『激ロック』スペシャルコーナー【10月レコメンドアイテム】
DEFTONES / 『Ohms』
GENRE:ALTERNATIVE METAL, LOUDROCK
圧倒的なまでの暴虐と美のコントラストを描く4年ぶり9thアルバム!
ヘヴィ・ロックの求道者、DEFTONESの新作。初期作品でコラボしたプロデューサー Terry Dateを再び迎え制作した本作は、ヒップホップ由来の跳ねたビートのような初期を思わせる要素も含まれている。だが、ただの原点回帰ではなく、近作で顕著だった幻想的で浮遊感のあるドリーム・ポップや、9弦ギターにまで達したヘヴィネスなど、培ってきたスタイルをすべて包含したようなサウンドに。そうして彼らが放つのは、圧倒的なまでの暴虐と美のコントラストだ。轟音の苛烈さと繊細な優美さを大胆に二極化させた楽曲群は、よりドラマチックなサウンドスケープを描いている。表題曲では、まるで福音のように温もりのあるメロディを鳴らす新境地に到達。集大成的でありながら、その先の景色まで見せてくれるようなアルバムだ。
菅谷 透【ライター推薦】
Corey Taylor / 『CMFT』
GENRE:ALTERNATIVE ROCK, LOUDROCK
我らがCorey兄貴がついにソロ・デビュー!
アメリカン・ロックの醍醐味を味わえる名盤が完成!
SLIPKNOTやSTONE SOURで活躍するフロントマンが、ソロ・デビュー! 音楽性の異なる世界的超人気バンドを掛け持ちしているだけでなく、執筆活動や俳優業もこなす多才っぷりだが、今作ではさらにそれらとも違う顔を見せてくれる。ハード・ロックを基調にモダンなラウドロックへのアレンジや、疾走感のあるメタル・フレーズなども取り入れた激しい曲、ラッパーとコラボした曲、ハードコア・パンク、ミドル・テンポでメロウな曲まで、やりたいことを詰め込んだ今作。STONE SOURのChristian Martucci(Gt)をはじめ、親交の深いミュージシャンが参加しリラックスした雰囲気もあり、エンターテイメント性も高い。また、バンドでの活動よりも、素のCoreyが音楽を楽しむ様子が伝わってくる。
山本 真由【ライター推薦】
MYGRAIN / 『V』
GENRE:MELODIC DEATH METAL
北欧メロディック・デス・メタル・バンド、MYGRAIN!
ヘヴィなだけではないキャッチーなサウンドを作り上げ、ここに完全復活!
2015年に、惜しまれつつも一度解散したフィンランドのメロディック・デス・メタル・バンド、MYGRAIN。2018年に再結成を発表しEP『III』をリリースした彼らだが、このたびその完全復活を知らしめるニュー・フル・アルバムをリリースした。5枚目のアルバムとなる今作『V』も、北欧メタルらしい丁寧でテクニカルなギターと、それを彩るドラマチックなキーボードがマッチし、ヘヴィなだけではないキャッチーなサウンドを実現している。また、Tommy Tuovinenのクリーン・ヴォーカルはとても自然体で、そこからグラデーションのようにデス・ヴォイスやシャウトに持っていく変化も、楽曲を盛り上げる。派手さはないが、流行り廃りに関係なく、長く愛される作品となりそうだ。
山本 真由【ライター推薦】
LIK / 『Misanthropic Breed』
GENRE:DEATH METAL
ストックホルム発デス・メタル・バンド、LIK!
偉大なる先達へのリスペクトに溢れた破壊力抜群で痛快な新作リリース!
KATATONIA、WITCHERYなどで活動する実力派メンバーからなる、ストックホルム出身バンド LIKが3rdアルバムをドロップ。今作も過去作と同様、DISMEMBERやENTOMBEDといったスウェディッシュ・デス・メタルの偉大なる先達へのリスペクトに溢れた作風だ。HM-2系エフェクターを用いたモコモコの“Buzzsaw(丸鋸)”トーンで鳴らされるトレモロ・リフと、怒濤の激走を見せるスラッシュ・ビートが融合した、荒々しく暴力的なサウンドは破壊力抜群。他方で叙情的なフレーズも時折挟まれ、そのギャップも印象深い。Track.3、5などの重心を落とした楽曲もいいアクセントになっていて、全体を通して高い攻撃性が保たれている。日頃の鬱憤をなぎ倒すような、痛快な作品だ。
菅谷 透【ライター推薦】
Derek Sherinian / 『The Phoenix』
GENRE:METAL, HARD ROCK
Derek Sherinian(SONS OF APOLLO/ex-DREAM THEATER)が
豪華ゲストとコラボし、キーボード・テクニックで魅せるソロ作品!
元DREAM THEATER、現在はSONS OF APOLLOで活躍する超絶技巧キーボーディストの9年ぶりソロ作。Derek自身が熱狂的ギター・ファンということもあり、錚々たるゲストを多数招いた本作は、さながらドリーム・マッチの様相だ。Zakk Wyldeやバンド・メイトのBilly Sheehan(Ba/MR. BIG)と激しいバトルを繰り広げるTrack.1に端を発し、Steve Vaiと陶酔的な旋律を奏でるTrack.3、Derekがプロ・キャリアをスタートしたBuddy Milesの楽曲を盟友 Joe BonamassaとカバーしたTrack.6など、彼の足跡を凝縮したような内容に。名プレイヤーたちと鍵盤で見事に張り合うDerekのテクに改めて驚嘆。
菅谷 透【ライター推薦】
SEKHMET / 『Reminiscence』
GENRE:HEAVY METAL, MELODIC DEATH METAL
フランス発ヘヴィ・メタル・バンド、SEKHMET!
独自のサウンドでポテンシャルの高さを見せつける1stアルバムをドロップ!
2008年にフランスで結成されたヘヴィ・メタル・バンドの1stアルバム。モダン・メタルの重厚なグルーヴをベースに、NWOBHMに影響を受けたクラシカルなツイン・リード、メロデス由来のリフ・ワーク……といった要素はTRIVIUMやBFMVあたりを髣髴とさせる。そこにパワー・メタルのような朗々としたクリーン・ヴォーカルや、タイプの異なるスクリーム、リズム・チェンジを駆使した壮大な展開を組み合わせたことで、独自のサウンドを構築している。やや間延びした部分もあるにはあるが、アンセミックな歌メロと疾走パートがキャッチーなTrack.2、ハード・ロック調のメロディから哀愁のギター・ソロを聴かせるTrack.6、11分超えの長尺曲など、1作目にしてポテンシャルの高さを提示している。
菅谷 透【ライター推薦】
PVRIS / 『Use Me』
GENRE:ELECTROPOP, ROCK
歩みを止めないPVRIS、シンセ・サウンドを前面に押し出した新境地を開く1枚!
クール・ビューティなルックスも魅力的なフロント・ウーマン、Lynn Gunnのアンニュイなヴォーカルと、ダークでポップな独自の世界観で、ロック・シーンのみならず幅広い音楽ファン層にその存在をアピールしてきたPVRIS。前作には、彼らのルーツでもある、ポスト・ハードコアの片鱗を感じさせるバンド・サウンドが時折主張する楽曲もあったが、今作では、より丸みのあるシンセ・サウンドを前面に押し出したスタイルに。残念ながらギタリストのAlex Babinskiが、個人的な問題で今作を最後にバンドを去ることとなったが、今作でのギターの主張の少なさを考えると、結果オーライなのでは。とにかく新しい道を選んだバンドには、前進を止めずにこれからも羽ばたいていってほしい。
山本 真由【ライター推薦】
THE OCEAN / 『Phanerozoic II: Mesozoic | Cenozoic』
GENRE:PROGRESSIVE METAL, POST METAL
ポスト・メタルの一翼を担うドイツのTHE OCEANが
圧巻の表現力で地球史の“顕生代”を描く超大作!
2019年に待望の来日を果たした、ドイツのポスト・メタル集団 THE OCEAN。これまでも壮大なコンセプト作を生み出してきた彼らが、約5億年以上に及ぶ“顕生代”をテーマにしたアルバムの第2弾をリリース。今作では中生代から新生代を扱っており、Track.2では恐竜の興亡を怪獣映画のようなホーンとブラストビートでダイナミックに描き、Track.6以降ではヒトの進化を複雑な曲展開に昇華。重々しいスラッジ・リフから美麗なアルペジオまで、圧巻の表現力で過去から現代へと繋がる地球史を描写している。柔軟に入れ替わる楽器編成や、エモーショナルなクリーンから怒りの咆哮まで巧みに使いわけるヴォーカルも聴きどころ。ポスト・メタルの看板を背負って立つ存在に相応しい、まさに超大作。
菅谷 透【ライター推薦】
【激ロック】
ラウドミュージックに特化したフリーマガジン、ポータルサイトの運営、そして国内外のバンドを招聘してのライブイベント、13年間続くROCK DJパーティーの企画、運営を行っている。さらには渋谷宇田川町に位置する「Music Bar ROCKAHOLIC」と同じく宇田川町にあるロックファッション・ショップ&通販サイト「GEKIROCK CLOTHING」の運営など、クロスメディアを超えたクロスカルチャー展開をシーンに仕掛けるラウドミュージック専門のクリエイティブ集団である。
タグ : PUNK/EMO ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)
掲載: 2020年10月30日 16:42