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インタビュー

《ブレイク前夜のイチオシ・アーティスト 003》(2)

宅録のきっかけは『モンドミュージック』

 ──プロフィールに大学5年生と書いてあるのを読んだのですが、まだ大学には通っているんですか。

前園 そうなんですよ(笑)。水戸で大学生活を送っています。 去年は「お腹が痛い」とか理由をつけて大学に行かずに引きこもってたんです(笑)。

──(笑)実際はどうだったですか? 学校にも行かずに自宅でMTRいじってるような生活だったんですか。

前園 いや、全然そんなことなかったですよ。 友達といることが多かったですね。普通の大学生よりはレコードを聴く量がちょっと多いくらいで。

──そもそも宅録を始めたきっかけはなんだったんですか。

前園 大学1年生の時に暇になったということと、 今まで聴いていた音楽を元にして自分でも何かやりたいなと思い始めたタイミングが一致したんで 「じゃあ、始めようかな」と。 きっかけとしては『モンド・ミュージック』っていう本があるじゃないですか。 あの本の「宅録の世界」という項目を読んで「あー、一人でも音を重ねていけばやれるんだな」というのがわかって。 それから始めたという感じですね。

──背景としてもともとバンドをやっていたというわけでもなく、いきなり宅録だったんですね。

前園 本当はバンドをやりたかったんですけどね。 なかなかよい出合いがなくて。 それで、ギターとベースとピアノが自分でできたんで、一人で始めたんです。

──自分が特に影響を受けたと思うアーティストはいますか。

前園 宅録の影響を受けたアーティストと言えば、 山下達郎さんとヴァン・ダイク・パークスとかブライアン・ウィルソンなんかの実験的なことをしつつもポップでな人たちですね。 特にブライアン・ウィルソンからは影響を受けています。 「僕も洋楽聴かなきゃ」と思って『ペットサウンズ』から聴きはじめたんですけれど(笑)、最初は全然わからなかったんですよ。 で、水戸に来てからフリッパーズ・ギターが元ネタとして使っていることを知って、スッと聴けるようになったんです。 僕くらいの世代の音楽好きとしては王道な聴き方ですよね。

──誰も知らないような、例えば“ブラジルの宅録”みたいなコアな方向に向かったりはしなかったんですか。

前園 そういうコアなものも聴いてはいるんですけど、つまみ食いで聴いているという感じです。 やっぱり本当に凄いと思うのはポップなものですね。 でもブライアン・ウィルソンなんかがやっていることは凄く地味で暗くてしょうがないんですけれどね(笑)。

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2002年06月27日 18:00

更新: 2003年03月07日 19:28

文/原田★星