What’s Love?
メロディアスで、ポップで、人懐っこくて、日本語の響きが美しい〈スカ〉は好きでスカ?
えー、ぶしつけながら愛って何? そんな永遠の問いに対する気の利いた答えを、アナタはいくつ持ちあわせていますか? そこでWhat's Love? 彼らの場合はこんな感じです
――スカとかけて歌謡と解く。その心はウタゴコロ!とはまったくニクいねコノヤローって感じですわ。
「でも僕だけなんですよね、スカとかレゲエとか本当にすごい好きなのは。わりとメロディアスな、ロック・ステディーあたりまでのすごくポップなものが好みで。歌謡曲っぽいものが好き、ということも言えると思うんですけど……それこそ、わかりやすかったかつての日本の歌謡曲あたりとか」(菅野英児)。
で、〈歌謡スカ〉ってことなんですけど、それとて仙台の同胞である3人が東京で再会してからのヒョンな成り行きなんだそうな。
「僕はアシッド・ジャズとか流行ってたころにワック・ワック・リズム・バンドに参加してたりしたんですけど、2人が東京に出てきたとき、みんな揃ったからなにかやろうよってこのバンドを始めて。で、3人の共通項だったアイアン・メイデン(笑)をこねくり回してファンクとかソウルみたいな感じで演るかたわら、歌謡曲をレゲエとかスカでアレンジしたりしてて。で、そっち(歌謡スカ)のほうがウケがよかったと」(阿部光一郎)。
「そもそも初志がこの3人でやろうってことだから、それが貫ければどんなのでもいいじゃんみたいなところはあったね」(松本雅光)。
そしてオリジナル楽曲を制作する段階になって松本がもってきた曲が“かえり路”。その得も言われぬ人懐っこさが広く感銘を与えることに。
「たぶん僕の歌と曲作りのスタンスは、小学生時分に見聴きしていた歌謡曲なんかがベースなんでしょうね。一時期はグランジとかにハマって遠ざかっていたけど、あるときやってみたら実は歌謡曲だったという」(松本)。
フェイヴァリットにキング・オブ・歌謡曲=沢田研二(×阿久悠×大野克夫の黄金期)を挙げる松本の身上がそれ。ならば、もうひとつの旗印、スカとの関わり合いについては?
「〈スカ〉っていう言葉は、利用させてもらっている感じかな。バンドは、それ一本で頑張っていくより、イヴェントをまず運営して、いろんなバンドと関わりを持ちながら広げていくっていうやり方がいちばんいいんじゃないかと思うんですけど、そこで〈スカ〉っていうのを看板にしてた感じ。いろんな音楽と混じり合ってそれなりにハマるからそうしてたんだけど、気持ち的には〈スカ〉って、ジャンルじゃなくて〈ストリート感〉みたいな。クラブ感覚というか。そういう、より自由な部分でバンドが広がっていければなあと」(菅野)。
フレキシブルな懐の深さと、いい意味での優柔不断さ。それに3ピースってところから往年のポリスなども匂わせたりして、思いのほか抜け目ない。さらにホスト・イヴェントである〈スカ帝国〉の番外地編〈歌謡の夕べ、リズム&ブルースの夕べ~〉で見せる幅というか余裕。こりゃひょっとしたら……。
「番外地編のほうには、今後の展望的なところもちょこっとあって。それが縁で横山剣さん(クレイジーケンバンド)たちとつながりができたっていうのもあるんですけど。スカじゃなくて歌謡つながりで」(松本)。
「とりあえず2001年中は、この〈歌謡スカ〉って銘打ったままその通りの看板でやっていくんですけど、2002年はいろんなことを試していこうと思ってます。今度またレコーディングするんですけど、たぶんそれはもうスカじゃないっていう。そういうふうに間口を広げていくので、うまくまとまって演れればなあと。いまのいいところは残しつつ、新しいところを開拓していって……それがとっ散らからないように、常にWhat's Love?イズムっていうのを打ち出せればね」(菅野)。
PROFILE
97年、松本雅光(ヴォーカル/ギター)、阿部光一郎(ベース)、菅野英児(ドラムス)によって結成。99年に自主イヴェント〈スカ帝国〉をスタートさせ、回を重ねるごとに話題を広めていく。インディーズにて2枚のマキシ・シングルをリリースしたのち、2001年6月にメジャー・デビュー・シングル“かえり路”を発表。歌謡曲とスカをミックスさせた親しみやすいサウンドが評判となる。9月には“口笛”、11月には和田アキ子のカヴァー“あの鐘を鳴らすのはあなた”と、シングルをリリース。待望のファースト・アルバム『明けゆく空に』が2002年1月23日にリリースされる。