WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.209
ビル・エヴァンス『アローン』(1970)
ビル・エヴァンス(p)
1968年9月23日、10月8日、21日、ニューヨークにて録音
曲目(オリジナルLP発売時):
01.ヒアズ・ザット・レイニー・デイ
02.ア・タイム・フォー・ラヴ
03.ミッドナイト・ムード
04.オン・ア・クリア・デイ
05.ネヴァー・レット・ミー・ゴー
【アルバム紹介】
1.ビル・エヴァンス、完全ソロ・ピアノ演奏の名盤
2.独特のリリシズム、繊細なタッチ、奥深い音楽性が表出
3.聴きどころは14分半に及ぶ、スタンダード名曲“ネヴァー・レット・ミー・ゴー”
12月に入ってから、ビル・エヴァンスの“共演盤”を紹介してきましたが、今回は完全ソロ・ピアノ演奏の名盤を紹介しまして、ビル・エヴァンス特集のラストにいたします。
タイトルでお分かりの通り、本作はビル・エヴァンスのソロ・ピアノによる傑作です。スタンウェイのピアノを前に、独特のリリシズムによるメロディーと内省的なハーモニーの絶妙なコンビネーション、繊細なタッチから繰り出される水紋のように広がる響きまで、ビル・エヴァンスというピアニストの奥深い音楽性が表出されています。また本作はグラミー賞受賞作品でもあります。
楽曲はロマンティックなスタンダード・ナンバー“ヒアズ・ザット・レイニー・デイ”で始まり、ジョニ―・マンデル作の切ない“ア・タイム・フォー・ラヴ”、ジョー・ザヴヌル作の爽やかな“ミッドナイト・ムード”、そして2つのスタンダード、やや躍動的な“オン・ア・クリア・デイ”、ドラマティックな“ネヴァー・レット・ミー・ゴー”という構成になっています(その後CD化の際はボーナス・トラックが追加されています)。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
14分半に及ぶ、スタンダード名曲“ネヴァー・レット・ミー・ゴー”。
本作を聴くうえで欠かすことの出来ないトラックはやはり、14分を超えるこの“ネヴァー・レット・ミー・ゴー”です。10分以上にもなる演奏は通常だと、冗長に感じ、聴いていて間延びしてしまう傾向にありますが、このビル・エヴァンスの演奏は一音も聴き逃せないほど、充実したものになっており、まるで一本の映画を見ているかのような、そんなストーリー性を感じさせます。
演奏全体を通して言えることはテーマ・メロディーの変奏的なアプローチという感じです。常にテーマ・メロディーの断片を交えつつ進行してゆき、そこにインプロヴィゼーションを挟みこみながらも、大きく曲から逸脱することのなく、様々な表情を見せる中で、ロマンティシズムに溢れるフレージングで魅了してゆきます。大げさな高揚感を出すこともなく、また無駄に流すこともなく、リリカルな情感をたたえながら聴かせてゆくのがビル・エヴァンスらしいところです。
WEEKEND JAZZは今回が2022年ラストになります。
一年、閲覧いただきありがとうございました。
また来年も、いろいろな名盤をご紹介してゆきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
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タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2022年12月23日 10:00