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インタビュー

スウィンギン・ミッド・ウェストな時代がいよいよ本格的にやってまいりました!!

 日本では南部とごっちゃにされがちだが、オハイオ、ミシガン、イリノイ、ミネソタ、ミルウォーキーなど合衆国の北側中心部に位置する12の州を〈ミッド・ウェスト〉と呼ぶ。ヒップホップ史観ではネリーの登場まで注目されなかったものの、実際は90年代初頭から何組かのラップ・アクトを輩出していた。その代表格が、アトランタに移って人気を博したMCブリードと、ハーモニー・スタイルの早口ラップで西海岸に新風を吹き込んだボーン・サグズン・ハーモニーだ。彼らが他地域に移ったのは、当時の地元シーンが停滞していたためで、現在ではその多くが中西部に戻って独自の活動を展開している。そんな彼らと、地元の新世代(ネリーやクー・クー・キャルたち)らとの混在が、このエリアのヒップホップをまた豊かにしているのだ。東西南各地域に繋がる位置関係のせいか、サウンドやラップにもさまざまな要素が入り交じっていて、そのフォルムも一括りにはできないほど多彩で、実に個性的。とにかく、刺激的なのを聴きたきゃ中西部に注目!ってな時代が、もうとっくに来てるってことで。

ミルウォーキー産の作品。キャルの成功で注目を集めているエリアだ


クークー・キャル『Walkin' Dead』(Infinite)


ベイビー・ドリューやドリー・ボーイが参加したコンピ『Somethin In The Water』(Mob-On)

カンザス・シティ産の作品。テック・ナイン『Anghellic』(JCOR/Interscope)。彼は西海岸を中心に多数の客演を重ねてきたシアトリカルなMCだ。さらなるアンダーグラウンド・アクトの存在もいくつか確認されている

セントルイス産の作品。プリティ・ウィリー『Enter The Life Of Suella』(MCA)。ネリー以上に歌に近いフロウが特徴のウィリーは、現在“Roll Wit Me”“Na Na”などヒットを連発中で、中西部の次代を担う最右翼に急浮上中!!

シカゴ産の作品。左から、ドゥー・オア・ダイ『Victory』(Rap-A-Lot)、クルーシャル・コンフリクト『Good Side, Bad Side』(Universal)、トゥイスタ『Legit Ballin'』(Legit Ballin')。後2者は現在地元にレーベルを設立して若手の発掘にも熱心。他にもコモンが同地出身で、サウンドのフォーマットは実に多様だ


トゥイスタ『Legit Ballin'』(Legit Ballin')

クリーヴランド産の作品。上から、モー・サグスのコンピ『Mo Thugs III The Mothership』(Mo Thugs/Koch)、クレイジー・ボーン『Thug On Da Line』(Thug Line/Ruthless)。LAで成功後、地元に戻ってレーベルを設立したボーン・サグズン・ハーモニーの影響は、いまなお深く根を下ろしている模様

フリント産の作品。上から、MCブリード『The Fharmacist』(Fharmacy)、デイトン・ファミリー『Welcome To The Dope House』(In The Paint/Koch)、ブートレグ『Hated By Many, Loved By Few』(TVT)。共に地元でレーベルを運営中


MCブリード『The Fharmacist』(Farmacy)

デトロイト産の作品。上から、ペイスワン『Won』(Ruff Life)、D12『Devil's Night』(Shady/Interscope)。他にもスラム・ヴィレッジやデトロイト・モスト・ウォンテッドなど、コンシャス系からGモノまで彩りは豊か

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年07月18日 13:00

更新: 2003年02月10日 20:51

ソース: 『bounce』 233号(2002/6/25)

文/出嶌 孝次

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