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ウラディミール・フェルツマン~コンプリート・ソニー・レコーディングス(8枚組)

フェルツマン

ピアノ・ファン待望!「ピアノの哲人」ウラディミール・フェルツマンがコロンビア~ソニー・クラシカルに録音した名演の全貌が詰まった8枚組・完全生産限定盤。

1971年のロン=ティボー・コンクールで優勝して一躍その名を世界に轟かせながら、旧ソ連共産党体制のもとで演奏を禁じられ、1987年にセンセーショナルなアメリカ・デビューを果たしたウラディミール・フェルツマン。マイスキーやウゴルスキと同じく、共産党体制の下での芸術の統制という文脈の中で語られがちですが、そうした政治的な要素を考えずとも、フェルツマンが極めて優れたピアニスト、ヴィルトゥオーゾであるのみならず、詩的・哲学的な意味においても、稀有な高みに達している音楽家といえるでしょう。

ウラディミール・フェルツマンは1952年モスクワ生まれ。11歳の時にモスクワ・フィルハーモニー管弦楽団との共演でデビューし、1969年にチャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院に入学。ピアノをヤコブ・フリアー教授のもとで学ぶと同時に、モスクワとレニングラード(現サンクトペテルブルク)の両音楽院で作曲を学んでいます。1971年にパリで開催されたマルグリット・ロン国際ピアノ・コンクール(ロン・ティボー・コンクールのピアノ部門)でグランプリを受賞後、広範囲な演奏活動に乗り出し、旧ソビエト連邦、ヨーロッパ、日本へのコンサート・ツアーを行いました。旧ソ連体制下で芸術活動の自由が制限されていることに次第に不満が募っていたフェルツマンは、1979年出国ビザを申請することで移住の意思を表明。その結果直ちに公の場での演奏を禁じられ、レコードは販売禁止。8年間実質的に芸術界から追放状態にありましたが、ようやくソ連出国を許可され、1987年アメリカ合衆国に到着するや、当時大統領だったロナルド・レーガンよりホワイトハウスで温かい歓迎を受け、CBSマスタワークス(現ソニー・クラシカル)はすぐさま彼と録音契約を結びました。同年に行われたカーネギー・ホールでのアメリカ・デビューは、彼を一気にアメリカ音楽界の一流ピアニストの座に押し上げたのです。現在、ソリストとして合衆国のあらゆる主要オーケストラと定期的に共演しているばかりでなく、世界中の著名なコンサート・チクルスや音楽祭で活躍。また若手音楽家の指導にも熱心なフェルツマンはニューヨーク州立大学(ニュー・パルツ校)のピアノ科特別名誉教授であり、「ピアノ・サマー」と銘打つ国際フェスティバル・インスティテュートを創設し、その芸術監督を務めています。彼の上級ピアノ専攻生対象の3週間に及ぶ集中トレーニング講座は世界中の若い才能を惹きつけています。

このボックスには、当時センセーショナルな話題を巻き起こした1987年カーネギー・ホールでのアメリカ・デビュー・コンサートのライヴ(DISC3&4)を含む、フェルツマンがコロンビア・マスターワークス~ソニー・クラシカルへ7タイトル8枚分のアルバムが収録されています。
DISC1とDISC2はフェルツマンのアメリカ・デビュー前の録音で、DISC1のショパン「24の前奏曲」は1984年にモスクワで秘密裏に録音され、CBSによって西側にもたらされたアルバムです。
DISC2のシューベルトはその6年前にパリでCBSが録音していたフェルツマンにとって西側での初録音となったものでした。
DISC3&4のカーネギー・ホールでのアメリカ・デビュー・リサイタルのライヴは、ロシア人音楽家のデビューにもかかわらず、シューベルトとシューマンの大曲にメシアンを挟むという独創的なプログラミングが大いに話題となりました(ようやくアンコールで弾かれたロシア音楽であるラフマニノフの前奏曲が、これまたとんでもない名演)。
DISC5・6・8は、ロシア音楽のメインストリームともいうべき3人の作曲家の名協奏曲で、切れ味鋭くかつ深みのあるフェルツマンのピアニズムを心行くまで堪能できます。
DISC7のリスト・アルバムは、巨大なスケールで作品の内容を抉りぬく「ロ短調ソナタ」をはじめ、リスト音楽の深淵を覗かせてくれる極め付きの名演です。

各ディスクは初出盤のジャケット・デザインによる紙ジャケに封入され、詳細な録音データを掲載したオールカラー別冊解説書と共に、厚紙製クラムシェル・ボックスに収容されます(ボックスのサイズは L 13cm x W 2.9cm x H 13cm)。
(ソニーミュージック)

『ウラディミール・フェルツマン/コンプリート・ソニー・レコーディングス』
【収録内容】
[CD1]
ショパン:24の前奏曲 Op.28
[録音]1984年10月1日、モスクワ、Spaso House

[CD2]
1. シューベルト:幻想曲 ハ長調『さすらい人』D.760, Op.15
2. シューベルト:楽興の時 D.780, Op.94
[録音]1978年12月、パリ、ノートルダム・デュ・リバン教会

[CD3]
1. シューベルト:ピアノ・ソナタ第13番イ長調 D.664, Op.120
2. メシアン:幼子イエスに注ぐ20の眼差し
[録音]1987年11月11日、ニューヨーク、カーネギー・ホールでのライヴ

[CD4]
1. シューマン:交響的練習曲 Op.13
2. ラフマニノフ:13の前奏曲集 Op.32 ~ 第12番嬰ト短調[アンコール]
3. ベートーヴェン:創作主題による6つの変奏曲 ニ長調 Op.76[アンコール]
[録音]1987年11月11日、ニューヨーク、カーネギー・ホールでのライヴ

[CD5]
1. ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 Op.30
2. ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 Op.43
[共演]
ズービン・メータ(指揮)
イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
[録音]1988年2月28日~3月2日、テル・アヴィヴ、マン・オーディトリアム

[CD6]
1. プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番 変ニ長調 Op.10
2. プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 ト短調 Op.16(1923年版)
[共演]
マイケル・ティルソン・トーマス(指揮)
ロンドン交響楽団
[録音]1988年9月23-24日、ロンドン、アビイロード・スタジオ
3. プロコフィエフ:『ロメオとジュリエット』からの10の小品Op.75 ~ 別れの前のロメオとジュリエット
[録音]1988年11月7-8日、プリンストン大学、リチャードソン・オーディトリアム

[CD7]
1. リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調S.178
2. リスト:ペトラルカのソネット第47, 104, 123番 S.161-4~6
3. リスト:『2つの伝説』S.175 ~ 小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ
[録音]1988年11月7-8日、プリンストン大学、リチャードソン・オーディトリアム

[CD8]
1. チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 Op.23
2. チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第3番 変ホ長調 Op.75
[共演]
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(指揮)
ワシントン・ナショナル交響楽団
[録音]1989年7月18日、ワシントンDC, ケネディ・センター

【演奏】
ウラディミール・フェルツマン(ピアノ)

カテゴリ : ニューリリース | タグ : ボックスセット(クラシック)

掲載: 2019年05月31日 00:00