アメリカの鬼才ピアニスト、ジェレミー・デンク『アイヴズ・デンク』~ヴァイオリン・ソナタ4曲とピアノ・ソナタ2曲を収めた2枚組
作曲家チャールズ・アイヴズ生誕150年
アイヴズの音楽を「オリジナルでユニークなアメリカの声」と評すジェレミー・デンクが、ステファン・ジャッキウと組んでの「ヴァイオリン・ソナタ」全4曲と、デンクが2008-2009年に録音した「ピアノ・ソナタ」をリマスターして収録
1970年ノースカロライナ生まれのジェレミー・デンク。バッハから現代音楽まで幅広いレパートリーを持つデンクは、これまでにもバッハの『ゴルトベルク変奏曲』やアメリカの現代作品、リゲティとベートーヴェンを組み合わせるだけでなく、ルネッサンスの歌曲から現代ピアノ作品まで700年の音楽をピアノで演奏するという時代を超越した興味深い選曲の組み合わせなど、これまでになかったアルバムを発表し驚かせています。
ここに収録されたアイヴズのソナタでの並外れたピアノの偉大な明快さ、ヴァイオリンの幅広い色彩感、そして両ミュージシャンの間で全体的に見事に融合させ調整された相互作用によって、奇異な日曜作曲家(本業は保険会社の経営者)としてのアイヴズといわれていた複雑奇抜な作風ではなく、19世紀後半の音風景・心象風景をキャンバスに描き出したものとして、アイヴズ独特の絶対的な喜びがここに音楽として表わされています。
アイヴズが信奉する"超絶主義(マサチューセッツ州コンコードの4人の哲人によって形成された、性善説に基づく宗教的・哲学的倫理)"を骨格にした、12音/無調のモダニズムの要素を取り入れている『コンコード・ソナタ』は、表面的な不協和音の背後にあるその性質を把握するには長い時間がかかるもと思われますが、デンクは理解可能な明白な美しさを際立たせた、これまでになかった独自の解釈で演奏を試みています。
今回ヴァイオリン・ソナタで共演のステファン・ジャッキウは、1985年ボストン生まれ。影響を受けた偉大なヴァイオリニストには、ハイフェッツ、クライスラー、グリュミオー、ミルシテインで、音楽的ロールモデルはチェロ奏者のヨーヨー・マらに影響を受けヴァイオリンを始める。幼いころミシェル・オークレール、元クリーブランド・カルテットの第1ヴァイオリニストのドナルド・ワイラースタインらに師事はしているものの、芸術学校には通わず通常の高校、高校卒業後はハーバード大学に進学し、心理学を専攻。2007年に文学士の学位を取得して卒業。それと並行してニューイングランド音楽院でアーティスト・ディプロマを取得しています。
(ワーナーミュージック・ジャパン)
【曲目】
チャールズ・アイヴズ:
《CD1》
ヴァイオリン・ソナタ 第4番『キャンプの集いの子供の日』
ヴァイオリン・ソナタ 第3番
ヴァイオリン・ソナタ 第2番
ヴァイオリン・ソナタ 第1番
《CD2》
ピアノ・ソナタ 第1番
ピアノ・ソナタ 第2番『マサチューセッツ州コンコード 1840-1860』*
【演奏】
ジェレミー・デンク(ピアノ)
ステファン・ジャッキウ(ヴァイオリン:CD1)
タラ・ヘレン・オコーナー(フルート:CD2*)
【録音】
2016年9月12-14日(CD1)、
2008年9月10-12日、2009年11月18-19日(CD2)
ニューヨーク州立大学パーチェス校Performing Arts Center
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2024年08月23日 12:00