縦横無尽に活動する最近の教授のお仕事をご紹介!!
ここ数年、音楽だけに留まらず、〈地雷ゼロキャンペーン〉〈アースデイ・フォーラム〉のプロデュース、地域通貨や地球環境にコンシャスな活動を繰り広げるcodeなどなど、政治・経済・環境などに関わるさまざまな社会的活動をしている教授。今回のDVDブック「ELEPHANTISM」もそれら一連の活動とリンクするものだ。〈母系社会である象はお互いを殺し合わない〉など、人類の未来へのヒントを象という生き物に見い出したことが、このタイトル(〈象質〉とでも訳すべきか)の由来。人類の起源を探る人類学者、類人猿や象の生態を研究する動物学者、マサイの長老などへのインタヴューやアフリカのさまざまな人たちとのコミュニケーション、そしてもちろん豊穣なる自然の風景などの映像が、自身による音楽と豊富なサブテキスト付きでたっぷりと収録されたDVD2枚と、52ページにわたる写真と文章(教授の日記やオノ・ヨーコとの対談!など)による本がセットになっている。
また、教授の新作ともいえる、アフリカでのフィールド・レコーディング音源を多用しつつ、さまざまな音楽的実験もさりげなく為されたサントラ『ELEPHANTISM』も美しすぎ&素晴らしすぎる力作。なお、NHKスペシャル「変革の世紀」のサントラも同時リリース。スカンジナヴィアの民謡とキング牧師の演説がコラージュされた壮大なテーマ曲をはじめ、こちらも大作となってます。
〈9.11〉とも関連している「ELEPHANTISM」をさらに突っ込んで味わいたい方には、教授監修による「非戦」、事件直後のアフガニスタンの現状を目撃してきた作家・辺見庸との対談本「反定義――新たな想像力へ」がオススメ。
坂本龍一の最近の仕事の一部を紹介。左から、マドンナや佐野元春もコメントを寄せている、坂本が監修した「非戦」(幻冬社)、辺見庸との対談集「反定義―新たな想像力へ」(朝日新聞社)
- 前の記事: 坂本龍一
カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2002年06月13日 11:00
更新: 2003年02月13日 12:37
ソース: 『bounce』 232号(2002/5/25)
文/ダイサク・ジョビン