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インタビュー

ご本人たちには余計な話でしょうが……いまさら!? いまこそ!? フージーズ

 フージーズの活動停止から、早くも5年が経つ。各々のソロ移行当初は、お互いの活動を認め合っていたはずの3人だったのに、ワイクリフとローリン・ヒルの没交渉からなぜか解散状態になってしまった。クリフの2作目『The Ecleftic』は冒頭のスキットで仄めかしてあるように、ローリンとプラーズにリユニオンを呼びかける色合いも濃かったのだが、新作『Masquerade』は完全にクリフが個に立ち返った作品となっている。思えば、フージーズ最大の魅力は、芸人魂旺盛なクリフのあざといまでの引用&折衷精神が、ローリンのスピリチュアルなノドを通して美しい音楽に変換されるところだった。ワイクリフはR&Bやヒップホップ、アイドル・ポップスから、シニード・オコナーやミック・ジャガーらロック勢まで、幅広くも無節操なプロデュース・ワークでその才を発揮しているし、ローリンも自己の内面をさらけ出し(すぎ)たライヴ・アルバムで強い精神性を輝かせたばかりだ(歌詞を深読みするとクリフの名も浮かぶ……)。が、善し悪しの問題ではなく、そこにかつてのグループが備えていた種類のマジックは当然宿っていない。

 そんな世間の風評を思ってか、ワイクリフがかつてのフージーズ的なイメージを託したのが、シティ・ハイだ。女1男2の構成や、音の折衷性とメッセージ性を兼ね備えた音楽性。また、フージーズの準メンバー的存在だったジョン・フォルテも、フージーズ風味のアーバン・ブルーズ作品『I, John』を独力でリリースしたばかり。まあ、おそらくフージーズ再結成の可能性は極めて低いだろう。ただ、こういうコラムが組まれるうちは、クリフもローリンも自身の過去と闘い続けなければならないのだ。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年07月11日 11:00

更新: 2003年02月12日 14:02

ソース: 『bounce』 233号(2002/6/25)

文/出嶌孝次

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