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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.2

マイルス・デイヴィス『カインド・オブ・ブルー』(1959)

KIND OF BLUE

マイルス・デイヴィス(tp)
ジョン・コルトレーン(ts)
キャノンボール・アダレイ(as) on 1.,2.,4.,5.
ビル・エヴァンス(p) on 1.,3.,4.,5.
ウィントン・ケリー(p) on 2.
ポール・チェンバース(b)
ジミー・コブ(ds)

1959年3月2日、4月22日 ニューヨークにて録音

曲目:
1.ソー・ホワット
2.フレディ・フリーローダー
3.ブルー・イン・グリーン
4.オール・ブルース
5.フラメンコ・スケッチ

【アルバム紹介】
1.マイルス、コルトレーン、エヴァンスの3大アーティストが揃った、ジャズ史上に残る奇跡のセッション
2.モード・ジャズとは何ぞや?その答えは1曲目“ソー・ホワット”
3.実はとっくに脱退していたビル・エヴァンス。マイルスが本作の録音のために呼びもどした理由とは?

本企画で前回紹介したキース・ジャレットはマイルス・デイヴィスのバンド出身。在籍したのは1970年頃。そのさらに10年少し前、1959年、マイルスの元には驚くべきメンバーが顔をそろえ、ジャズ史に残る世紀の傑作をレコーディングしていました。それがこの『カインド・オブ・ブルー』です。
マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンスという音楽的にジャズ・シーンに影響力大の3アーティストが集結し、スタジオ・レコーディングした奇跡のセッション。
この時、マイルス・デイヴィスはハード・バップ・スタイルのジャズを脱し、新しいモード・ジャズへと向かっていた時期でした。モード・ジャズとは何かといえば、コード進行主体で作られた楽曲と違い、旋律(モード)主体で、より自由な演奏を可能にした方法論で、このアルバムの1曲目“ソー・ホワット”がその代表曲です。通常、1~2小節単位でコード・チェンジするところが、この曲のテーマには、敢えて言うなら、2つのコードしかなく、ベースの低音フレーズとホーン陣のフレーズが交互に呼応するテーマ・メロディが繰り返され、独特の緊張感と浮遊感を生み出しています。
実は、このレコーディングに参加しているビル・エヴァンスはマイルスのバンドをすでに辞めていたのですが、新しいモード・ジャズを可能にできるピアニストはビル・エヴァンス以外に考えられない、と思い、わざわざ連れ戻したというエピソードがあります。また3曲目の“ブルー・イン・グリーン”のような繊細なハーモニーのバラードはエヴァンスのピアノがあってこそ生まれた名曲といえます。
これだけ大名盤(ゆえ)ですが、ジャケットやレーベル面の曲順逆表記("オール・ブルース"、"フラメンコ・スケッチ"の2曲)、ピッチ問題(長年A面3曲のピッチが高い状態のままリリースされていた。現在は正しいピッチに修正済み)など、色々な逸話もあります。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
まずは“ソー・ホワット”。

タイトルの由来はマイルスの口癖です。体操選手のコマネチが不倫疑惑の会見の際に記者から追求を受けた際に答えた時の言葉としても知られています。
カヴァー曲ではUKのアシッド・ジャズ・ギタリストのロニー・ジョーダンが90年代にダンサブルにカヴァーして一世風靡しました(現在は廃盤)。
姉妹曲的に認識されている曲で有名なのはジョン・コルトレーンの“インプレッションズ”。メロディ・ラインこそ違いますが、コードが途中半音上がって下がるだけの進行など楽曲構造が全く同じです。さらにこの“インプレッションズ”に似た曲(メロディラインもほぼ同じ)が“ホワイ・ノット”と言うタイトルでビブラフォン奏者のデイヴ・パイクのアルバム『パイクス・ピーク』、サックス奏者のロッキー・ボイドの隠れ名盤『イーズ・イット』に収録されています。

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タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2018年11月16日 15:00