ほぼ世界初録音!ニール・トムソン&ゴイアス・フィルによるクラウジオ・サントロ:交響曲全集第3集~交響曲第8番、チェロ協奏曲、ほか
ブラジル外務省が主導するプロジェクト「Brasil em Concerto」。19世紀から20世紀にかけて作曲された約100曲のブラジル音楽をブラジルのオーケストラが演奏、録音するという、これまでになかった大がかりな企画です。その中でもブラジルを代表するシンフォニストであるクラウジオ・サントロの交響曲全集は注目の企画です。
このアルバムには1960年代の作品を収録。この時期は波乱に富んだサントロの人生の中でも特筆に値する激動の時代であり、単に交響曲全集のうちの1枚というだけでなく、その時代を映した選曲がなされていることも興味を惹きます。
1960年、サントロは西ドイツ(当時)政府の招きでケルンを訪れ、その後電子音楽を研究するためにベルリンへ移ります。そこで体調を崩し資金にも難渋したサントロに支援を申し出たのが東ドイツの作曲家連盟で、彼は1961年夏を東ベルリンで迎え、8月13日のベルリンの壁着工を目撃することとなりました。チェロ協奏曲の第1楽章の自筆譜には「1961年8月」、第2楽章には「1961年8月28日」の日付があり、全曲が完成したのは同年10月。サントロはこれが標題音楽と見られることを拒否しましたが、緊張感の高い荒々しい音楽は闘争や不安を感じさせます。演奏時間32分余り。チェロ独奏には強靭なヴィルトゥオジティが求められます。
その後ブラジルに戻ったサントロは1962年に首都にあるブラジリア大学に新設された音楽学部の学部長に招かれます。その翌年に生まれた交響曲第8番は急-緩-急の3楽章からなる演奏時間15分ほどの作品。12音技法と表現主義の語法とを統合しようとした形跡があり、第2楽章では女声のヴォカリーズが使われています。
1964年に軍事クーデターによってブラジルに独裁政権が成立すると、サントロは左翼的な思想を理由に大学の職から追われ、ドイツへ渡りました。ドイツでは電子音楽に加えて偶然性の音楽などを研究。そこから生まれたのが「3つの抽象」などの作品になります。
※国内仕様盤には木許裕介氏(指揮者、日本ヴィラ=ロボス協会会長)による日本語解説が付属します。
(ナクソス・ジャパン)
[日本語解説付き]
※国内仕様盤には木許裕介氏(指揮者、日本ヴィラ=ロボス協会会長)による日本語解説が付属します
『クラウジオ・サントロ:交響曲全集 第3集』
【曲目】
クラウジオ・サントロ(1919-1989):
1-3. チェロ協奏曲(1961)*
1. I. Moderato (improvisando) - Cadência - Allegro
2. II. Lento
3. III. Allegro deciso ma molto
4-6. 交響曲第8番(1963)*
4. I. Allegro
5. II. Andante
6. III. Final
7-9.Três Abstrações 3つの抽象(1966)*
7. I.
8. II.
9. III.
10. Interações Assintóticas(1969)
11. One Minute Play(1966-1967)*
*…世界初録音
【演奏】
マリーナ・マルチンス(チェロ)…1-3
デニーシ・ジ・フレイタス(メゾ・ソプラノ)…5
ゴイアス・フィルハーモニー管弦楽団
ニール・トムソン(指揮)
【録音】
2018年11月10-11日…4-6
2019年11月27-28日…7-9、11
2019年8月12-15日…1-3
2019年8月19日…10
Centro Cultural Oscar Niemeyer, Goiânia, Brazil2018
総収録時間:67分
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2023年05月29日 00:00