『激ロック』スペシャルコーナー【6月レコメンドアイテム】
QUEENS OF THE STONE AGE / 『In Times New Roman…』
GENRE : ROCK
過去最高に濃密で強烈な、QOTSA 6年ぶりのアルバム完成
大ヒットした前作『Villains』から6年、QUEENS OF THE STONE AGEが提示する最新作は、これまで以上に生々しいロックンロール・サウンドが印象的なアルバムとなった。“世界は1~2ヶ月で終わる”と歌いながら、漫然と生きることへの疑問を呈し、アグレッシヴ且つグラマラスなロック・スタイルで人間の本能や生への渇望を刺激する。さらに今作は、バンドのセルフ・プロデュースということもあり、多彩な経歴を持つメンバー個々の特徴が生かされた演奏が目立つ作品となっている。ダークな曲調やアンダーグラウンドな響きがありつつ、華のあるアートなロックに仕上がっていることも、QOTSAというバンドが長年ファンから支持され熱狂的に愛され続ける理由のひとつだろう。
山本 真由【ライター推薦】
BUCKCHERRY / 『Vol. 10』
GENRE : HARD ROCK, POST-GRUNGE, SLEAZE ROCK
愚直なロック魂、ここに在り。アメリカを代表するロック・バンド
BUCKCHERRYが節目となる通算10枚目の最新作をリリース!
時代の移り変わりなどはどこ吹く風、ロックンロールの楽しさ、素晴らしさを体現し続けるアメリカを代表するロック・バンドのBUCKCHERRYが約2年ぶりに最新作『Vol. 10』をリリース。タイトルで高らかに宣言しているように、記念すべき通算10枚目のアルバムとなった本作には彼ららしいグラマラスでキャッチーなロック・ナンバーはもちろん、ストリングスやピアノが効果的に使われた痛切なエモーションが心を揺さぶるロック・バラード「Pain」やツイン・リードのハーモニーが新鮮な「With You」に、本人がDEF LEPPARDの「Hysteria」を意識したという「Feels Like Love」など、バラエティ豊かな楽曲がずらりと並び、10枚目という節目に相応しい出来栄えとなっている。ベテランらしい貫禄と、愚直なロックンローラーとしての矜持を見せる痛快な1枚だ。
井上 光一【ライター推薦】
RANCID / 『Tomorrow Never Comes』
GENRE : PUNK ROCK
パンクについて知りたければ、RANCIDを聴け!
記念すべき10thアルバムが完成!
30年以上にわたり西海岸パンク・シーンを牽引してきたRANCIDが、記念すべき10thアルバムを発表! 周囲のバンドと比べ多作とは言えないが、毎作に込めるこだわりは知られているだろう。また、バンドのマイブームや気分が投影されることが多く、ガラリとテイストが変わることがあるのも特徴だ。今作で特に注目すべき点は、ほぼ2分以内のトラックが16曲、30分足らず(+ボートラ)という、駆け抜けるようなスピード感。しかも、激しいだけの畳み掛けるようなテイストではなく、ワンコーラス聴けばノリがわかるキャッチーさもあり、ただただ勢いに乗って“楽しめる”作品となっている。ここ数年、メンバー個々のプロジェクトが注目されていたが、RANCIDは彼らにとっていつでも帰れる表現の場として、今も健在だということを証明してくれた。
山本 真由【ライター推薦】
THE AMITY AFFLICTION / 『Not Without My Ghosts』
GENRE : METALCORE, POST HARDCORE
結成20周年にして最もヘヴィなTHE AMITY AFFLICTION 8枚目のアルバム
今年で結成20周年となる豪メタルコア・バンド、THE AMITY AFFLICTIONが8thアルバムをドロップ。これまでで最もヘヴィな1枚になったという本作は、人が自らの命を絶つことを選択するほどの心的外傷や、大切な人を自死で亡くすことについて、と扱っているテーマはダークだが、Joel BirchのスクリームとAhren Stringerの歌声をはじめ、激しさと叙情性の両方で感情を爆発させる収録10曲は、どれもこれから各地のライヴ会場を沸かせ、愛されていくこと間違いなし。またTrack. 4ではCOMEBACK KIDのAndrew Neufeld(Vo)、本作随一のヘヴィさを誇るTrack. 5ではラッパーのLOUIE KNUXX、Track. 6ではTHE PLOT IN YOUのLandon Tewers(Vo)、表題曲Track. 10ではオルタナティヴ・ポップ・シンガーのPHEMをそれぞれフィーチャー。彼らとのケミストリーも必聴だ。
内堀 文佳【ライター推薦】
AVENGED SEVENFOLD / 『Life Is But A Dream...』
GENRE : HEAVY METAL
AVENGED SEVENFOLDが4年かけて完成させた
あらゆるジャンルを超越する53分間
アルベール・カミュの代表作“異邦人”にもインスピレーションを受け、常に死の不安がつき纏うなかで人間の存在意義や価値を探求する、AVENGED SEVENFOLDが4年の歳月をかけて完成させたアルバム。哀愁漂うフラメンコ・ギターを繊細に爪弾くイントロからスラッシュ・メタルへと展開する「Game Over」に始まり、プログレッシヴなギター・リフ、スペイシーな浮遊感、壮大なジャズとなんでもありで、極めつきに表題曲「Life Is But A Dream...」はピアノ独奏曲という、あらゆるジャンルを超越した大作だ。そして不思議なことに、これほど難解でカオティックでありながら、取っ散らかって収拾がついていないという印象もない。53分間、最初から最後まで通しで、何度でも聴いてほしい1枚。
内堀 文佳【ライター推薦】
DROPKICK MURPHYS / 『Okemah Rising』
GENRE : CELTIC PUNK, FOLK ROCK
反逆のシンガー・ソングライター、Woody Guthrieの言葉を
現代のワーキング・クラス・ロック・スター、DKMが蘇らせるシリーズ第2弾
多くのアーティストに影響を与えた反逆のシンガー・ソングライター Woody Guthrie。そんな彼の残した言葉を現代のワーキング・クラス・ロック・スター DROPKICK MURPHYSが新曲として蘇らせるという、ユニークなアルバム・シリーズ第2弾がこちら。今作には、ゲストとして、フォーク・パンクのレジェンド VIOLENT FEMMES、DKMと同郷の地元ボストンでレベル・ミュージックを体現するアーティスト Jesse Ahern、LAのアウトロー・カントリー・シンガー Jaime Wyattといった多彩な面々が参加している。アコースティック作というと地味な印象を持たれるかもしれないが、フォーク・ロック、パンク、カントリーが交じり合った賑やかな音楽表現には、過不足ない満足感がある。
山本 真由【ライター推薦】
VEIL OF MAYA / 『[M]other』
GENRE : METALCORE, DEATHCORE
次回作は前日譚か進化形か――すでに期待させるVEIL OF MAYA 6年ぶりのアルバム
2019年に制作していたアルバムのリリースを諸事情により見送ったことで、前作から6年ぶりとなったVEIL OF MAYAの最新作。切れ味鋭くアグレッシヴな「Tokyo Chainsaw」、「Godhead」、「Synthwave Vegan」や、特にドラムの圧倒的スピードが際立つ「Lost Creator」の一方で、Marc Okubo(Gt)がRÜFÜS DU SOLのライヴから着想を得て制作したという、エレクトロなサウンドをフィーチャーした「Red Fur」に加え、「Artificial Dose」ではエモーショナルなクリーン・ヴォーカル、「[Re]connect」ではさらにプログレッシヴなリフも聴かせる楽曲群が収録された。次回作が、2019年から2021年に発表されたシングルを収め本作の前日譚のようになるのか、あるいは本作を経てさらに進化した彼らが見られるものになるのかにも期待したい。
内堀 文佳【ライター推薦】
THE RAVEN AGE / 『Blood Omen』
GENRE : ALTERNATIVE METAL
Steve Harris(IRON MAIDEN/Ba)の実子、George Harris(Gt)率いる5人組
THE RAVEN AGEおよそ4年ぶりの最新作
IRON MAIDENのベーシストにしてリーダー、Steve Harrisの実子であるGeorge Harris(Gt)率いる5人組が放つ、およそ4年ぶりの最新作。全9曲とコンパクトな作りながらどれも粒揃いの出来栄えで、持ち前のメロディックさとモダンなヘヴィネスとの絶妙なバランス感覚はネクスト・レベルへと達した印象だ。英国産らしい哀愁を帯びたギター・プレイの充実ぶりは、新ギタリスト Tommy Gentryが加入したことも大きいのだろう。数々の大物バンドのストリングス・アレンジを手掛けたイギリス人チェリスト、Audrey Rileyの参加も特筆すべき点で、重厚なバンド・アンサンブルと絡み合うストリングスが劇的な効果を上げていることにも注目してほしい。
井上 光一【ライター推薦】
MYSTIC PROPHECY / 『Hellriot』
GENRE : POWER METAL
硬派なパワー・メタルを聴きたければこれを聴け!
ジャーマン・メタルの雄、MYSTIC PROPHECY通算12枚目のアルバム
2000年の結成以来、メンバー・チェンジを繰り返しながらも定期的に質の高い作品をリリースし続けているジャーマン・メタルの雄による最新作。通算12枚目となる本作に込められた鋼鉄の信念は、表題曲の1曲目から容赦なく迫りくる重厚なリフとクサメロを聴くだけでも十二分に伝わるはずだ。唯一のオリジナル・メンバーにしてフロントマン、Roberto Dimitri Liapakisの男ならぬ“漢”の哀愁が迸る唯一無二の声と圧倒的な歌唱力に裏打ちされた卓越したヴォーカル・パフォーマンスも、20年以上のキャリアを経てさらに磨きがかかった印象だ。移り変わりの激しい時代の流行りとは無縁の硬派なパワー・メタルを聴きたければこのアルバムを聴け、と言わんばかりの見事な快作である。
井上 光一【ライター推薦】
WINTERAGE / 『Nekyia』
GENRE : SYMPHONIC METAL, POWER METAL
イタリア産シンフォニック~パワー・メタルの雄、WINTERAGE
やりすぎなくらいが気持ちいい、妥協なき1枚
さながらファンタジー映画の幕開けの如き荘厳なフル・オーケストラとクワイアによるオープニングに思わず度肝を抜かれる、イタリア産シンフォニック~パワー・メタルの雄が送る最新作。クラシック音楽やアイルランド民謡などから影響を受けたという基本路線は踏襲しつつ、シアトリカルな世界観を強化した手加減なしの大仰すぎるドラマチックなバンド・アンサンブルとクサメロの嵐、超絶ハイトーンを自在に操るオペラ風のヴォーカル、テクニカルなギター・ソロが混然一体となって迫りくる様に昇天必至である。時に主役級の活躍を見せる専任のヴァイオリン奏者が在籍していることも彼らの強みであり、民族音楽風の旋律が良いアクセントとなっている。やりすぎなくらいが気持ちいい、妥協なき1枚。
井上 光一【ライター推薦】
REASONS BEHIND / 『Architecture Of An Ego』
GENRE : POWER METAL, SYMPHONIC METAL
イタリア ボローニャ発の5人組、REASONS BEHIND
名門レーベル SCARLET RECORDS移籍後初、通算3枚目のアルバム
イタリアのメタルと言えば、エピック且つ大仰なサウンドとドラマチックなクサメロが乱舞するイメージを持たれている方も多いだろうが、2010年にイタリアのボローニャにて結成された5人組、REASONS BEHINDは王道のイタリアン・メタルの血統を受け継ぎながらも、EDM的なサウンドを大胆に取り入れたモダンなスタイルで注目を集めている存在だ。本作はイタリアの名門レーベル、SCARLET RECORDSに移籍後初となるアルバムで、通算3枚目の最新作。全体的に曲が一本調子な面は否めないが、紅一点のヴォーカリスト Elisa Bonafèの美声で魅せるメロディは抜群にキャッチーで聴きやすく、女性ヴォーカルのシンフォニック・メタル~ゴシック・メタル好きであればぜひチェックしてほしい。
井上 光一【ライター推薦】
【激ロック】
ラウドミュージックに特化したフリーマガジン、ポータルサイトの運営、そして国内外のバンドを招聘してのライブイベント、13年間続くROCK DJパーティーの企画、運営を行っている。さらには渋谷宇田川町に位置する「Music Bar ROCKAHOLIC」と同じく宇田川町にあるロックファッション・ショップ&通販サイト「GEKIROCK CLOTHING」の運営など、クロスメディアを超えたクロスカルチャー展開をシーンに仕掛けるラウドミュージック専門のクリエイティブ集団である。
タグ : ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM) PUNK/EMO
掲載: 2023年06月28日 14:40