インタビュー

KICK THE CAN CREW

シングル "マルシェ" のヒットで今まさにノリノリの3MC、
元気モリモリのインタヴューをお届け! 注目度も調子も上がってんの?
うん、上がってる! 

 「去年、いっぱい作品を出したけど、歌詞のレベルも落ちなかったし、出すたびに注目度も俺らの調子も良くなっていって。じゃ、<アルバムは楽しくやろう>ってことになったんだ。トラックも歌詞もとくに狙ったことは何もなく、自然に出た。全部<後付けなんじゃないか?>って言われるくらい (笑)」(KREVA)。

マキシ・シングル“マルシェ”の熱狂冷めやらぬなか、ついに初のメジャー・アルバム『VITALIZER』が登場。 今作のリリックでは、全編に渡って彼らのパーソナルな世界を堂々と開陳。新たにアレンジやリミックスが施された既発のシングル曲をはじめ、 珠玉の楽曲がズラリと並んでいる。アーティストの<等身大の魅力が出た、上質で楽しい作品>というのには、 数多く出会ってきたつもりだったけれど、ホントはさほど出会っていなかったことに気付かせてくれたのがこのアルバム。 まず、素材を練り込むセンスが凄まじい。例えば、地元話をテーマにした“ONE FOR THE WHAT, TWO FOR THE WHO.PT.III”では、 トラックに叙情性を孕ませているし、どことなくトボケた感じのサウンドで彼らが本名を語っている
“?WHATCHANAME?”では、3人のアトラクティヴなMCを披露。 ともすれば一度聴いて満足してしまいがちなリリックのようだが、繰り返し聴くに耐えうる内容に仕上げているのだ。さらに、バスドラ、ターンテーブル、リム・ショットの音で<KICK THE CAN CREW>を表現した“THE THEME OF "KICK"”など、ちょっとやそっと聴いたぐらいでは見過ごしてしまうほどスマートに、アイデアが随所に散りばめられいる。 最近のKREVAのトラックメイキングには、閃きを音盤に刻み込む余裕を感じたのだけれども?

「まさに! 以前は、なにか閃いても<カッコ悪いかもしれない>って躊躇してたり、自分でイメージを限定して作っていたんだよね。でも、今回は俺の思いつきを、2人が快く受け入れてくれたから、すぐ試せた! そうやって素直に出てくるものを曲にし始めたら、たくさんイイ曲ができるようになった」(KREVA)。

洗練されたトラックの上でこそ、のびのびと実力を発揮できたりもする彼ら。しかし、あえて洗練を極めていないあたりにも、好感が持てる。

「それはあるかも!(笑)。しっかり作っている部分もあるけど、スクラッチは一発目に録ったヘタなDJ風のやつを残したり、“神輿ロッカーズ”とか最初に鼻歌で歌っていたものをそのまま活かしたんだ」(KREVA)。

「うん、俺も詞を書いているときに近い感覚でラップした」(LITTLE)。

グルーヴ感溢れるフロウからは、彼らのレギュラー・イヴェント<F.G. NIGHT>や<DYNAMITE>においての3人のノリが伝わってくる。そんなところにも多大な魅力を感じたが?

「生活から出てきた詞が多いんだけど。何年も続けている<F.G. NIGHT>が生活の一部になっている、というのもあるし」(LITTLE)。

「去年は<フジロック>や武道館とかでもやったけど、<F.G. NIGHT>や<DYNAMITE>に出るのも相変わらずおもしろくって。そのノリが出たのかな……。 よくね、<ヒップホップを歌謡曲シーンに広めた>とか言われるけど、俺らはそういうのを全く考えてなくって。 歌詞も聴きやすいように書いてるわけじゃないし、トラックもヴァリエーションを増やそうと思って作ってるわけじゃない。 やりたいようにやって全部、結果としてついてきているだけなんだよね。だから、 俺らが超自然にやることとか……もしも<F.G. NIGHT>や<DYNAMITE>のノリが<ヒップホップ>を伝えることにもなるなら、 いつまででも続けていけるなって思った」(KREVA)。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年05月09日 19:00

更新: 2003年03月07日 16:35

ソース: 『bounce』 229号(2002/2/25)

文/金田美穂子