インタビュー

エレクトリックを独自の解釈で発展させたポップ・ミュージック

 エレクトロニクスの発達が画期的にポップ・ミュージックの佇まいを変質させたのはみなさんご存じのとおり。とくにダンス音楽の分野においては、もはやメカなしでは成立しないといっても過言ではありません。かつてロックとダンスは相容れないもので(とくにリスナー・レベルで)、ダンス・ミュージック・ファンにとってロックはあまりに観念的で、ロック・ファンにとってダンス・ミュージックは享楽的にすぎたようです。いまとなっては悪い冗談のようですね。

ニューウェイヴ以降、90年前後の〈セカンド・サマー・オブ・ラヴ〉をピークに、若者のための音楽はあらゆるフュージョンを完成させました。ダンスに特化したロック、あるいはロックのダイナミズムを持ったダンス・ミュージック、それらはもはや普通のことですが、エレクトロニックなポップスのステディなビートや音色は、肉体性よりもさまざまな情緒を増幅させることが多々あります。

軽薄さを装いながら独特のメランコリーを漂わせるゲイ・ミュージック、豊富な音楽的知識が閉塞感とは無縁のチャームへと昇華されたポップス、80's特有の狂騒感を懐古とは無縁の視点で再現する架空のスクール・ガール、スティーリー・ダンへの蒼い憧憬を見事に親しみやすさと深みが同居する独特のポップスへと発展させたソングライター──これらと現在のくるりには、表現方法やモチベーションの違いはあれど、共通するサムシングを感じずにいられません。

▼エレクトリックを発展させたポップ・ミュージック・アルバムを紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年05月09日 17:00

更新: 2003年03月07日 17:05

ソース: 『bounce』 230号(2002/3/25)

文/フミ・ヤマウチ

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