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Ron Wood(ロン・ウッド)|ローリング・ストーンズで一番陽気な男のちょっとシリアスな物語、ドキュメンタリー映画が作品化|国内盤Bru-ray/DVDオンライン限定10%オフ

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Ron Wood(ロン・ウッド)

昨年から話題に上っており、日本での公開はどういう形で実現するのか?と期待を集めていたロン・ウッド(以下ロニー)初のドキュメント映画『ロニー・ウッド・ストーリー~運命に愛された男~』が日本でBD/DVDの形でリリースされることが決定した。従来からあるロニーの陽気かつ賑やかで、時にふざけたりするものの誰からも愛される……といったキャラクターの背後にある、今まであまり知られていなかったシリアスな内面にも触れることができる意外さがあり、それ故に彼とその作品をより深く愛したくなるファン必見のドキュメントに仕上がっていた。

監督は、マーティン・スコセッシの「ブルース・ムーヴィ・プロジェクト」中の一本であり、第二次大戦後の英国の白人にブルースがどう受け入れられていったかをテーマにした映画『レッド・ホワイト&ブルース』(2003年)も手がけていた英国人のマイク・フィギス。’95年のオスカー受賞作『リービング・ラスベガス』(主演はニコラス・ケイジ)の監督としても知られている人物だ。

監督は冒頭、自らロニーとの対話を始めるに当たり、裏にいくつかのテーマとなる言葉が書かれたカードを選ばせる。そこで2番目にロニーが選んだカードは「Disaster(大惨事)」。そこで笑えるようなズッコケ・エピソードでも語ってくれるかと思ったら、彼が語り始めたのは、最初のバンド、バーズを始めた頃に不慮の事故で失うことになってしまった恋人ステファニーとのあまりにも悲しいエピソード。映画はそんな話も交えながら、彼の人生を辿っていく。当然、ジェフ・ベック・グルーブ~フェイセズ~ローリング・ストーンズというバンドをわたり歩いた輝かしい音楽キャリアが中心となるのだが、後半では癌、ドラッグやアルコール中毒からの「生還」というシリアスな話にも続いていく。

ゲスト・コメンテイターは、昨年リリースしたチャック・ベリーのカヴァー・アルバム用のバンドで共演している歌手イメルダ・メイ、ロニーのリハビリも助けた芸術家のダミアン・ハースト、ロッド・スチュアート、ピーター・グラント、マルコム・マクラーレン、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、チャーリー・ワッツに、現在の妻のサリー・ウッド。ロニーの幅広い交流関係からすると、エリック・クラプトンやボブ・ディランも出てきてほしかったと贅沢なことをつい考えてしまいそうになるが、話の内容も含めて、このラインナップでも十分に濃い。

中でも最も注目を集めそうなのは、レッド・ツェッペリンのマネージャーとして知られた故ピーター・グラントと、セックス・ピストルズのマネージャーでもあった故マルコム・マクラーレンとの貴重な対話シーン。ジェフ・ベック・グループ時代のツアー・マネージャーでありながら同時期にニュー・ヤードバーズ~レッド・ツェッペリンの結成を画策していたグラントのここでの発言を巧みに使い、そこにロニーやロッド・スチュアートの発言も重ね、’69年のウッドストック・フェス直前を前にして瓦解してしまった第1期ジェフ・ベック・グループのゴタゴタを立体的に皆に語らせてみせるシーンは、驚きにあふれている。

このマクラーレンとグラントの対話シーンは今回のドキュメントの監督マイク・フィギスも絡み、マルコム・マクラーレンの企画で製作が進められながら、グラントの遺族の反対もあって棚上げになってしまったピーター・グラントとレッド・ツェッペリンの幻のドキュメンタリー映画からの抜粋されたものだという。そして、その苦境からスモール・フェイセズ加入~フェイセズへの改名の経緯は盟友ロッドが語ってくれる。

さて、最初に述べたような底流に流れている彼の死生観を背景にして考えることで、このドキュメント映画の中でロニー本人が語っている「私はずっと運命の手の中にいたし、適切な時に適切な場所にいた」と、謙虚にその幸運に感謝する彼の気持ちをより深く理解できるようになる実感がある。その幸運はただ次々と降ってきたのではなく、いつも彼の人生におけるギリギリの局面でやってきたものだったのだ。それを感じ取ることで、1956年の映画(邦題は『傷だらけの栄光』)を踏まえて語られたロニーの語りから取られたタイトル(同映画の中のセリフでは「オレはついてる」とも訳されているとか)に込められた意味も深く理解できるようになるだろう。

ストーンズの映画『オレ! オレ! オレ! ア・トリップ・アクロス・ラテン・アメリカ』のブラジルでのイヴァルト・クラナドとの交流のシーンでのロン・ウッド本人のシリアスな独白を観てハッとさせられたファンにはその豪華続編として観てもらってもいい。音楽的にも、ロニーのギター弾き語りシーンがふんだんに盛り込まれていたり、そのライフ・ストーリーに関する語りをスリリングに盛り上げるためにロニー自身によるオリジナルのインストゥルメンタルが使われていたりもする、という注目点もある。先のイメルダ・メイ、ピアノにベン・ウォーターズを擁しチャック・ベリー・カヴァー・ライヴの映像と彼のアトリエを含むコテージの紹介映像がボーナス収録。最後に歌われる彼のセカンド・ソロ・アルバムからの名曲「ブリーズ・オン・ミー」は涙なしに聴けない!


タグ : 映画

掲載: 2020年08月24日 12:31