インタビュー

Co-Fusion

セカンド・アルバム『Co-Fu2』!! 2つの才能が多重なトリックで提示するブレイクビーツの新潮流

  「昔から、ノンストップでリズムのみのアルバムを作りたいなぁというのがあって、技術的に今回それが可能だということがわかっていた。だから最初から迷いはなかったですね」(Heigo Tani)。  

前作『Co-Fu』から早3年、日本国内はもとより世界各国でのツアーを終え、2001年の初めから制作を始めたという待望のニュー・アルバム『Co-Fu2』は、以前から2人がアイデアを温めていたノンストップ作品。

「曲を作り、何度も聴いて……結果的には曲を作る時間よりも構成やノンストップでつなげていく作業に時間がかかったんです。半年かかりました」(Tani)。

なるほど、今作の曲間のつなぎはまさに絶品。難解なジグソーパズルのようにすべてが複雑。しかし、ここしかないという場所へ絶妙に収まる楽曲群。

「それぞれが1曲であり、曲と曲がカブっているところももしかしたら1曲であり、全体を通しても1曲であるような感じですね」(DJ WADA)。

「曲の変わり目をいかに緻密にするかということと、前後の曲が両方とも活きるようなつなぎであり、構成であるようにしたかったんです」(Tani)。

本作に収録されたリズムは、曲ごとにそれぞれが異なり、独立したものであるが、魔法をかけられたかのように各々のビートはつながり、ひとつの大きな流れを形成していく。とくに前半部分“Material To Digital”から“Wild World”までの流れと、膨大な情報量は圧巻だ。そして、このアルバムには曲間のおもしろさとともに大事なポイントがある。それは〈リスナーを飽きさせない〉ということ。

「CDで聴くということで、DJ的な見方ではなく、ホーム・リスニング的な意味合いを強くしたかったんです。前作のときはホームとフロア両方を意識していたんですけど、今回はヴァーチャル・フロアみたいな感じで家で聴けるダンス・ミュージックにしようと思ったんです」(WADA)。

アンビエント? それともエレクトロニカ? ホーム・リスニングから連想できるエレクトロニック・ミュージックといえば、のんびりと落ち着いて聴けるチルなものばかりが連想されるのだが……。

「リラックスして聴ける音楽で、素晴らしいものはいっぱいあるじゃないですか? でもリズムの躍動感をラジカセとかデスクトップで聴けるものって少ないと思うんです。そういうものを自分は聴きたくて、だから作ろうと思ったんです」(WADA)。

緻密な作業行程だけを強調してしまうと、さもハードコアなダンス・ミュージックではないかと誤解を招きそうだが、本作はロックにも通じるダイナミズムや不思議なポップ感を併せもっている。リズムを中心に組み立て、なおかつ家でも飽きずに聴けるおもしろさ。表向き〈カッコイイ〉と思わせておき、実は裏で複雑なことをやっている。これも2人の綿密な計画と意識が統一されているからなのだろうか?

「お互いに曲のイメージはあるんだけど、伝えてしまうとそれに沿ったものだけしか生まれてこない可能性ってあるじゃないですか。そうすると驚きがなくなってしまうんです。でも、今回は出来上がった時点で最初のイメージとはまったく違ったものが出来たので、そこがおもしろかったですね」(WADA)。

「僕は結構イメージどおりでした」(Tani)。

この発言のなかにも本作を楽しむヒントが隠されているのかもしれない。それはこの作品が比較的シンプルな音数で構成されたぶん、さまざまな角度から自由に接することができるということ。あなたはどんなイメージをもちます? 

PROFILE

88年、それぞれDJ活動をしていたDJ WADA、Heigo Taniの2人で音楽制作を開始。Co-Fusion名義としては、95年にリリースされた12インチ・シングル“Frontier”が初の作品となっている。その後、海外のレーベルより、数多くのシングルを発表、他アーティストのリミックス作品も手掛け、同時にDJとしても海外での評価を高める。98年にはファースト・アルバム『Co-Fu』をリリースし、99年には〈フジロック〉へもライヴ・アクトとして参加するなど、勢力的に活動の幅を広げている。このたび3年ぶりとなるセカンド・アルバム『Co-Fu2』がリリースされたばかり。

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掲載: 2002年05月09日 18:00

更新: 2003年03月07日 16:48

ソース: 『bounce』 228号(2001/12/25)

文/青木正之