樫本大進 ル・サージュ シューマン四重奏団 ショーソン:コンセール & ヴィエルヌ:ピアノ五重奏曲 国内盤は11月27日発売
濃密なロマンティシズムと爆発する抒情~樫本大進とエリック・ル・サージュの最新録音は19世紀末/20世紀初頭のフランスの室内楽名品2曲をカップリング。
輸入盤 / 国内盤 Blu-spec CD2仕様
類まれな室内楽のパートナーとしての樫本大進とエリック・ル・サージュの活動は、世界各地での室内楽演奏、特に日本では毎年初秋に開催されるル・ポン国際音楽祭赤穂・姫路での共演で知られており、2023年から24年にかけては「シューマン&ブラームス ヴァイオリン・ソナタ・チクルス」も実現しています。録音面では2009年にはシューマンのピアノ五重奏曲、2012年にはフォーレのヴァイオリン・ソナタ2曲、2018年にはコルンゴルトやベルク、2020年にはニーノ・ロータの室内楽アルバムを発表するなど、そのパートナーシップはますます強力になっています。
今年5月にベルギーで録音されたばかりの当アルバムは、樫本大進としては2007年発売のブラームスのヴァイオリン協奏曲以来17年ぶりのソニークラシカルへの録音となるもので、ショーソンとヴィエルヌという19世紀末/20世紀初頭にかけてフランスで生み出された室内楽の2大名品を収録しています。共演はショーソンではシューマン四重奏団、ヴィエルヌではナタリア・ロメイコ、ユーリ・ジスリン、クラウディオ・ボルケスという名手たちです。
1892年にブリュッセルで初演されたショーソンの「コンセール」は、ヴァイオリンとピアノがソロ、そして弦楽四重奏が加わるという型破りの編成で、「近年の様々な音楽の中で最も重要で興味深いもののひとつ」と評されました。ショーソンは、当時フランスにも蔓延していたドイツ・ロマン派の影響の中で、特にワーグナーへの傾倒を越えて独自の道を志向し、クープランやラモーといったフランスの古典作曲家を範にとり、実質的には六重奏という編成ながら、古典の「コンチェルト・グロッソ(合奏協奏曲)」のイメージを彷彿とさせる作品を創り上げました。また全曲を3つの音(D、A、E)がモチーフのように貫いており、これはフランクが得意とした循環形式の影響を受けてのものです。
生まれつき目が不自由でありながらもオルガンの名手として知られたヴィエルヌによるピアノ五重奏曲は、ショーソンの「コンセール」の後継作品とでもいうべき音楽で、フランス室内楽史に残る知られざる傑作。1920年4月にジュネーヴで初演されたこの3楽章からなるこの作品は、作曲者自身が「私はわが子の悲劇的な運命から生まれたインスピレーションを注ぎ込む、巨大な五重奏曲という奉納物を作ろうとしている。自分の悲しみが恐ろしいものであるのと同様に、激しく、途方もないエネルギーでこの仕事をやり遂げ、力強く、堂々として、力強いものを作ろう。そして、すべての父親の胸の奥底に、死んだ息子への深い愛情を呼び起こすような、力強く、堂々として、力強いものを」と語っているように、第1次世界大戦に出征し1917年に戦死した息子への激しい喪失感と苦悩が、作品残体に溢れています。
室内楽の最前線で活躍する二人の最も新しい姿が刻印されたのがこのショーソンとヴィエルヌのアルバムといえましょう。
(ソニー・ミュージック)
【曲目】
ショーソン:ヴァイオリン、ピアノと弦楽四重奏のための協奏曲(コンセール) ニ長調 作品21
[演奏]
エリック・ル・サージュ(ピアノ)
樫本大進(ヴァイオリン)
シューマン四重奏団
エリック・シューマン(第1ヴァイオリン)
ケン・シューマン(第2ヴァイオリン)
ファイト・ハーテンシュタイン(ヴィオラ)
マーク・シューマン(チェロ)
ヴィエルヌ:ピアノ五重奏曲 作品42
[演奏]
エリック・ル・サージュ(ピアノ)
樫本大進(ヴァイオリン)
ナタリア・ロメイコ(ヴァイオリン)
ユーリ・ジスリン(ヴィオラ)
クラウディオ・ボルケス(チェロ)
【録音】
2024年5月、ベルギー、ナミュール、コンサートホール「グラン・マネージュ」
[プロデューサー]ジュリアン・ポドラク
[エンジニア]マヌエル・モヒーノ