名門ゴシック・ヴォイシズの新録音は英国の中世末期を代表する手稿譜集『オールドホール写本』の音楽集
百年戦争期における英国と大陸のつながりを、名門ゴシック・ヴォイシズとともに
アルバムタイトルは英国の中世末期を代表する手稿譜集『オールドホール写本』に光をあてていることを示すダブルミーニング。
1973年、サザビーズのオークションをへて英国図書館(ブリティッシュ・ライブラリー)の収蔵品となった美しい彩色装飾つきのこの楽譜集は、ロンドンとケンブリッジのほぼ中間、オールドホール・グリーンという場所にあるカトリック寄宿学校が長く所有していたため、専門家たちの間でそう呼ばれるようになりました。
そこには14~15世紀、すなわち英仏百年戦争の時代に活躍したヨーロッパ大陸と英国の作曲家たちによる多声音楽が集められており、ブルゴーニュ楽派のデュファイやバンショワのかたわら英国のパワーやダンスタプルの作品が並ぶという、様式比較の上でも極めて興味深い選曲が音楽史家たちの関心を集めてきました。
初期ネーデルラント楽派と、当時の音楽大国だった英国の巨匠たちがどれほど近い関係にあったか、英国古楽界の名門ゴシック・ヴォイシズの精鋭による絶妙な和声感覚で味わえるのはこのうえない贅沢。
21世紀に満を持しての新録音、中世ポリフォニーがルネサンス期へ新たな一歩を踏み出す時代ならではの高雅な音楽をじっくりお楽しみ頂けます。
(ナクソス・ジャパン)
『古き広間に響き合うもの』~オールドホール写本に記された英仏14、15世紀の多声音楽~
【曲目】
~英国らしさをまとった音楽~
1. メシュエ・ド・ジョアン(1378-1386頃活躍):祭壇を前に、奉納の後/そのとき、民の間から現れたのは
2. グレゴリオ聖歌: 贖い主のお優しき御母
3. トーマス・デイメット(1389頃-1437頃):ごきげんよう、天への門となる方よ
4. グレゴリオ聖歌: 来たれ創造主たる霊よ
5. ジョン・クック(1402-1419頃活躍):栄光あれ、高きところに(グローリア)
6. ジョン・ダンスタプル(1390頃-1453):ごきげんよう、天の皇后であらせられる方
7. グレゴリオ聖歌: 天の皇后、お喜びください
8. 作者不詳(14-15世紀):聖なるかな、聖なるかな(サンクトゥス)
9. ダンスタプル: 来たれ、聖なる霊/お越しください、あなたの民の心に
10. トーマス・バイタリング(1400-1420頃活躍):男を識ることなく、乙女のままに母となり
11. クック: 天の星なる方が亡くなった
12. 作者不詳(14-15世紀):神の子羊(アニュス・デイ)
13. グレゴリオ聖歌: 男を識ることなく、乙女のままに母となり
14. レオネル・パワー(1375頃-1445):栄光あれ、高きところに(グローリア)
~さまざまな影響関係の形跡~
15. ジョン・フォレスト(1365頃-1446):あなたの恋人はどのような人でしょう
16. グレゴリオ聖歌: 祝福されたむすめよ
17. ヨハネス・デ・リンブルジア(1400-1440頃活躍):あなたはまことに美しい
18. グレゴリオ聖歌: ごきげんよう、天の皇后であらせられる方
19. ギヨーム・デュファイ(1397頃-1474):花の中の花、泉の中の泉
20. パワー: ごきげんよう、天の皇后であらせられる方
21. デュファイ: ごきげんよう、天の皇后であらせられる方
22. ヨハンネス・オクール(1390-1410頃活躍):愛しい人よ、お願いです
23. ジル・バンショワ(ジル・ド・バン)(1400頃-1460):さらば、恋の喜びよ
24. バンショワ: 悲しみに苦しみ悶え、怒りは留まるところを知らず
25. デイメット: 麗しき方、神をお産みになった方
26. グレゴリオ聖歌: 慰めをもたらすと言われている方よ
27. ジャン・ピカール(1390-1400頃活躍):栄光あれ、高きところに(グローリア)
【演奏】
ゴシック・ヴォイシズ
[メンバー]
キャサリン・キング(メゾ・ソプラノ)
スティーヴン・ハロルド(テノール)
ジュリアン・ポッジャー(テノール)
スティーヴン・チャールズワース(バリトン)
ジョシュ・クーター(テノール)
サイモン・ホワイトリー(バス=バリトン)
【録音】
2018年10月27-30日
ボクスグローヴ礼拝堂、チチェスター(イングランド)
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2021年04月30日 00:00