インタビュー

もっとウズウズしたい人の服用剤

お茶の間にまで入り込むほどの好景気ぶりでバブリーに爆発した〈フレンチ〉好景気。その事実関係や功罪はさておき、さまざまな志向/嗜好や方向性を持つものたちをひと括りで語ろうとするのはさすがに無理があるのではないだろうか? それに、ここまで新顔が次々に出てくると、そのどれもがスーパーノヴァだというわけはないしね。だけど、例えバブルが弾けようとも、間違いなくそこに居続けそうなホンモノ中のホンモノがアレックス・ゴファーだ。彼はエンジニアとして、ジャンルを問わず──それこそヒップホップからオーセンティックな歌謡曲までさまざまな自国音楽の制作現場に携わってきたし、リミキサーとしても、ナイトメアズ・オン・ワックスなど国外モノまで手広く受注中だ。
 一方、97年にデビューしたデーモンは、“Lil Fuck”のヒットによって、フレンチ・タッチの新世代ハウサーとして話題になり始めた人。その後は数枚のシングルやミスター・オイゾーのリミックスなどを経て、2000年にゴファーを共同プロデューサーに迎えた“Midnight Funk”を、次いでスクエアで控えめなディスコ・サウンドが満載の初アルバム『Midnight Funk』もリリースした。両名に縁深いエティエンヌ・ドゥ・クレシーも含めて、オリジネイターたちの快調な活動が続く限り、フレンチ・タッチの流麗なグルーヴもまだまだ続いていくのだろう。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年04月18日 12:00

更新: 2003年03月07日 19:00

ソース: 『bounce』 230号(2002/3/25)

文/大河原 邦ー

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