〈タワーレコードが平成ミュージックムーヴメントから振り返る10枚+α〉Jazz The New Chapter編
Jazz The New Chapterとは…
21世紀以降、ジャズがブラックミュージックとしてヒップホップ・R&Bが融合しネオソウルの息吹を宿して起こったムーヴメント。2000年代初頭、ソウル/R&B界で旋風を巻き起こした音楽集団ソウルクエリアンズ周辺と、実は同時期に活動していたジャズミュージシャン達が2010年代に入り再び邂逅することを発端としつつ、LAビートカルチャーやヨーロッパ、アフリカなどでも同時多発的に「伝統と革新」「土着とデジタル/テクノロジー」など実験的な格闘の末にたどり着いた現行ジャズの進化の最先端。
●バイヤー厳選!現在CDで購入可能なJazz The New Chapterを振り返る10枚
Robert Glasper Experiment『Bkack Radio』
伝統と革新を行き交うピアニストの歴史的な名盤。エリカ・バドゥ、レイラ・ハサウェイ、モス・デフなど親交の深い歌い手が集結し、ジャズ、R&B、ヒップホップが見事に融合したアーバンなジャズを展開。
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Chris Dave『Chris Dave and The Drumhedz』
新世代ジャズ・シーン最高峰ドラマーによる初リーダー作。ロバート・グラスパーの初期エクスペリメント、ディアンジェロのバックなど変幻自在のプレイを武器に、ブラックミュージック未開の地へ<ドラムヘッズ>とともに向かう1枚。
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Esperanza Spalding『Esperanza』
才女エスペランサの名を知らしめることとなったメジャーデビュー作。ラテン~アフリカのフレイヴァーを纏いながらもオーガニックテイスト。楽器を演奏しながらの爽やかなスキャット・ヴォイスも魅力的。
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The RH Factor『Hardgroove』
2003年ロイハーグローヴが同世代のエリカ・バドゥ、ディアンジェロらと共にRHファクター名義でリリース。 ジャズサイドからネオソウル・ムーヴメントを築くと同時にジャズ新時代を切り開いた最重要作。 2018年11月永眠。
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Shabaka and the Ancestors『Wisdom of Elders』
サン・ラ・アーケストラやSons Of Kemetなどロンドンを拠点に多彩に活動するアフリカ系サックス奏者 シャバカ・ハッチングス。コルトレーンやファラオ・サンダースを彷彿とさせる新時代アフロ・スピリチュアル・ジャズ。
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Kamasi Washington『EPIC』
LAジャズ最重要プレイヤーが世界に【現代ジャズの象徴】と言わしめた名盤。本作の登場により西海岸のスピリチュアル・ジャズだけでなくブラックコンテンポラリーが最注目されるきっかけになった現代ジャズ最重要作品。
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Alfa Mist『Antiphon』
若き才能がロンドンから発信した突然変異的なジャズはJ.Dillaの遺志を継ぐかの如く濃密なリズムとソウルネス。ジャズ+ソウル=ブラックコンテンポラリーと昇華し確実にUKジャズの今後を担う事になった名作だ。
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Thundercat『DRUNK』
LAジャズ一派の中核を担うベーシストがモダンジャズやサザンソウルへの敬意を忘れず、クラブミュージックに昇華した結果。往年のソウル/AOR/JAZZ好きを唸らせ、ブラックコテンポラリーの新たな展開と可能性を生み出した名作。
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GoGo Penguin『A Humdrum Star』
マンチェスターの早熟トリオが織りなすフューチャージャズ。電子音、エレクトリニカを通過し綺麗なメロディと共に宇宙にトリップさせるまでのテクニック。それがブルーノートからのリリースされた新時代を重んじる傑作。
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Avishai Cohen Trio『Gently Disturbed』
NY渡米後チック・コリアに見出され故郷イスラエルとジャズの架け橋となったベーシスト アヴィシャイ・コーエンが2008年にリリースしたトリオ作。 中東特有のエキゾ感と独創的な美しさに加え圧倒的高揚感に心揺さぶられる傑作。
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●平成~令和へその音楽の系譜を受け継ぐアーティストをピックアップ
黒田卓也『Rising Sun』
老舗レーベルBLUE NOTEから日本人初となるリーダー作を発表したトランペッター黒田卓也の記念すべき1枚。盟友ホセ・ジェイムズのプロデュースの見事な落としどころに加え、クロさと日本人ならではの侘び寂びも感じられる名作。
タグ : 平成の一枚
掲載: 2019年04月26日 16:14