『激ロック』スペシャルコーナー【9月レコメンドアイテム】
Ozzy Osbourne / 『Patient Number 9』
GENRE:HEAVY METAL
ヘヴィ・メタルの帝王は何度でも蘇る――
偉大なる“マッドマン”Ozzy Osbourneが再び混迷の世界に送り出す強力な最新アルバム!
Ozzy Osbourneは、やはり不屈のマッドマン、プリンス・オブ・ダークネスであった。前作に引き続きAndrew Wattと再びタッグを組み、キャリア史上最も豪華なゲスト陣が多く参加した最新アルバムは、世界3大ギタリストたるJeff Beckが参加した7分以上に及ぶダークなヘヴィ・ロックのTrack.1や、Eric ClaptonとコラボしたTrack.5など、伝説的なミュージシャンたちが集結。Ozzyならではのダーク且つメロディアスな“王道のロック”を提示している。本作はそんな複数の名だたるギタリストが参加したことで、それぞれの名人芸とOzzyの個性がぶつかり合う楽しみも味わえる、幅広いロック・ファンにとってのフェイヴァリット・アルバムとなるだろう。
井上 光一【ライター推薦】
YUNGBLUD / 『Yungblud』
GENRE:ALTERNATIVE ROCK
“サマソニ”でのパフォーマンスも話題の若きスター、YUNGBLUD!
エモーショナルなロックですべての人々を肯定するセルフ・タイトル・アルバム!!
“SUMMER SONIC 2022”では破天荒なパフォーマンスで強烈なインパクトを残したYUNGBLUDの、セルフ・タイトルとなる3rdアルバム。アップリフトなビートで人生を肯定するTrack.1に始まり、WILLOWを迎えて頭から離れない記憶を歌うTrack.3、寄り添うような優しさがにじむTrack.6など、本人が“今までで一番パーソナルな作品”だと語る通りの赤裸々な歌詞と、エモーショナルで繊細なロック・サウンドが見事に融合した楽曲を収録。痛快なパンク・ナンバーのTrack.10、ストーリーテリングの妙が光るTrack.11と、音楽性の幅広さも魅力的だ。リスナーひとりひとりの不安感や悲しみに向き合い、そっと手を差し伸べるようなエネルギーに満ちた1枚。
菅谷 透【ライター推薦】
ELECTRIC CALLBOY / 『Tekkno』
GENRE:ELECTRONICORE, POST HARDCORE
テクノカットで大暴走!?ELECTRIC CALLBOYとしてアクセル全開再スタート!
バンド名をESKIMO CALLBOYからELECTRIC CALLBOYに変更後、初めてリリースするアルバム。MVが驚異的に再生回数を伸ばしている「We Got The Moves」をはじめ、テクノ・サウンドに焦点を当てた、これまでよりディープなクラブ・ミュージックのノリが印象的な作品となっている。一方で、CONQUER DIVIDEがゲスト参加した「Fuckboi」など、ポップ・パンクのメロディとヒップホップをミックスさせた、トレンドっぽいサウンドも抑えている。日本盤には、ボーナス・トラックとして、前EP収録の人気曲「Hypa Hypa」と先行シングル「Pump It」というどちらもアゲアゲ感満載のナンバーがライヴ・バージョンで収録されている。こちらも嬉しいプレゼントだ。
山本 真由【ライター推薦】
TABOO / 『Taboo』
GENRE:HARD ROCK, ALTERNATIVE ROCK
Ken Hammer(PRETTY MAIDS)&Christoffer Stjerne(H.E.R.O.)による新ユニット!
モダンさと懐かしさを併せ持つハード・ロック・サウンド鳴らすデビュー・アルバム!
北欧デンマークから新たなユニットが誕生! 同国を代表するHR/HMバンド PRETTY MAIDSの結成メンバーであるギタリストのKen Hammerと、日本でもお馴染みH.E.R.O.のフロントマン Christoffer Stjerneがタッグを組んだ“TABOO”が、セルフ・タイトルのデビュー・アルバムを発表した。モダンさと懐かしさを併せ持ったハード・ロック・サウンドを軸に、美しいメロディを紡ぐChrisのエモーショナルなヴォーカルと、Kenの流麗でメロディックなギターが融合した、世代を問わず楽しめること間違いなしの作品だ。あの“ワイルド・スピード”の名曲「See You Again」を胸打つロック・バラードに仕立てたTrack.8も必聴。
菅谷 透【ライター推薦】
PANIC! AT THE DISCO / 『Viva Las Vengeance』
GENRE:POP ROCK
クラシック・ロックへのオマージュを込めた約4年ぶり最新アルバム!
前作『Pray For The Wicked』が2作連続の全米1位を獲得する大ヒットとなり、日本では収録曲「High Hopes」がCMソングにも起用されるなど、ポップ・スターとしての地位を確立したP!ATD。約4年ぶりとなる最新作は、近作の打ち込みを主体としたサウンドから一転して、生バンドのライヴ・レコーディングを軸としたゴージャスなロック・アルバムだ。Brendon Urie(Vo)が敬愛する70~80年代のクラシック・ロックへのオマージュが随所に織り込まれつつ、ひと筋縄ではいかないユニークな曲展開、そして重層的なコーラスを従え、自らの人生に基づいたストーリーを歌い上げるBrendonの唯一無二なヴォーカルが、単なる懐古ではないエンターテイメント作品であることを示している。
菅谷 透【ライター推薦】
PARKWAY DRIVE / 『Darker Still』
GENRE:METAL
モダン・メタルのトップランカー、PARKWAY DRIVE!
新たな領域に突入した7thアルバム!
世界最大級のメタル・フェス“Wacken Open Air 2019”のヘッドライナーを務めるなど、メタルコア・シーンにとどまらない活躍を見せてきたPARKWAY DRIVEが、約4年ぶりの最新アルバムを完成させた。“霊魂を覆う闇”をコンセプトにした本作では、徹底してシリアスでダークな世界観のもとに、バラエティ豊かな叙情的ギター・フレーズ、思わず拳を握りたくなるキャッチーなコーラスと、前々作『Ire』から推し進めてきたモダン・メタル路線をより高い次元で展開。ドラマチックなクワイアを盛り込んだTrack.4や、METALLICA「Nothing Else Matters」を思わせるエピックなバラードのTrack.5など革新性も追求し、新たな領域に突入したことを感じさせる渾身の作品。
菅谷 透【ライター推薦】
MEGADETH / 『The Sick, The Dying… And The Dead!』
GENRE:THRASH METAL
前進を続ける最新型MEGADETHが生み落とす、“らしさ”満載の会心の1枚!
これぞ2020年代の“インテレクチュアル・スラッシュ・メタル”! Dave Mustaine(Vo/Gt)の咽頭がん発症やDavid Ellefson(Ba)の解雇を経て、混迷を極める世界へと放たれた最新型のMEGADETHによるアルバムは、冷徹且つソリッドなリフとテクニカルで時に叙情的なフレーズとのコントラストの妙、複雑に絡み合うバンド・アンサンブルが“らしさ”満載の作品となった。心配されたDaveの歌声はたしかに変化を感じ取れるものの、渋みが増したことでメロディの味わい深さにもさらなる説得力が生まれている。MEGADETHというとてつもなく巨大な看板を背負いながらも、ひたすらに前進し続けるレジェンドたちの音楽に対する敬意や、誠実な態度があってこそ成し得た会心の1枚!
井上 光一【ライター推薦】
BEHEMOTH / 『Opvs Contra Natvram』
GENRE:BLACKENED DEATH METAL
世間が押しつける“正しさ”に逆らう“反逆のアート”――
王道のBEHEMOTH節を細部にまで刻み込んだ新作ドロップ!
ポーランドが生んだ巨獣、BEHEMOTHのニュー・アルバムは、常にその年のエクストリームなメタル・シーンにおける一大イベントとして大きなインパクトを残すほどの影響力を持っているが、通算12枚目となる本作でもそれは変わらないだろう。圧倒的なテクニックに裏打ちされた鉄壁のバンド・アンサンブル、卓越したソングライティングと優れたサウンド・プロダクションが生み出す楽曲群は、どれも強烈なブルータリティと破壊的な美が交互に押し寄せる王道のBEHEMOTH節が音の細部に至るまで刻み込まれている。全体的には音楽性に大きな変化は感じられず際立った音楽的な冒険も見受けられないが、本作は、世間が押しつける“正しさ”に逆らい続けるすべての人にとっての“反逆のアート”となるはずだ。
井上 光一【ライター推薦】
AMON AMARTH / 『The Great Heathen Army』
GENRE:MELODIC DEATH METAL, VIKING METAL
スウェーデンが誇るメロデス~ヴァイキング・メタルの雄、AMON AMARTH!
クサめのフレーズ満載!粒揃いのアンセミックな楽曲が並ぶアルバム到着!
世界的なパンデミックに見舞われようとも、勇猛果敢なヴァイキングたちは戦い続ける。スウェーデンが誇るメロデス~ヴァイキング・メタルの雄、AMON AMARTHによる通算12枚目となるフル・アルバムだ。音楽性に大きな変化は見られないが、前作『Berserker』(2019年)と比べて全9曲と割合にコンパクトな作りとなっており、重厚なリフと激タイトなリズム、雄々しいヴォーカルが作り上げる粒揃いのアンセミックな楽曲がずらりと並んだ印象。正統派ヘヴィ・メタル由来のクサめなフレーズも満載で、ファンは安心して聴けるだろう。“Saxons And Vikings”という直球のタイトルの楽曲にはSAXONのメンバーが参加。歌とギター・ソロを提供しているのでこちらにも注目を。
井上 光一【ライター推薦】
STRATOVARIUS / 『Survive』
GENRE:MELODIC POWER METAL
フィンランドの巨人、STRATOVARIUS!
彼らがパワー・メタル・シーンの王者たるシンプルな答えを証明する新作完成!
長きにわたりヨーロピアン・メタルのトップに君臨し続け、欧州パワー・メタルを世に知らしめたフィンランドの巨人、STRATOVARIUS。偉大なキャリアの裏でトラブルも多かった彼らにとって、コロナ禍も含めて常に“サヴァイヴ”し続けた結果生まれたのが、通算16枚目のスタジオ・アルバム『Survive』である。圧巻の美旋律がこれでもかと迫りくるSTRATOVARIUS節に思わず拍手喝采の、見事な滑り出しを見せるオープニング・ナンバー「Survive」から、ドラマチックなラスト曲「Voice Of Thunder」に至るまで、彼らがパワー・メタル・シーンの王者たる、最もシンプルな答えを全11曲が証明しているのだ。しばらく彼らの音から離れていたという方も、ぜひ聴いてみてほしい。
井上 光一【ライター推薦】
BLIND GUARDIAN / 『The God Machine』
GENRE:POWER METAL, GERMAN METAL
アグレッシヴなギターや疾走感が復活!
音楽という名の“物語”を生み出すソングライティングが光る、約7年ぶりの最新作!
名作『Imaginations From The Other Side』(1995年)を引き合いに出す評価もあり、期待していたファンも多いのではないだろうか。ドイツが生んだ欧州パワー・メタル・シーンにおける最重要グループのひとつ、BLIND GUARDIANが約7年ぶりに放つ通算11枚目の最新作は、前評判通り1990年代の彼らを彷彿させるアグレッシヴなギターや疾走感が復活。近年追及していたオーケストラ・サウンドの代わりに、練り上げられたプログレッシヴな楽曲構成そのものに力を注いだ作風となっている。Hansi Kürschの伝説的なヴォーカル・パフォーマンスも健在で、音楽という名の“物語”を生み出すソングライティングの妙に、改めて驚かされることだろう。
井上 光一【ライター推薦】
FLOGGING MOLLY / 『Anthem』
GENRE:CELTIC PUNK, FOLK PUNK
FLOGGING MOLLY、自身の音楽性への誇りを感じさせる
シンプル且つブレのない“原点回帰”のニュー・アルバム『Anthem』リリース!
2000年代初頭にアイリッシュ・パンク・ブームの火つけ役となり、来日公演があれば毎回盛況と、ここ日本でも絶大な人気を誇るFLOGGING MOLLY。そんな結成25年というベテランの域に達した彼らが、シンプル且つブレのない“原点回帰”とも言えるようなニュー・アルバムをリリースした。今作は、伝統的なケルト音楽の様式を生かした郷愁を誘う響きに、パンク・ロックの疾走感や力強さが合わさった、その独特な音楽性を20年以上守り続けてきた彼らの誇りが感じられる作品。本当に心の底から音楽を楽しめているバンドだからこそ生み出せる楽曲の数々となっている。祝祭感があり、踊りだしたくなるリズム、そしてお酒の進むノリは、まさに今の時代にこそ求められているものだろう。
山本 真由【ライター推薦】
【激ロック】
ラウドミュージックに特化したフリーマガジン、ポータルサイトの運営、そして国内外のバンドを招聘してのライブイベント、13年間続くROCK DJパーティーの企画、運営を行っている。さらには渋谷宇田川町に位置する「Music Bar ROCKAHOLIC」と同じく宇田川町にあるロックファッション・ショップ&通販サイト「GEKIROCK CLOTHING」の運営など、クロスメディアを超えたクロスカルチャー展開をシーンに仕掛けるラウドミュージック専門のクリエイティブ集団である。
タグ : PUNK/EMO ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)
掲載: 2022年09月16日 15:28