ダヴィド・グリマルの新録音が2タイトル、リリース!『イザイ:6つのヴァイオリン・ソナタ』、『ショーソン、ラヴェル、エネスク:ヴァイオリンと管弦楽ための作品集』
イザイ:6つの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ op.27
グリマルがふくよかな音色で奏でるイザイ全曲!
フランスの名手グリマルによる、イザイのヴァイオリン・ソナタ全曲録音の登場。イザイ(1858-1931)は、19 世紀から20 世紀にかけてのヴァイオリン界を先導した人物でした。教師、奏者、作曲者としても名を成したイザイの指導を受けた人物にはアイザック・スターンがおり、そのスターンの教えを受けた一人にレジス・パスキエがいます。パスキエはグリマルの師でもあり、イザイのソナタを録音した初めてのヴァイオリン奏者でもあります。イザイの精神が現代の名手たちにも脈々と受け継がれていることを感じさせる演奏。ふくよかさを感じさせる瞬間もあるグリマルのイザイ、注目です。
【イザイのヴァイオリン・ソナタ】
6 曲から成るイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタop.27 は言わずとしれた難曲ぞろい。自身優れたヴァイオリニストでもあったイザイが、バッハの無伴奏ソナタ &パルティータを強く意識して書いたもの (イザイの自筆譜にはバッハの各曲の調性のメモもあります)。各曲が名ヴァイオリン奏者やイザイの高弟に捧げられているのも特徴。第1番はシゲティ、第2番はティボー、第3番はエネスコ、第4番はクライスラー、第5番はイザイの高弟でイザイ弦楽四重奏団の第2ヴァイオリン奏者を務めてもいたマシュー・クリックボーム、第6番はイザイの高弟、マヌエル・キロガに捧げられています。バッハの引用があったり、グレゴリオ聖歌の引用があったり、また、バロック風、スペイン舞曲風、印象派絵画のような楽曲など、実に個性豊かで超絶技巧も随所に盛り込まれた楽曲ぞろいとなっています。
(キングインターナショナル)
【曲目】
イザイ(1858-1931):6つの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ op.27
第1番 ト短調「ヨーゼフ・シゲティに捧ぐ」[18'34]
第2番 イ短調「ジャック・ティボーに捧ぐ」[13'18]
第3番 ニ短調「ジョルジュ・エネスコに捧ぐ」ーバラード[7'46]
第4番 ホ短調「フリッツ・クライスラーに捧ぐ」[11'40]
第5番 ト長調「マチュー・クリックボームに捧ぐ」[10'44]
第6番 ホ長調「マヌエル・キロガに捧ぐ」[7'50]
【演奏】
ダヴィド・グリマル(ヴァイオリン/ストラディヴァリウス’ex-Roederer’)
【録音】
2019年7月8-10日、ボン=セクール教会(パリ)
ショーソン、ラヴェル、エネスク:ヴァイオリンと管弦楽ための作品集
グリマルとレ・ディソナンスが描く
ショーソン、ラヴェル、そしてエネスクへとつづく道
フランスの名手グリマル率いるレ・ディソナンスが、ヴァイオリン・ソロと管弦楽のための作品を録音しました。指揮者なしでの演奏です。
詩曲とツィガーヌがはいっている、というだけでも非常に聴きたくなるプログラムですが、メインは、ルーマニアに生まれたエネスクの作品「ルーマニア奇想曲」であるといえます。このルーマニア奇想曲は、エネスクが、1925 年から1949 まで長い年月をかけて書き進め、最終的には未完となった作品。1990 年代に作曲家コルネル・タラヌによって補筆されました。村の土埃や、道端で物語を歌い聞かせる老人の声などを思わせる音楽で、そうした土のにおいや空気を伝えるために、四分音なども出てきます。さらに自身ヴァイオリンの名手だったエネスクらしく、超絶技巧も要求される作品です。エネスクは、その音楽のルーツを母国のさまざまな伝統音楽にもつ一方、20 世紀初頭のフランス音楽の世界にも深く影響を受けています。グリマルは若いころに、エネスクのヴァイオリン・ソナタ第3番の作曲者自身とリパッティによる演奏を聴いて以来、エネスクに魅せられてきました。エネスクは、15 歳という若さでパリ音楽院に在籍、ラヴェルと対位法の授業で一緒になり、ラヴェルはエネスクのことをもっとも優秀な生徒と語っていたそうです。さらにエネスクはティボーと同じヴァイオリンのクラスにも在籍していました。マスネとフォーレに作曲を師事し、当時の最先端の音楽言語を見事に自分のものにしていました。そんなエネスクの作品をメインに、エネスクがよく演奏していた「詩曲」と「ツィガーヌ」をプログラムすることにより、エネスクの魅力が非常にくっきりと浮かび上がってくるような1枚となっています。
(キングインターナショナル)
【曲目】
エルネスト・ショーソン(1855-1899):ヴァイオリンと管弦楽のための詩曲 作品25
モーリス・ラヴェル(1875-1937):ツィガーヌ-ヴァイオリンと管弦楽のための演奏会用狂詩曲
ジョルジェ・エネスク(1881-1955):ヴァイオリンと管弦楽のためのルーマニア奇想曲
【演奏】
ダヴィド・グリマル(ヴァイオリン&芸術監督)
レ・ディソナンス
【録音】
2015年10月9日(エネスク/ライヴ、演奏終了後拍手あり )
2021年4月12日(ショーソン、ラヴェル)
<ダヴィド・グリマル(ヴァイオリン)>
1973 年生まれ。5 歳でヴァイオリンを始める。パリ音楽院でレジス・パスキエに師事。ソリストとしての活動のほか、2004 年に指揮者をおかないアンサンブル「レ・ディソナンス」を結成。また、アンサンブルのメンバーでトリオなどの室内楽の活動を行うなど、多方面にわたる音楽活動を展開している。2008年“シュヴァリエ”受勲。ザールブリュッケン音楽大学で指導するかたわら、マスタークラスも世界各地で開催している。使用楽器は、1710 年製のストラディヴァリウス“ex-Roederer”。
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2022年06月16日 00:00