ロバート・レヴィン、カミングズ、チチッチ&アカデミー・オヴ・エンシェント・ミュージック/モーツァルト:ピアノ協奏曲第6番&第8番、他
長い中断の後、2023年春にレーベルを変えて再開したレヴィン&AAMによるモーツァルト:ピアノ協奏曲の全曲録音。第4集は1776年にザルツブルクで作曲された協奏曲を集めています。
注目は鍵盤楽器の選択。当時のザルツブルクではチェンバロまたはクラヴィコードという言葉が鍵盤楽器全般を指して使われていました。モーツァルトが「チェンバロ」と書いた曲に強弱記号があるのもそうした背景によります。
レヴィンはこれらの作品に取り組むにあたり「チェンバロとフォルテピアノの中間的な存在でクラヴィコード的な性格もある」タンジェント・ピアノ(タンゲンテンフリューゲル)を使用。フォルテピアノに比べると音質は軽くて音量も小さめですが、4/3/2/2/1の弦の編成とうまくマッチして俊敏な音楽を透明なテクスチュアで奏でています。
3台の鍵盤楽器のための協奏曲ではフォルテピアノとチェンバロを加えることで3種の音色が生み出す華麗な効果が生まれ、各パートの音の動きを追いやすくなりました。
今回も64ページのブックレット(英語のみ)に、曲目解説と演奏者のプロフィールに加え、使用楽器の詳細や、AAM楽団員へのインタビュー、製作スタッフの回想等を掲載し、充実した内容となっています。ジャケットにはこのシリーズ共通で、AAMの創設者ホグウッドが愛好したパウル・クレーの絵が使われています。
(ナクソス・ジャパン)
[日本語解説付き]
※国内仕様盤には大津聡氏による日本語解説が付属します。
【曲目】
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791):
1-3. ピアノ協奏曲第6番 変ロ長調 K. 238
1. I Allegro aperto
2. II Adagio un poco adagio
3. III Rondo. Allegro
4-6. 3台のピアノと管弦楽のための協奏曲第7番 ヘ長調 K. 242
4. I. Allegro
5. II. Adagio
6. III Rondo. Tempo di minuetto
7-9. ピアノ協奏曲第8番 ハ長調 K. 246
7. I. Allegro aperto
8. II. Andante
9. III. Rondo. Tempo di minuetto
K.238とK.246のカデンツァはロバート・レヴィン作
【演奏】
ロバート・レヴィン(タンジェント・ピアノ)
ヤ=フェイ・チュアン(フォルテピアノ)・・・4-6
ローレンス・カミングズ(チェンバロ/指揮)…4-6
ボヤン・チチッチ(指揮)…1-3,7-9
アカデミー・オヴ・エンシェント・ミュージック
ボヤン・チチッチ(リーダー)…1-3,7-9
【録音】
2022年5月3-7日 All Hallows, Gospel Oak
2022年7月2日 St Giles’ Cripplegate
総収録時間:60分
使用楽器:
タンジェント・ピアノ:レーゲンスブルクのシュパート&シュマール1794年製作をモデルとする ベルギーのクリス・マーネの再現楽器。2008年製作
フォルテピアノ:アウグスブルクのアントン・シュタイン1786年製作をモデルとする ベルギーのクリス・マーネの再現楽器。2021年製作
チェンバロ:パリのパスカル・タスカン1769年製作をモデルとする マンチェスターのキース・ヒルの再現楽器。2010年製作
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2024年01月24日 00:00