WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.116
クリフォード・ブラウン『クリフォード・ブラウン・ウィズ・ストリングス』(1955)
クリフォード・ブラウン(tp)
リッチー・パウエル(p)
バリー・ガルブレイス(g)
ジョージ・モロウ(b)
マックス・ローチ(ds)
ストリングス・アレンジ:ニール・ヘフティ
1955年1月18~20日、ニューヨークにて録音
曲目:
01.イエスタデイズ
02.ローラ
03.ホワッツ・ニュー
04.ブルー・ムーン
05.愛さずにはいられない
06.エンブレイサブル・ユー
07.ウィロー・ウィープ・フォーミー
08.メモリーズ・オブ・ユー
09.煙が目にしみる
10.ジェニーの肖像
11.いつかどこかで
12.スターダスト
【アルバム紹介】
1.天才トランペッターによる最強の“ウィズ・ストリングス”名盤
2.クリフォード・ブラウンの歌心たっぷりのプレイは感動的
3.ロマンティックなスタンダード・ナンバーのオン・パレード
前回取り上げましたリー・モーガンのアルバムに収録されている歴史的な名演“アイ・リメンバー・クリフォード”は夭折のトランペッター、クリフォード・ブラウンを追悼した1曲でした。本作はそのクリフォード・ブラウンが1955年に録音した、いわば天才トランペッターによる最強の“ウィズ・ストリングス”名盤といえるアルバムです。
トランペット・プレイヤーだけでなく、サックス奏者でもチャーリー・パーカー、キャノンボール・アダレイ、スタン・ゲッツ等による優れた“ウィズ・ストリングス”の傑作が存在しますが、一般的なコンボ編成のバックでの演奏と違い、バラード曲を雄大なストリングス・サウンドをバックに演奏する技術(歌心)が求められます。ここでのクリフォード・ブラウンのプレイはその見事なアプローチにより、フレーズのひとつひとつが感動的でさえあります。
また、こういった趣旨のアルバムで取り上げる曲はロマンティックな楽曲が似合い、そんなスタンダード・ナンバーがオン・パレードなところも本作の魅力です。ストリングス・アレンジを担当しているのはカウント・ベイシー楽団のコンポーザー、アレンジャーとして活躍したニール・ヘフティです。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
名演“煙が目にしみる”。本当に(感動で涙が)目にしみます。
ポピュラーのドゥーワップ・グループ、プラターズの歌唱で有名なこの曲ですが、ジェローム・カーンが作曲したミュージカル・ナンバーで、スタンダード・ナンバーとして数々の名演が存在します。
このクリフォード・ブラウンの演奏はテーマの歌わせ方といい、そのフレージングの巧みさといい、どこをとっても無駄な音がないパーフェクトなプレイを聴かせる名演になっています。
短いピアノのイントロの後、テーマのメロディに入る直前に入る上昇して下降する短いアドリブ・フレーズが素晴らしすぎて、一気にこの曲のロマンティックなメロディに引き込まれます。
そこに徐々にストリングスのフレーズが加わってきますが、中間部のところではクリフォード・ヴブラウンのトランペットだけでテーマ・メロディが奏でられ、この後の巧みな転調を繰り返しつつ、ストリングス、ブラウンによるテーマ再現、エンディングと向かっていくところはアレンジの妙味さを伝えるところになっています。
クリフォード・ブラウン、24歳、感無量のプレイが聴ける1曲です。
国内盤SHM-CD(一般普及盤)
輸入盤CD
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2021年02月19日 10:00