WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.50
エディ・コスタ『ハウス・オブ・ブルーライツ』(1959)
エディ・コスタ(p)
ウェンデル・マーシャル(b)
ポール・モチアン(ds)
1959年1月29日、2月29日、ニューヨークにて録音
曲目:
01.ハウス・オブ・ブルー・ライツ
02.マイ・ファニー・ヴァレンタイン
03.ダイアン
04.アナベル
05.恋した時は
06.ホワッツ・トゥ・ヤ
【アルバム紹介】
1.ピアニストでありヴィブラフォン奏者
2.高音域をほとんど使わず、中低音域で演奏する独特のスタイル
3.1962年に31歳の若さで夭折。生涯最後のリーダー作
“オクトパス”と呼ばれた高速ギタリスト、タル・ファーロウのアルバムを前回は紹介しましたが、そこに参加していたピアニスト、エディ・コスタのリーダー作が今回の1枚です。
エディ・コスタは1930年にペンシルべニアに生まれたピアニスト、ヴィブラフォン奏者であり、そのスタイルは高音域をほとんど使わない、中低音域の鍵盤を打鍵する独特のもので、しかも、一般的なピアニストのように右手でソロ、左でその伴奏という形ではなく、両手を使って表現するという、ユニークなものでした。それゆえ、通好みのピアニストといえます。
本作はベースのウェンディ・マーシャル、ドラムスには当時ビル・エヴァンス・トリオのポール・モチアンが参加し、渋さ全開のピアノ・トリオの演奏を聴かせます。1曲目のタイトル曲の冒頭からコスタの低音によるプレイが聴け、ソロでは両手を使ってのゴツゴツしたフレージングを繰り出し、聴きどころになっています。“マイ・ファニー・ヴァレンタイン”、“ホエン・アイ・フォール・イン・ラヴ”といったスタンダード、そして自身によるオリジナル“アナベル”、“ホワッツ・トゥ・ヤ”の2曲を収録しています。
個性的なプレイヤーであったエディ・コスタですが、1962年に自動車事故のため、31歳の若さで夭折しています。そのため、このアルバムは彼にとっては生涯最後のリーダー作となりました。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
タイトル・チューン“ハウス・オブ・ブルー・ライツ”。
その昔、このアルバムが国内盤LPで復刻されたことがありました。もちろんCD化される数年前のことでした。反響はすごく、たくさんの予約が入り、「エディ・コスタってどんなピアニストなのだろう?」と興味津々だったのを思い出します。アルバムの実物を前にした時、タイトルの“ブルーライツ”の文字に対し、ジャケットの色調は赤、というのも印象的でした。余談はこの辺で。
一曲目、タイトル曲の冒頭から低音域のガツンとしたプレイがインパクト大で、エディ・コスタの個性豊かなピアノを集約した演奏になっており、ソロに移るとその独特の魅力にどんどん引き込まれます。音で聴いているだけでも、そのユニークさは十分伝わってきて、実際に弾いているところを見たくなるような演奏になっています。若くして亡くなったピアニストですが、もしそうでなかったとしたら、その後どんなピアニストになっていたのかな、と、この演奏を聴くと思ってみたりします。
SHM-CD国内盤(一般普及盤)
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2019年11月01日 10:00