WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.258
ロレイン・ゲラー『アット・ザ・ピアノ』(1959)
ロレイン・ゲラー(p)
リロイ・ヴィネガー(b)
エルドリッジ・ブルーズ・フリーマン(ds)
1954年、ロサンジェルスにて録音
曲目:
01.クラッシュ・バイ・ナイト
02.クローズ・ユア・アイズ
03.ミステリー・シアター
04.ザ・ブルー・ルーム
05.エヴリバディズ・ブルース
06.マダム X
07.ジー・ベイビー、エイント・アイ・グッド・トゥ・ユー
08.あなたと夜と音楽と
09.ポインシアナ
10.縁は異なもの
【アルバム紹介】
1.女流ピアニストのロレイン・ゲラーの自己名義による唯一のリーダー・アルバム
2.急性の喘息発作によって30歳でこの世を去った、夭折のピアニスト
3.ウエストコースト・ジャズらしい軽快なタッチの快演
今回でピアノ・トリオ名盤特集はラストになります。ご紹介するのは、女流ピアニストのロレイン・ゲラーの自己名義による唯一のリーダー・アルバムです。
1928年にオレゴン州のポートランドに生まれたロレイン・ゲラーは、ニューヨークで女性だけのビッグバンドに参加し、活動をスタート。1951年に同地で出会ったアルト・サックス奏者のハーブ・ゲラーと結婚、その後活動の拠点をロサンジェルスに移し、ウエストコースト・ジャズ・シーンで活躍しました。そして残念なことに、1958年、急性の喘息発作によって30歳でこの世を去っており、夭折のピアニストとして知られています。
本作では夫のハーブ・ゲラーのアルバムへの参加で馴染みのある、ベースのリロイ・ヴィネガー、ドラムスのエルドリッジ・ブルーズ・フリーマンと組んだピアノ・トリオでウエストコースト・ジャズらしい軽快なタッチの快演を聴かせています。
楽曲はオリジナルが4曲(1,3,5,6曲目)に加えて“あなたと夜と音楽と”や“縁は異なもの”といったスタンダードを取りあげています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
正統派バップ・スタイルが魅力のオリジナル“クラッシュ・バイ・ナイト”
4曲もオリジナルを提供しているだけあり、作曲面も長けていたことがわかる本作ですが、アルバム最初のこの1曲をまずは聴いてみましょう。
躍動感に満ちたリズムの上を正統派バップ・スタイルのピアノで聴かせます。
バド・パウエルというより、同じウエストコースト・ジャズ・シーンで活躍したピアニスト、ハンプトン・ホーズやアンドレ・プレヴィンにやや近いスタイルといえそうです。
短命でなければ、もっとたくさんのいいピアノ・トリオ・アルバムを残していたのではないか、とそんな風に思わせるプレイが印象に残ります。
国内盤SHM-CD
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2023年12月22日 10:00