コンツェン&ゲーベル/ベートーヴェンの世界[1]フランツ・クレメント:ヴァイオリン協奏曲第1&2番
ピリオド楽器演奏の泰斗、ラインハルト・ゲーベルが、
ベートーヴェン生誕250年のアニヴァーサリー・イヤーにこそ実現するスペシャル・プロジェクト「ベートーヴェンの世界」の第1弾。
ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を初演したフランツ・クレメントの協奏曲2編を名手コンツェンとの共演で。
あのラインハルト・ゲーベルが、ベートーヴェン・アニヴァーサリーにぶつけるスペシャル・プロジェクト「ベートーヴェンの世界」。2020年中に全部で5枚のディスクが発売される予定で、「ベートーヴェンの世界」と銘打ちながら、ベートーヴェンの作品はごく少なく、むしろベートーヴェンの同時代の作曲家の知られざる作品に光を当て、世界初録音も多数含まれるというのが、鬼才ゲーベルらしいところです。オーケストラには第1弾のケルンWDR響、ザールブリュッケン・ドイツ放送フィル、ミュンヘン放送管、HR(フランクフルト放送)響というドイツ放送オケの雄が起用され、ソリストにはコンツェン、メンケマイヤー、シュテファン・コンツ、デュオ・タール&グロートホイゼンら気鋭の名手が勢ぞろいしています。
第1弾はフランツ・クレメントのヴァイオリン協奏曲を2曲収録。クレメントは1780年生まれのオーストリア出身の作曲家でヴァイオリニスト、ピアニストでもありました。複雑なパッセージを弾きこなし、ヴァイオリンの曲芸弾きも披露した神童は、14才のときウィーンで28才のベートーヴェンと出会い親交を結びます。ベートーヴェンは、名曲「ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.61」の創作にあたって、当時アン・デア・ウィーン劇場オーケストラのコンサートマスターであったクレメントを独奏者に想定し、彼のアドバイスを求めています。そして1806年12月23日にアン・デア・ウィーン劇場での初演もクレメントが担いましたが、作品の完成がギリギリで、クレメントはほぼ初見でこの難曲を見事に演奏し、聴衆の大喝采を浴びたのでした。
ここに収録されたクレメントのヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調は1805年作曲。そしてベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は1806年作曲。その関係は決して偶然ではありません。2人の作曲家がお互いに対話し、刺激を受けた結果が両方の作品に反映されているかのようです。1806年以降に書かれたクレメントの第2番ニ短調(世界初録音)は、その逆のプロセスによっています。
ヴァイオリン独奏には、ゲーベルと長年コンビを組み、録音歴もあるミリヤム・コンツェンが起用されています。コンツェンのヴァイオリンはいつものように美しさの極みであり、またゲーベルのアプローチも変わることなく、モダン楽器オーケストラを意のままに操り、ロマンティック的な情熱を込めた演奏を繰り広げています。ベートーヴェンに名作ヴァイオリン協奏曲を書かせた男、クレメントの魅力的な音楽をお聴き下さい。
(ソニーミュージック)
【収録内容】
フランツ・クレメント(1780-1842):
1. ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調(1805)
2. ヴァイオリン協奏曲第2番ニ短調(after 1806)[世界初録音]
【演奏】
ミリヤム・コンツェン(ヴァイオリン)
ラインハルト・ゲーベル(指揮)
ケルンWDR交響楽団
【録音】
2019年6月17-21日、ケルン、西部ドイツ放送(WDR)、クラウス=フォン=ビスマルク・ザール
カテゴリ : ニューリリース | タグ : BEETHOVEN 2020
掲載: 2019年12月06日 12:00