WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.121
ジェリー・マリガン&セロニアス・モンク『マリガン・ミーツ・モンク』(1957)
ジェリー・マリガン(bs)
セロニアス・モンク(p)
ウィルバー・ウェア(b)
シャドウ・ウィルソン(ds)
1957年8月12、13日、ニューヨークにて録音
曲目(オリジナル発売時):
01.ラウンド・ミッドナイト
02.リズマニング
03.スウィート・アンド・ラヴリー
04.デサイデッドリー
05.ストレート、ノー・チェイサー
06.アイ・ミーン・ユー
【アルバム紹介】
1.主役は50年代に活躍したアメリカ西海岸を代表する名バリトン奏者ジェリー・マリガン
2.もう一人の主役は名ピアニストのセロニアス・モンクという異色の共演による傑作
3.オリジナルはモンクが4曲、マリガンが1曲、他スタンダード曲を加えた全6曲で構成
50年代に活躍したアメリカ西海岸を代表する名サックス・プレイヤーは、前回のアート・ペッパーを含め多くいましたが、中でもバリトン・サックスといえば、第一人者はジェリー・マリガン。チェット・ベイカーとのピアノレス・カルテットなど、その時代ならではのクール・ジャズを展開し、人気を集めました。また、コンポーザー、アレンジャーとしての才能に長けた存在でした。
そのマリガンが東海岸のニューヨークで、名ピアニストとして名を馳せていたセロニアス・モンクと共演した異色の傑作が本作になります。ライト・タッチのマリガンのバリトン・サックスと、独特の和声感覚を持つモンクのピアノという組み合わせが生み出す魔法のようなジャズが聴けます。
楽曲はモンク名曲である“ラウンド・ミッドナイト”で始まり、“リズマニング”、“ストレート・ノー・チェイサー”、“アイ・ミーン・ユー”といったモンク・オリジナルを4曲取り上げ、マリガンは1曲“デサイデッドリー”を提供し、他スタンダード曲を加えた全6曲で構成されており、絶妙な2人のコラボレーションが存分に楽しめます。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
2人がブルース・ナンバーで真価を発揮“ストレート、ノー・チェイサー”。
モンクの代表曲のひとつであるこの曲は12小節のメジャー・ブルース・ナンバー。
ジャズメンはブルース楽曲にこそ、その持ち味が存分に発揮されることが多いですが、ここで両プレイヤーは思い切ったプレイで盛り上げてゆきます。
モンクらしいテーマ・メロディが印象的ですが、まずはモンクがピアノで、そしてマリガンが途中からメロディに寄り添います。テーマ提示後、バリトン・サックスのソロとなり、モンクは明快なバッキングをつけていますが、いつのまにかピアノを弾くことを止め、マリガンがベース、ドラムスだけのスイングビートの上をクールなソロでブロウしてゆきます。
ソロが一段落するとしばらく、ビートだけが継続し、やがてベース・ソロになり、続いてモンクのピアノがソロを始めますが、いかにもモンクらしい独特のリズム感と音使いで引っ張ります。
やがてテーマを再現し、終わり方はシンプルにすっきりで、爽快感が残ります。
マリガンは短音しか出ないサックスという楽器で、その時の和声に必要な絶対音を発し、少ない編成でありながら、バッキングでも見事なアンサンブル効果を出せる達人でもあります。ゆえに、モンクのような唯我独尊のハーモニー感覚を持ったピアニストとでも音的な相性はバッチリだった、と言えます。
国内盤SHM-CD(一般普及盤)
輸入盤CD(ジャケ違い再発盤)
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2021年03月26日 10:00