WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.239
ジョン・コルトレーン『ソウルトレーン』(1958)
ジョン・コルトレーン(ts)
レッド・ガーランド(p)
ポール・チェンバース(b)
アート・テイラー(ds)
1958年2月7日、ニュージャージーにて録音
曲目:
01.グッド・ベイト
02.アイ・ウォント・トゥ・トーク・アバウト・ユー
03.ユー・セイ・ユー・ケア
04.テーマ・フォー・アーニー
05.ロシアの子守唄
【アルバム紹介】
1.プレスティッジ・レーベルに吹き込まれた初期リーダー・アルバム
2.傑作『ブルー・トレイン』の5か月後のセッション
3.プレイヤーとしてのコルトレーンを存分に楽しめる
今回からジョン・コルトレーンのアルバムを特集してゆきます。
まず最初の1枚はプレスティッジ・レーベルに吹き込まれた『ソウルトレーン』を紹介いたします。
この時代のジョン・コルトレーンはまだマイルス・クインテットの一員だった頃で、本作は極めて初期のリーダー作になります。アルバムとしてはブルーノート・レーベルにレコーディングした傑作『ブルー・トレイン』の5か月後のセッションになっています。
楽曲はオリジナル中心だった『ブルー・トレイン』に対して、本作では1曲も自身の曲は演奏しておらず、プレイヤーとしてのコルトレーンを存分に楽しめる1作です。
メンバーはピアノにレッド・ガーランド、ベースに名手ポール・チェンバース、ドラムスにアート・テイラーといった名うてのトリオを従えたワン・ホーン・カルテットの編成になっており、アルバムのラストで聴かせる“ロシアの子守唄”では高速ビートにのって、コルトレーンのプレイ・スタイルである、音を敷き詰めたような“シーツ・オブ・サウンド”が聴けます。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
温もりのバラード名演“アイ・ウォント・トゥ・トーク・アバウト・ユー”。
コルトレーンの名バラード演奏の一つとして名高いこの曲は1945年にスイング時代のシンガーであったビリー・エクスタインが作曲・歌唱したナンバー。
コルトレーンがまるで歌を歌いだしたかのように思わせるテナー・サックスの高音域の音でゆっくりと始まり、温もりのメロディーが包み込むように広がってゆきます。テーマの提示を終えると、歌心いっぱいのテナー・サックスのソロが続いてゆき、コルトレーンのバラード・プレイの見事なアプローチが堪能できます。
その後、ソロはピアノに移りますが、抒情性をたたえたレッド・ガーランドのタッチも絶品です。やがてベース・ソロとなり、滋味あふれるポール・チェンバースの低音の美学が味わえます。
再びコルトレーンのテナーが戻ってくるとテーマ回帰となり、エンディングへとむかい、コルトレーンのカデンツァ的なソロが展開されて曲を終えます。
この曲は時間にすると11分近い演奏なのですが、全体を通して豊かなフレージングに満ちているせいか、そんな長さを少しも感じさせない名演になっています。
国内盤SHM-CD
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2023年08月04日 10:00