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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.57

アート・テイタム『アート・テイタム~ベン・ウェブスター・クァルテット』(1958)

ABQ

アート・テイタム(p)
ベン・ウェブスター(ts)
レッド・カレンダー(b)
ビル・ダグラス(ds)

1956年9月11日、ロサンゼルスにて録音

曲目:
01.風と共に去りぬ
02.オール・ザ・シングス・ユー・アー
03.ジョーンズ嬢に会ったかい?
04.マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ
05.ナイト・アンド・デイ
06.マイ・アイデアル
07.ホエア・オア・ホエン

【アルバム紹介】
1.技巧派ピアノと、渋いテナー・サックスの共演盤
2.バラード・ナンバー中心の選曲
3.“マイ・アイデアル”が有名作家の小説に

前回、ケニー・ドーハムの『静かなるケニー』の2曲目がジャズ・スタンダードのバラード曲“マイ・アイデアル”の名演でした。この曲の他の名演として思い浮かぶのが本作に収録の演奏です。
技巧派ピアニストのパイオニア、アート・テイタムと、エリントン楽団出身の名テナー・サックス奏者ベン・ウェブスターの共演盤として有名な逸品です。

オスカー・ピーターソンに大きな影響を与えたといわれているアート・テイタムは盲目でありながら、信じられないような高度なテクニックの持ち主で、流麗なフレージングを交えたプレイが特徴です。一方、ベン・ウェブスターはどっしりとした貫禄のあるブロウで魅了するプレイヤーで、ここではまるで葉巻たばこをふかしているような渋い演奏を聴かせています。

本作はバラード・ナンバー中心のスタンダード・アルバムで、テイタムとウェブスターがベースのレッド・カレンダー、ドラムスのビル・ダグラスの好サポートを得て、じっくりと聴かせる奥の深いアルバムで、年の暮れに聴くには最適な一枚です。“オール・ザ・シングス・ユー・アー”、“マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ”など、有名ジャズ・スタンダードの渋い名演が聴けます。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
村上春樹の小説にも登場、“マイ・アイデアル”。

2004年に発表された村上春樹の小説『アフターダーク』の中にこの演奏は登場します。登場人物の男女がいるバーでかかっているのがこの曲です。
ゆったりしたミディアム・テンポのリズムの上を、ベン・ウェブスターのテナーが表情豊かに歌い上げます。一方でアート・テイタムのピアノ・ソロもさりげなくではありながらも、早いパッセージのフレージングをいたるところに織り交ぜ、技巧派たる堂々たる演奏でひっぱってゆきます。
この二人、ともに1909年生まれで、時代的には20年代、30年代からプロとして活躍してきただけに、スイング・エイジのオールド・ジャズ風のテイストもあり、そこが本作のかくれた魅力となっています。

SHM-CD国内盤(一般普及盤)

タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2019年12月20日 11:00