ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ Vol.83~ガブレンツ:ピアノ協奏曲&パデレフスキ:ポーランド幻想曲
[Hyperion Records 公式チャンネルより]
Hyperionの人気シリーズ「ロマンティック・ピアノ・コンチェルト」の第83巻!ポーランドのピアノ協奏曲!ソロはもちろん、ジョナサン・プロウライト!
ロマン派の知られざるピアノ協奏曲の発掘・蘇演を行うハイペリオンの人気シリーズ、「ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ」。第83巻は、知名度の点で全く正反対な2人のポーランドの作曲家、イェジ・ガブレンツ(1888-1937)とイグナツィ・ヤン・パデレフスキ(1860-1941)のカップリング。イェジ・ガブレンツがほとんど知られていないのに対し、パデレフスキは20世紀の最初の40年間、世界で最も有名な人物のひとりでした。
ソリストは、これまでもパデレフスキ、ストヨフスキ、ジェレンスキ、ザジツキなど、数々のポーランド音楽を世に広めてきたスペシャリスト、ジョナサン・プロウライト。指揮は、ポーランド指揮界の次代を担う存在であり、同じく、知られざるポーランド音楽を紹介し続けてきたウカシュ・ボロヴィチです。
ガブレンツはポーランドのクラクフで生まれ、音楽の才能に恵まれながらも、大学では法学を学び、のちに父親から工場を経営を任されるなど、学問や仕事と創作活動の両立に悩まされた作曲家でした。彼は手紙の中でこう書き残しています。「 即興や作曲をしたいのですが、頭が自由にならず、うまくいきません。時折、ピアノの前に座ることはありますが、頭の中は常に無意識に本や勉強のことに戻っているので、とても難しいのです。」 未完成や未演奏のままの作品が多いことも、ガブレンツが無名であることの原因のひとつだと考えられます。
《ピアノ協奏曲 変ニ長調》は1926年の9月に完成した作品ですが、1977年まで実演を聴くことはできませんでした。このピアノ協奏曲は演奏時間約45分の大作で、うち約半分を第1楽章が占めています。モシュコフスキからの影響やショパンのバラードの引用、魅力的なメロディーと充実のオーケストレーションで満たされた、まさにポーランドのロマンティック・ピアノ・コンチェルトの王道を行くような作品です。グロッケンシュピールの印象的な5つの音で導入され、1930年代のハリウッドのようなテーマがロマンティックな雰囲気を高める第2楽章~第3楽章の流れも非常に魅力的です。
パデレフスキの《ポーランド幻想曲》は、パデレフスキがピアノとオーケストラのために書いた最後の作品。テーマはパデレフスキのオリジナルで、エルガーが交響的前奏曲《ポローニア》の中でポーランド国歌やショパンの主題とともに引用したことでも知られています。
オーケストラの編成には、トライアングル、グロッケンシュピール、タンバリン、ハープが加えられ、演奏効果を高めています。アメリカの代表的な批評家・音楽学者ヘンリー・エドワード・クレビエル(パデレフスキーのリサイタルのプログラムの多くに注釈をつけている)は、この作品について分析ノートの中で「大いなる華やかさと誇りの宣言、最も自由な歓喜のほとばしり、優しい嘆き、夢のような思索、そして荒々しい情熱の発露が見られる」と書いています。
(東京エムプラス)
『ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズVol.83~ガブレンツ&パデレフスキ』
【曲目】
イェジ・ガブレンツ(1888-1937):ピアノ協奏曲 変ニ長調 Op.25
イグナツィ・ヤン・パデレフスキ(1860-1941):ポーランド幻想曲 Op.19
【演奏】
ジョナサン・プロウライト(ピアノ)
ウカシュ・ボロヴィチ(指揮)
BBCスコティッシュ交響楽団
【録音】
2019年9月11日-12日、シティ・ホール(スコットランド、グラスゴー)
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2021年04月01日 00:00