インタビュー

Bad Religion

パンク・シーンに大きな足跡を残しながら前進し続けるバッド・レリジョン。旧友ブレット・ガーヴィッツが復帰した新作は、初期衝動を取り戻したハードコアな一撃!!

 メロディック・ハードコア/パンクの先駆者であるバッド・レリジョンが、新作『The Process Of Belief』をリリースする。そして、その新作について、ビッグなニュースがいくつかある。まず、エピタフ主宰者のブレット・ガーヴィッツが、ソングライター/レコーディング・ギタリストとしてバッド・レリジョンに復帰したこと。そして、バッド・レリジョン自身も、メジャー・レーベルからエピタフに復帰したのだ。けど、なぜ再度、バッド・レリジョンはブレットといっしょにやろうということになったのか。

「彼がバンドから抜けて何年も経つ。僕らはいつだって彼に戻ってきてほしかったんだけど、彼には個人的な問題があって難しかったんだ。でも、ついに彼は戻ってきた。それは僕らの過去、その成功のオールド・フォーミュラって感じだった。僕はほとんどの曲を自分で書きはじめていたんだけど、それはとても大変な作業でね。だから2人でやればもっとイージーで、可能性も広がると思ったんだ」(グレッグ・グラフィン、ヴォーカル)。

メジャー第1弾アルバム『Stranger Than Fiction』発表と同時にブレットが脱退。その後、バッド・レリジョンの曲はグレッグがほぼ一人で作っていた。だから彼としては、刺激しあえる相手がバンド内に欲しかったようだ。

「ブレットと僕は人生の半分以上を友達として過ごしてきた。子供時代からいっしょだったから、いつだって特別なケミストリーがお互いにあるよ。そして、いっしょに何かクリエイティヴなことをするのは、すごく自然なことに感じるのは確かだ。だからこのアルバムでは、お互いインスパイアし合った。アメリカでは〈Friendly Competition(友好的競争)〉って言葉があるけど、それはお互いをハイ・スタンダードとして認めてるってことで、つまりはお互いに刺激を与え合っているってことなんだ」(グレッグ)。

2000年発表の『The New America』の流れを感じさせるまったりした曲もあるが、新作にはひさびさに速い曲が多くなっている。まるでブレットに刺激され、気持ちが先走って速くなったかのようだ。むろん、あのハーモニーも健在である。

「そんなに速い曲が多くなったかはわからないけど、これは本当に自然なバッド・レリジョンのアルバムで、ニュー・クラシックな曲を書きたかったんだ。バッド・レリジョンのレパートリーのリヴァイヴァルみたいな感じのものも欲しかった。多分『The New America』ではそこから離れたところにいたと思うけど。もちろん、僕はまだブレットがバンドにいたころのアルバムがすごく好きだよ。でもそういう曲を書くのが難しいってことに気付いて、バッド・レリジョンのクラシック・サウンドから少し外れてさまよってはいたけれど」(グレッグ)。

昔はずっとセルフ・プロデュースだったバッド・レリジョンだが、ブレット脱退後の3枚のアルバムでは、すべてにプロデューサーを付けてきた。ブレットの代わりというわけではないが、ここ数年はプロデューサーがグレッグのコラボレーターみたいになっていたのだ。というわけで、今回は必然的に外部の人を呼ばず、ブレット&グレッグのプロデュースである。そしてレコーディング・スタジオも、ひさびさにブレットのスタジオに〈帰省〉したのだ。全体的になんとなく原点回帰っぽくもなったが、決して焼き直しではない。そうはさせねーよとばかりに、復活後のスーサイダル・テンデンシーズで叩いていた、ブロックス・ワッカーマンが新ドラマーとなり、みんなのケツも叩いている。2002年で結成22年目。ベテランと呼ぶには元気すぎるぜ。

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掲載: 2002年05月16日 16:00

更新: 2003年03月06日 19:38

ソース: 『bounce』 228号(2001/12/25)

文/行川 和彦