所有のグランドピアノ2台を使って録音された。
一つ はジョン・ケージ直伝のプリペアドのプレイエルのピアノを使い、もう一つのピアノは製造から100年を数えるスタンウェイのピアノであったが、それはプリペアドを施されていないものであった。何曲かはプリペアドのピアノ一本で一度きり演奏したものを録音したもので、その他は2台のピアノを使ったものであった。アンビエントなサウンドはイルミン・シュミットのスタジオの周囲の音をその場で録音したもので、この他には一切楽器や電子的な機材は使用されていない。作曲家として、そしてCANのメンバーの一人として、イルミン・シュミットが作曲してきた作品は100を超える。CAN以外で1ダースを超えるソロ作品や、“ゴーメンガースト”なるマーヴィン・ピークの小説をもとにしたオペラ作品を書き上げた。2015年には彼の芸術や文化への貢献からフランスにおける最高の栄誉である芸術文化勲章を授与され、2018年には“CAN- All Gates Open”が出版されたが、それは2つのパートによって構成されており、最初のセクションはロブ・ヤングによって書かれたCANのバイオグラフィー、2つめのセクションはイルミン・シュミットによるインタビューや日記を編集しコラージュしたものでまとめられている。
イルミン・シュミットによるこの作品は、この秋に行われるブラウンシュヴァイク国際映画フェスティヴァルの大きな部分を占める。またそこでは彼が作った映画音楽作品の回顧展などのイベントも行われる。またグレゴール・シュレンバッハとコラボして書いたオーケストラ用の2つの新作も披露される予定だ。一つは“CAN Dialog”なる2017年のバービカンで披露されたCANをモチーフにした作品、それと“Filmmusiken”というイルミン・シュミットのサウンドトラック数作品のオーケストレーションである。彼は11月に行われるこの映画フェスティヴァルで、ブラウンシュヴァイク州立交響楽団を指揮して“Filmmusiken”の初披露を行う予定だ。そして、ロンドン以外の地では初めて“CAN Dialog”が披露されることとなる。2018年の終盤にはベルリンのフォルクスビューネでCAN の作品に敬意を評してこの2作品の演奏が行われる予定で、彼がバベルスベルグ・ドイツ・フィルム・オーケストラを指揮する。それに続いてヨッヘン・アルバイト(アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン)によるキュレーションのもとCANのトリビュート・コンサートが行われる予定。またベルリンのバビロン・シネマではシュミットの映画音楽作品の回顧展とQ&Aセッションが一週間を通して行われる。
CAN は、2017年シングル23曲を収録したアルバム『ザ・シングルズ』を発売した。この作品は、“Halleluwah”、“Vitamin C”や“I Want More”といった有名な曲から、あまり一般には浸透してない作品まで、また超レアなシングル曲“Silent Night” や“Turtles Have Short Legs”まで収録されている。全ての楽曲が当時リリースされたシングル・ヴァージョンで収録されている。
掲載: 2018年11月07日 16:53