ドイツの名ソプラノ、ロッテ・レーマン全盛期の絶唱!「ODEON電気録音集 1927-1933」(6枚組)
ロッテ・レーマンはドラマティックな役から娘役まで幅広いレパートリーを誇った戦前の名ソプラノで、ドイツ・リートにも味わい深い歌を聴かせました。彼女の全盛期は1910~20年代で、その時代の録音からは美しく艶やかで豊かな歌声が響いてきます。今回の「ODEON電気録音集 1927-1933」は、彼女の全盛期の歌声を開発されたばかりのマイクロフォン録音で美しく捉えたものです。CD1に収められたシューベルトの歌曲集は「アヴェ・マリア」の絶唱を始めとして名演揃い。オペラ・アリアでは後に日本で活動するグルリット指揮のものが、何れも素晴らしいと思います。CD3に入ったシューマンの「女の愛と生涯」(管弦楽伴奏)は戦前、この歌曲集の決定盤と呼ばれたもので、彼女が後年ブルーノ・ワルターのピアノで再録音したものより声も表情もずっと張りがあります。ドイツ・オペラ、ドイツ・リート好き、歴史的録音愛好家の方々には逃すことのできない一組と言えるでしょう。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)
Marstonの新刊は、20世紀前半の偉大なドイツのソプラノ、ロッテ・レーマンのODEON電気録音集。ロッテ・レーマン(1888―1976)はウィーン国立歌劇場のプリマドンナとして絶大な人気を博した。モーツァルト、ワーグナーはもちろん、ことにR.シュトラウスから信頼され、1919年の「影のない女」初演ではバラクの妻を歌っている。またプッチーニのヒロインも得意としていた。ナチを嫌い1938年のオーストリア併合直前に米国に移住、ロサンジェルスに居を構えた。
ベルリンのODEONレーベルによる電気録音は、概ねレーマンが40代の頃のもので、彼女の全盛期の歌声を収めた貴重なものばかりである。曲目は、独伊仏のオペラ、歌曲、民謡、賛美歌など多岐に渡り、レーマンの人気の高さが伺える。歌曲の録音では、伴奏にピアノではなくアンサンブル伴奏が用いられているものが多い。
レーマンの歌は、柔らかく女性的な情感に満ち溢れた美声を情熱的また繊細に駆使したものもので、アルトゥーロ・トスカニーニやブルーノ・ワルターら偉大な指揮者たちが彼女の歌を口を極めて絶賛したことが、これら全盛期の録音でとてもよく理解できる。
いつも通りとても丁寧な復刻、80ページ弱の解説冊子も充実(英語)。
(東武ランドシステム)
【曲目】
(CD1)
プッチーニ:「トゥーランドット」―この王宮で,最初の涙の(ドイツ語)
ウェーバー:「オベロン」―海よ、巨大な怪物よ(ドイツ語)(2種)
ジョルダーノ:「アンドレア・シェニエ」―母は私の部屋の戸口で殺された(ドイツ語)
フリッツ・ツヴァイク(指揮)ベルリン市立歌劇場管弦楽団員(1927年2月16日)
ゴダール:「ジョスラン」―この隠れ家で横になり(ジョスランの子守歌)(ドイツ語)
イェンゼン:ああ止まりなさい、黄金の時よ Op.35-3,ささやくそよ風 Op.21-4
メンデルスゾーン:歌の翼に Op.34-2
ブラームス:永遠の愛について Op43-1
フリッツ・ツヴァイク(指揮)ベルリン市立歌劇場管弦楽団員(1927年2月18日)
シューベルト:音楽に寄せて D547,アヴェ・マリア D839,君は私の憩い D776,挨拶を送ろう D741,水の上で歌う D774
ヒルダッハ:吟遊詩人 Op.15-1
シューベルト:セレナード D957-4,死と乙女 D531
マンフレート・グルリット(指揮)室内管弦楽団(1927年12月6日)
シューベルト:秘めごと D719
マンフレート・グルリット(指揮)室内管弦楽団(1927年12月9日)
(CD2)
プッチーニ:「トスカ」―世の中のどんな目が(2種),ただあなたのためだけに死は辛かった
ヤン・キープラ(テノール)、マンフレート・グルリット(指揮)ベルリン市立歌劇場管弦楽団員(1927年12月10日)
ベートーヴェン:「フィデリオ」―来なさい、希望よ
R.シュトラウス:「薔薇の騎士」―ああ分かってちょうだい、カンカン/時は不思議なもの
モーツァルト:「フィガロの結婚」―愛の神よ、私にいくらかの安らぎを与えてください(ドイツ語)
マンフレート・グルリット(指揮)ベルリン市立歌劇場管弦楽団員(1927年12月13日)
モーツァルト:「フィガロの結婚」―愛の神よ、私にいくらかの安らぎを与えてください(ドイツ語)
ヒルダッハ:「春」Op.19-5
コルンゴルト:「ヘリアーネの奇跡」―私は彼のところに行く
マンフレート・グルリット(指揮)ベルリン市立歌劇場管弦楽団員(1928年3月13日)
レハール:「エーファ」―私の母もそうだった/それもまた一瞬でしかなかった
マイヤー=ヘルムント:魔法の歌 Op.21-2
ヘルマン・ヴァイゲルト(指揮)ベルリン国立歌劇場管弦楽団(1928年9月3日)
レイルトン:束の間の戯れの恋
エンゲル=ベルガー:また春が
シューマン:くるみの木 Op.25-3
ヘルマン・ヴァイゲルト(指揮,ピアノ)四重奏団(1928年9月3日)
シューマン:言伝 Op.77-5
R.シュトラウス:明日! Op.27-4/君の青い瞳で Op.56-4
ヘルマン・ヴァイゲルト(ピアノ) (1928年9月4日)
ダルベール:ツグミにアトリが言った Op.9-4
ベルガー:ああ、誰がそれをできたのか Op.30-7
クリスマス聖歌:ああ君は朗らかに
グルーバー:静かな夜(きよしこの夜)
ヘルマン・ヴァイゲルト(指揮)ベルリン国立歌劇場管弦楽団員(1928年9月4日)
(CD3)
R.シュトラウス:「ナクソスのアリアドネ」―彼女はここで一人生きている/すべてが清らかなある国が
R.シュトラウス:「ナクソスのアリアドネ」―彼女は軽く息をしている/すべてが清らかなある国が
ヘルマン・ヴァイゲルト(指揮)ベルリン国立歌劇場管弦楽団員(1928年9月4日)
シューマン:「女の愛と生涯」 Op.42(全8曲)
グノー:アヴェ・マリア
ヘンデル:「セルセ」―このような木陰はなかった(オンブラ・マイ・フ)
フリーダー・ヴァイスマン(指揮)室内管弦楽団(1928年11月10日)
F.フンメル:ハレルヤ
レッセル:どこに君が去っても
パウル・マニア(オルガン)(1928年11月12日)
J.シュトラウス2世:「こうもり」―騎士様
J.シュトラウス2世:「ジプシー男爵」―彼が男爵,領主の子が
フリーダー・ヴァイスマン(指揮)ベルリン国立歌劇場管弦楽団,合唱団、リヒャルト・タウバー(テノール)、
カリン・ブランツェル(アルト)、グレーテ・メレム・=ニキシュ(ソプラノ)、ヴァルデマール・シュタゲマン(バリトン)(1928年12月17日)
ウェーバー:「魔弾の射手」―まどろみは私に近付いた/静かに静かに、敬虔な調べよ
マンフレート・グルリット(指揮)ベルリン国立歌劇場管弦楽団員(1929年2月26日)
賛美歌:血潮滴る
賛美歌:キリストの母マリアは苦しみながら立ち
パウル・マニア(オルガン) (1929年2月26日)
(CD4)
アイブリンガー:小船は波を抜けて
シュービガー:永遠に緑の草地で花が一輪咲いた
パウル・マニア(オルガン) (1929年2月26日)
カウラー:君を決して忘れない女性がいる
マイ:ある美しい女性の香り
ローゼン:君がいつか君の心を贈る時
レハール:私は君に空から青を取って来る
フリーダー・ヴァイスマン(指揮)ベルリン国立歌劇場管弦楽団(1929年4月16日)
プッチーニ:「トスカ」―歌に行き(ドイツ語)
プッチーニ:「ボエーム」―私はミミと呼ばれている(ドイツ語)
ワーグナー:ヴェーゼンドンクの詩による歌曲集―苦しみ,夢
シューマン:献呈 Op.25-1,君は花のよう Op.25-24
R.シュトラウス:黄昏の夢 Op.29-1,セレナーデ Op.17-2
フリーダー・ヴァイスマン(指揮)ベルリン国立歌劇場管弦楽団員(1929年6月13日)
ニコライ:ああ聖なる精霊よ
ダハシュタイン:深い苦境から
ヴルピウス:ああ、あなたの恵と共に
クルーガー:イエスよ、私の信頼は
伝承歌(ヴァルター編):私たちはみな神を信じている
シュテルツェル(バッハ編):あなたが私の元にいたなら
パウル・マニア(オルガン) (1929年10月3日)
ドイツ民謡(レマー編):別れて避けて
ヴァルラモフ(レマー編):赤いサラファン
ドイツ民謡(レマー編):狩人が角笛を吹く
ドイツ民謡(レマー編):二人の王子がいた
エルンスト・レマー(指揮)ベルリン国立歌劇場合唱団,管弦楽団(1930年2月20,21日)
ワーグナー:「タンホイザー」―素晴らしい大広間よ(歌の殿堂),全能の処女マリアよ
ワーグナー:「ローエングリン」―微風よ、私の嘆きを聞いておくれ,陰鬱な日々に一人
フリーダー・ヴァイスマン(指揮)ベルリン国立歌劇場管弦楽団員(1930年2月21日)
(CD5)
ワーグナー:「ローエングリン」―微風よ、私の嘆きを聞いておくれ,陰鬱な日々に一人
フリーダー・ヴァイスマン(指揮)ベルリン国立歌劇場管弦楽団員(1930年2月21日)
グノー:「ファウスト」―テューレの王(ドイツ語)
トマ:「ミニョン」―その国を知っていますか?(ドイツ語)
ワーグナー:「ワルキューレ」―君こそは春
ワーグナー:「トリスタンとイゾルデ」―穏かに静かに(愛の死)
プッチーニ:「蝶々夫人」―泣いているの?なぜ?/ある日、私たちは見るでしょう(ドイツ語)
フリーダー・ヴァイスマン(指揮)ベルリン国立歌劇場管弦楽団(1930年6月18日)
ケテルビー(レマー編):聖なる時/ケテルビー(レマー編):心の聖域
エルンスト・レマー(指揮)ベルリン国立歌劇場管弦楽団員、カール・ツァンダー(語り) (1930年6月19日)
シューマン:私は恨まない Op.48-7
フリーダー・ヴァイスマン(指揮)ベルリン国立歌劇場管弦楽団員(1930年6月19日)
シューベルト:魔王 D329
フリーダー・ヴァイスマン(ピアノ) (1930年6月19日)
賛美歌:私たちの神は堅固な砦
ボルトニャンスキー:私は愛の力に祈る
ベルリン国立歌劇場合唱団、オルガン伴奏 (1931年5月23日)
ブラームス:五月の夜 Op.43-2
ウェーバー:眠りなさい、心から愛する坊や(子守歌)
ボーム:傍観 op.326-37
フリーダー・ヴァイスマン(指揮)三重奏団 (1931年5月23日)
トマ:「ミニョン」―彼女はそこにいる、彼のそばに,私は哀れな子どもを知っている(共にドイツ語)
シュトラウス2世:「こうもり」―故郷の歌を聞けば(チャールダーシュ),貴殿よ、何をお考えで?
フリーダー・ヴァイスマン(指揮)ベルリン国立歌劇場管弦楽団員(1931年5月26日)
ブラームス:甲斐のないセレナーデ Op.84-4
フリーダー・ヴァイスマン(指揮)三重奏団(1931年5月26日)
モーツァルト:「魔笛」―ああ、私は感じる、消え失せてしまったと
ニコライ:「ウィンザーの陽気な女房たち」―さあこちらに急いで
プッチーニ:「蝶々夫人」―ああ!何という空!/さあもう一歩(ドイツ語)
ヴェルディ:「オテロ」―彼女は歌いながら寂しい荒れ野で泣いていた(柳の歌)(ドイツ語)
マンフレート・グルリット(指揮)ベルリン国立歌劇場管弦楽団員(1932年4月23日)
(CD6)
シューマン:ハスの花 Op.25-7,日の光に寄す Op.36-4,てんとう虫 Op.79-13
ベートーヴェン:「エグモント」―太鼓が鳴った!,喜びに満ち、悲しみに満ち
ブラームス:眠りの精 WoO 31-4
メンデスルゾーン:挨拶 Op.19a-5
ブラームス:鍛冶屋 Op.19-4
マンフレート・グルリット(指揮)オデオン室内管弦楽団(1932年4月25日)
マスネ:「ウェルテル」―ウェルテル、誰が言えましょうか(手紙の歌)(ドイツ語)
オッフェンバック:「ホフマン物語」―キジバトは逃げてしまった(ドイツ語)
マスネ:「マノン」―彼らの声が甘い恋へと誘う時(ドイツ語)
ダルベール:「死んだ目」―プシュケが柱廊玄関を抜けて散策してる
モーツァルト:「フィガロの結婚」―ああ来なさい、遅れることなく(ドイツ語)
フリーダー・ヴァイスマン(指揮)オデオン・オペラ管弦楽団(1933年6月20日)
R.シュトラウス:「アラベラ」―私のエレメル!,彼は私にはふさわしい人ではない
リヒャルト・ヤーガー(指揮)ベルリン国立歌劇場管弦楽団(1933年11月11日)
【補遺 ラジオ放送受信録音集】
ワーグナー:「ローエングリン」―陰鬱な日々に一人
R.シュトラウス:子守歌 Op.41-1
フランク・ブラック(指揮)交響楽団(1935年11月24日)
シューマン:言伝 Op.77-5
ポール・ウラノフスキ(ピアノ) (1943年2月15日)
ベートーヴェン:思い出,忠実なジョニー Op.108-20
メンデルスゾーン:新しい恋 Op.19a-4,ズライカ Op.34-4,ヴェネツィアのゴンドラの歌 Op.57-5
ポール・ウラノフスキ(ピアノ) (1948年3月7日 ニューヨーク)
【演奏】
ロッテ・レーマン(ソプラノ)
【録音】
1927~48年
ADD 475分17秒
カテゴリ : ニューリリース | タグ : ボックスセット(クラシック)
掲載: 2020年01月20日 18:00