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インタビュー

《ブレイク前夜のイチオシ・アーティスト 003》

水戸から産まれたティーンエイジ・シンフォニー


【前園直樹】
水戸在住。22歳のシンガーソングライター。鹿児島生まれ。 大学1年の頃より、「いっしょにやる仲間がいなかったから」という理由で地味に宅録を始める。 99年、水戸のライブハウスにて、月一でライブイベント「SONOVOYAGE」に出演開始。 2000年、自主制作盤『ORANGE BIKEの世界』を発売。 2001年10月25日ファーストアルバム『くらしのたより』で、デビューを飾る。

 前園直樹。完全宅録のシンガーソングライターである。水戸在住の22歳、現在大学5年目だという。 この度、彼がこれまで作り上げてきた作品をまとめたアルバム『くらしのたより』が完成した。アルバムのサブタイトルにもなっているとおり、この作品は『前園直樹初期傑作選』と言える内容のアルバムとなっている。

失礼な話だが、私はこのアルバムを聴いてから実際に会うまで、彼に対して、「機材好きの宅録マニア」という先入観を持っていた。 しかし、実際に会ってみてその予想はきっぱりと裏切られた。前園直樹の根底にあるものはマニアックな要素ではなく、あくまでも“ポップス”である。

この部分は彼の音楽にとって非常に重要な位置を占めている。 音楽ルーツを尋ねると、ブライアン・ウィルソンからの影響を何度も口にした。そこには、『受け手に必要以上の知識を求めない音楽を作りたい』という意志が表れているような気がした。 メロディーの色彩豊かさと密室感のある録音。その2つがギリギリのバランスで保たれているポップス。このアルバムは、そんな60年代から続くポップスの黄金律を参考書にしながら彼が出した一つの解答だ。

インタビューでは、大学生活の話や今しているアルバイトの話を、少しはにかみながらも笑顔で答えてくれた。そんな、どこにでもいそうな弱冠22歳の青年から、新しい世代のポップスが誕生しようとしている。 私は、そこになにか頼もしさのような感覚を覚えた。

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2002年06月27日 18:00

更新: 2003年03月07日 19:28

文/原田★星